損保3社の経営統合

「三井住友海上、あいおい、ニッセイ同和が経営統合を検討」
というニュースが流れています(今のところNHKと毎日)。
「1月中にも結論」(毎日)とあるので、どうなるかわかりませんが。

あいおいの大株主はトヨタ、ニッセイ同和は日本生命です
(日本生命は三井住友海上GHにも出資)。
仮に報道の通り、3社の経営統合が実現すれば、
それぞれグループとしては損保を経営するのを止めるのか、
それとも、あくまで持ち株会社傘下の子会社に出資するのでしょうか。

現時点でいろいろ考えてもしょうがないので、これ以上はやめておきますが、
12/28にニュースが流れるなんて、勘弁してほしいです。

 

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増資の理由

25日の日経に小さな記事で「I生命が増資」という記事があり、
「法人向け保険や変額年金保険の販売が拡大していることから、
 財務基盤を強化する」とのこと。ちょっと首をかしげました。

 

というのも、今の状況で増資が必要なほど法人向け保険が
爆発的に売れている会社があるとは思えませんし、
変額年金も10月以降、銀行の消極姿勢が目立ちます。
しかも、I社は変額年金の最低保証リスクを再保険で移転しており、
日本法人にはこの影響もないはずです。

そこで中間決算を見ると、外国公社債が含み損となっており、
ソルベンシー・マージン比率や実質資産負債差額を
押し下げていることがわかりました。
外国公社債の平均残存期間が長そうなので、ALM目的なのでしょう。
おそらく10月以降の金融市場混乱で時価がさらに下がり、
今回の対応につながったのではないかと想像できます。

ちなみに会社の発表文は、次の通りです。

「今回の資金調達は、業容拡大に伴う今後の資金ニーズに対応するためにも、
 財務基盤を強化することにより経営健全性の維持向上を図ることを
 主たる目的としています」

難しい日本語ですが、よく見ると「業容拡大のため」とは書いてありませんでした
(業容拡大は今後の話なのですね)。

 

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「巨大保険会社 国際監督に穴」

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けさ(22日)の朝日新聞6面に興味深い記事がありました。
AIGの経営危機をきっかけに、国際的に活動する保険会社の
監督体制の不備が浮き彫りになったというものです。

例としてハートフォードの最低保証リスクの話が挙がっています
(記事にはそう書いてありませんが、最低保証リスクの話です)。
再保険を通じて、規制の厳しいところから緩いところへリスクが移るという、
古くて新しい問題です。

また、規制・監督は国ごとなので、グループ全体がどうなっているかは
当局が把握することはできません(格付け会社や市場は見ていますが)。
こちらは保険会社に限った話ではありませんが、
銀行には国際監督基準があり、一定の役割を果たしています。

記事にある、「(米国への出再は)単なる引き当ての節約が目的だろう」
という専門家の指摘はかなり乱暴だと思いますが
(日米まとめて管理したほうが効率的でしょう)、
リスクが見えにくくなっているのは確かです。

記事は「ソルベンシー規制の国際基準が必要」という趣旨ですが、
あわせて情報開示の国際基準も必要ですね。

 

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もう一つの共済問題

週刊東洋経済2008.11.29の共済特集「共済vs.生保」で
保険ジャーナリストの石井さんが取り上げていましたが、
12/1に公益法人制度改革法が施行となり、
公益法人が行う共済事業も保険業法の規制対象になりました。

http://www.fsa.go.jp/ordinary/ins_koueki/index.html

現行の公益法人は今後5年以内に新法人(一般または公益)に
移行する必要があります。しかし、共済事業をそのまま続けると、
無認可の保険事業者として保険業法違反になってしまいます。
新法人に移行するまでに、保険会社(少額短期事業者を含む)になるか、
共済事業を縮小・譲渡・廃止するか決めなければなりません。

石井さんによると、公益法人のうち共済を主目的に運営しているところが
990法人もあるそうです。おそらく規模の小さいところが多いのでしょうが、
「あんしん財団(旧KSD。会員事業所は24万件)」や
「日本フルハップ(関西ではCMで有名。加入者数は54万人)」
といった中小企業向けに広く共済事業を展開しているところもあり、
今後の動向が注目されます。

 

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米国生保への資本注入はどうなる?

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FRBがゼロ金利政策に突入しました。
ついにここまできたかという感じですが、信用収縮が起きているときに
金利を引き下げても効果はあまり期待できない、というのが
日本の経験からの教訓でしょうか。

ここ数日、米国生保の原稿を書いていて思うのですが、
米国政府の対応にはやっぱり頭を抱えてしまいます。

例えば11月以降、CMBS(商業用不動産担保証券)の価格が急落しました。
これには政府の方針変更が一役買っています。
米財務省の金融安定化策が、当初の不良資産買い取りから
資本注入プログラムに変わってしまったためです。

この資本注入プログラムは保険会社も対象になっていて、
ハートフォードやプルデンシャルといった大手保険会社も参加を表明しています。
ところが、本当に資本注入されるのか、されない会社があるのか...
といった宙ぶらりんの状態が続いており、市場の疑心暗鬼は晴れません。

新政権に多くを期待するのはどうかと思いますが、
少なくとも現政権のレームダック状態が終わる点はプラスでしょう。

 

