生保営業職員のターンオーバー

生命保険会社の営業職員組織というと、大量採用・大量脱落のターンオーバー問題が決まり文句のようになっています。
大手生保の数字を確認してみると、確かに2000年代前半は期初の在籍数の3、4割にあたる職員を採用しているにもかかわらず、在籍数が減る(つまり採用を上回る退職が発生している)状態でした。
ところが最近は、在籍数の2割弱にあたる職員を採用し、在籍数は増加に転じているので、退職率は15%程度です。約4割から約15%へというのはかなりの変化です
(日本生命はディスクロージャー誌が未公表なので、2018年度まで確認)。

2005年に発覚した保険金不払い問題を経て、各社は新契約に過度に偏重した営業活動を改め、顧客訪問活動など既契約を重視する営業活動に舵を切りました。新人についても、採用後の教育を重視し、固定給を増やすなど、早期退職を減らす取り組みを行い、ターンオーバーの改善に効果を上げたと考えられます。

あとはこれが持続可能かどうかです。新契約の大半を既契約者やその周辺から獲得しているので、既契約者の高齢化とともに事業基盤が先細りしますし、毎年5千人から1万人という採用数は、高いコンサルティング力を武器にするための採用ではないでしょう。ここからがチャネル改革の本番なのかもしれません。

※かつて近所を走っていた市内電車の痕跡を見つけました。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

ところ変われば

26日の日経に「生保解約 コロナで急増(有料会員限定)」という記事が出ていました。経営者保険などを中心に生命保険の解約が増えているとのこと。
確かにエヌエヌ生命では4-6月期の解約返戻金が前年同期より27%増えているのですが、業界全体では4-6月期は1-3月期よりも解約返戻金が少なく、一部を除けば「コロナで急増」という状況ではなさそうです。
中小企業の資金繰りということであれば、保険約款貸付に注目してもよかったかもしれません。大同生命とエヌエヌ生命は増加が顕著ですし、大手4社では日本生命の増加が目立ちます
(中小企業とは関係なさそうですが、かんぽ生命も増えていますね)。

財務部門とは

ところで、どの業界にも、その業界でしか通じない用語ってありますよね。
業界外で通じないだけならいいのですが、同じ用語を別の意味で使っていることもあり、混乱のもととなってしまいます。

保険業界で典型的な事例は「財務」「財務部門」でしょうか。
私は最初の就職先が損害保険会社の財務部門だったので、財務と言えば資産運用でした。
しかし、財務といえば資産運用なのはおそらく保険業界だけで、多くの場合、財務部門は主に資金調達を担当する部門です。私がそれを知ったのは就職してしばらくしてのことでした。
保険会社は先にお金(保険料)が入ってきて、後からお金(保険金)が出ていく事業なので、事業のために外部から資金を調達する必要がありません。だから他の産業と「財務」の意味が違うのでしょう。

支社と支店

生保と損保でも違いは結構ありますね。
これも私の経験で恐縮ですが、損害保険会社(大手)では「〇〇支店××支社」なので、支店長は支社長の上司です。ところが後に生命保険会社を担当するようになって、生保では支店の代わりに「〇〇支社」となっているのに気が付きました。同じ「支社長」でも生保と損保で社内の地位が全然違います。

不思議なことに、大手損保には「本店営業〇部」「本店損害サービス〇部」はありますが、全体としては「本店」ではなく「本社」です。このあたりは歴史的な経緯もあるのでしょうね。

保険料の支払い方法も、生保の「平準払い」のことを、損保はかつて「回払い」と呼んでいました(積立保険が開店休業中なので、今はどうなのかわかりません)。
他方で「占率(せんりつ)」「P免」などは生保の用語ですね。損保でも通じるのでしょうか?

※近くにスーパーが複数あるのは便利です。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

保険会社にとっての「重要なリスク」とは

インシュアランス生保版(2020年8月号第2集)に執筆したコラムです。
有価証券報告書で思い出しましたが、今年はまだ保険会社のディスクロージャー誌が出揃っていませんね(8月26日現在)。

------------------
大手保険会社では、保有するリスクを各社の内部モデルを使って可能なかぎり定量的に把握し、経営体力としての自己資本(時価ベース)と対比したうえで、リスクの取り方をコントロールする実務が定着している。このうち3メガ損保グループでは、数年前からリスク量と資本のバランスとともに、リスク量の内訳を公表している。これを見ると、自然災害に伴う多額の保険金支払いなど、一見大きそうに見える損害保険(保険引受)のリスクよりも、多額の政策保有株式に代表される資産運用関連リスクや生命保険事業の金利変動リスクが大きいという実態がわかる。