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日経ヴェリタス「安易な会計ルール緩和に抗す」

本日(14日)の日経ヴェリタス、IASB理事である山田辰己さんの記事です。

・国際会計基準の緩和はEUからの強い政治的圧力を受けたもの。
 EUがルールを勝手に凍結し、情報開示が後退しないように決断した。

・「取引がほとんどない市場で金融商品の時価をどう決めるか」
 「時価評価の信頼度」「簿外の特別目的会社」などの課題には、
 情報開示を強化する方向で対応している。

・投資リスクを投資家に伝えるもので時価に代わるものはない。
 海外では時価会計をやめるべきだという極端な議論は出ていない。
 安易に会計ルールを変更すれば、市場の信頼を失うことを理解している。

IASBは国際会計基準の作成を担う組織で、理事は14人。
そのうち日本人は山田さんだけという、貴重な存在です。

昨今、金融機関の健全性を「自己規律」「行政による規制」「市場規律」
の3つで確保しようという流れから、金融危機が深刻化するなかで
「市場規律」を否定する動きがあるように思えてなりません。

危機対応の重要性を否定するつもりはありませんが、
さりとて「行政による規制」だけで実現可能なのでしょうか。
山田さんを応援したいと思います。

 

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ブルームバーグ・テレビの収録

仕事の合間にブルームバーグ・テレビの収録に行きました。
テーマは「2009年の生保業界」。
新年4日あたりに流れるようです。

例年なら決算見込みと中期的な課題を話せばいいのですが、
「AIG」「金融危機」など不確定要素が多すぎます。
コメントが2009年どころか正月まで持つかどうか心配です^^

当面の注目ポイントということであれば、
 ・AIG系生保各社の売却動向
 ・米新政権の経済政策
 ・生損保の10-12月決算発表(2月半ば)
といったところでしょうか。

もう一つ、こちらはうれしいお話。
12月8日の週刊金融財政事情に拙著「経営なき破綻」の書評が載りました。
一橋大の米山先生によるものです。どうもありがとうございました。

 

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米国生保の投資家向け説明会

先週(4日)上場損保の決算説明会の話を書きましたが、
米国では先週後半から今週にかけて、大手生保の説明会がありました。
ニューヨークなのでさすがに出席していませんが、
HPで音声を聞いたり、資料をダウンロードしたりできます。

このところプルデンシャル、ハートフォード、メットライフといった
米国大手生保の株価が大幅に下がり、信用スプレッドも極端に拡大しています。
このため、説明の中心は「資本」「資産内容」「流動性」についてでした。
1年前とは様変わりです。

ある会社では、「S&P500が700まで下がっても、AA水準の資本を維持できる」
というコメントがあったり(ちなみに足元の株価水準は900程度です)、
政府の資本注入プログラムへの参加を公表したりと、
かなり踏み込んだ説明がありました。

各社の説明会(特にハートフォード)を受けて、株価は急回復。
説明会はとりあえず成功だったと言えるでしょう。

米国生保の現状については、どこかでレポートを書く予定です。

 

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日経と週刊朝日の生保関連記事

いずれも私のコメントが載っているので、ちょっとだけ感想など。

日経は12/6(土)の4面「変調生保(下)」です。
生保の基礎利益が圧迫されているのは、
「運用不振に加えて、保有契約が落ちているのも一因」
というものです。

ただ、今回の中間決算では主要生保の基礎利益が
軒並み減少しているのですが、一時的なコスト上昇や
変額年金の責任準備金負担などもあり、
基礎的な収益力が落ちたと言うには証拠不十分です。

金利上昇や追加責任準備金の効果もあり、
少なくとも逆ざやは改善しています。

週刊朝日の記事は巷で話題になったようです。
「危ない生保」というタイトルですから無理もありません。

特に注目されたのは、「株式純資産倍率」という指標です。
「株式」「外国株式等」の合計を「実質純資産額」で割ったもので、
マスミューチュアルと三井が2倍を超えています。
編集部のオリジナルかどうか知りませんが、興味深く感じました。

もちろん、この指標だけで生保の健全性を判断することはできません。

・「外国株式等」には外国株式以外のものが含まれている
 (主要生保では外貨建資産の内訳として株式が公表されています)
・株式投信やETFが反映されていない(開示資料ではわかりません)
・ヘッジ効果が反映されていない

こういった弱点もあるのですが、金融危機による内外株式の下落に
焦点を当てるという発想は理解できます。
確かに株式を持っていなければ、株安の影響を受けませんよね。

ちなみに私のコメントは、「今回は株価が落ちるスピードが格段に速い」
「①貯蓄性が高い、②予定利率が高い、③契約が終わるまでが長い
 という三条件に当てはまるほど、破綻によるダメージは大きくなる」
などでした。

 

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戦略的資源投入

ある上場損保の決算説明会で目にした言葉です。
政策株式は戦略的資源投入なのだそうです。

株式運用益に加え、安定的な企業保険収益の確保や
販売チャネルとの関係強化などに重要な役割を果たしており、
過去3年平均で約1.3%のリターン(国内保険収益のみ)とのこと。

しかし、必要資本の多くを株式保有リスクで費消し、
もちろん企業保険の保険引受リスクも抱えたうえで、
リターンはわずか年1.3%+αです。

株価が暴落しているなかでの投資家向け説明会で、
なぜあえて「戦略的資源投入」とうたったのでしょうか。
私には理解できません。

別の上場損保トップは決算説明会で
「株価下落による損失計上はやむを得ない」とコメント。

私は本来、「企業価値を損なってしまい、責任を感じている」
などと言うべきだと思うのですが、まるで、避けることのできない
自然現象のように聞こえました。

おかしいと思うのは私だけでしょうか?

 

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