他方、昨今のコーポレート・ガバナンス改革の一環として記述情報(非財務情報)の開示の充実が求められるようになり、有価証券報告書のリスク情報の記載に変化が見られるようになった。3メガ損保グループの有価証券報告書には、いずれもグループ経営に重大な影響を及ぼすとして特定したリスクが載るようになり、従来のいわば「考えられるリスクの羅列」から一変した。

特に高く評価したいのはSOMPOホールディングスの開示である。同社は特定した27の重大リスクを公表するだけではなく、それぞれのリスクを発生可能性と影響度を評価した「ヒートマップ」として図示し、さらにリスクへの対応状況を説明している。
ヒートマップを見ると、発生可能性は中程度(100年に1回以上)だが、発生した際の影響が極めて大きい(経済的損失で言えば5千億円以上)リスクとして、「経済環境の悪化」「パンデミック」を挙げている。後者の「パンデミック」には、もちろん新型コロナウイルス感染症が及ぼす影響が含まれている。注意したいのは、ここで示されているのは新型コロナ禍としてすでに実現している損失ではなく、これから起こりうる影響であるということだ。同社では「リーマンショック級の市場変動」「企業倒産の増加等の環境変化による支払い拡大」「経済停滞に伴う保険需要の減少や損害率の変化等」「各事業の継続に不可欠な業務の中断」といった多方面かつ長期にわたる影響を想定し、対応を進めていることがわかる。

この2つに比べれば影響度はそこまで大きくはない(経済的損失で言えば500憶円以上)10のリスクのうち、発生可能性が比較的大きい(10年に1回またはそれ以上)ものとして「大型システム開発プロジェクトの遅延等」を挙げ、発生可能性の評価不能なリスクとして「顧客情報漏えい」「サイバー集積リスク」を挙げている。大型システム開発の影響がここまで大きいとは意外に感じるかもしれないが、まさに経営を左右する投資ということになる。

こうしたリスクプロファイルの把握が経営にどう生かされるのか、私たちは対話を通じて確認していく必要があるだろう。
------------------

※この夏もフルーツかき氷を味わうことができました♪

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

保険業の従事者数

この夏は執筆ものに追われていまして、確認のためにいろいろと調べることが多いです。
つい先日には保険産業の規模をつかむ一環として、保険業の就業者数を調べました。総務省統計局の経済センサス-活動調査という統計があり、2016年6月時点で668,466人と出ています。
内訳は生命保険業が361,623人、損害保険業が113,019人、保険媒介代理業が143,966人などです。

他方で、生命保険の募集従事者(営業職員と代理店使用人数)は約120万人、損害保険の募集従事者数は約200万人です(資料は「生命保険の動向」「日本の損害保険-ファクトブック」)。

経済センサスと募集従事者の差は、前者が主として保険業に従事している人なのに対し、後者は募集人として届出をしている人なので、銀行などの金融機関や自動車関連(ディーラーや整備工場)、不動産業などの副業代理店の募集人が数値を押し上げているのでしょう。

参考までに経済センサスによると、銀行業444,342人、協同組織金融業189,647人、郵便局286,945人、自動車小売業571,123人、自動車整備業243,301人、不動産業取引業323,508人、不動産賃貸業・管理業845,185人、税理士事務所140,283人でした。

生保の約120万人と損保の約200万人はかなり重複していると考えられるので、仕事として保険産業に関わっている人は300万人には達していないのでしょう。重複度合いを調べるのは難しいですが…とはいえ仕事として保険に関わっている人の数は結構多いと言えるのではないでしょうか。
なお、共済事業に関わっている人(JAや生協など)を含めると、数値はさらに膨らみますね。

※訪問の目的が胃カメラ検査というのがちょっと寂しい気もします。横浜ランドマークタワーです。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

前期の講義を終えて

大学教員1年目の前期講義が終わり、採点などをしています。

同僚の先生がたと情報交換してみると、オンライン講義は出席率が高く、かつ、下がらない傾向があったようです。確かに私の場合もそうでした。
ただし、ゼミ以外の授業では「音声をミュート」「カメラをオフ」にして授業に臨むので、本当に出席しているかどうかは確認しないとわかりません。前期の経験からすると、どうやら1割くらいの学生はその場にいなかったようです。

2回に1回は小テストを行い、時には感想を聞いたりしたところ、「ゆっくり丁寧でわかりやすい」という声と、「難しいのでもう少しゆっくり話してほしい」という声があり、どうしたものかと悩みました。
後期もいろいろと試行錯誤してみることにしましょう。

2つの保険の講義のうち、片方で保険会社の経営破綻に関する話を2回に分けて行いました。
感想を聞くと、保険会社が次々に破綻したという事実を知って驚いたというコメントが多かったですね。「自分は保険に入っているけど、保険会社の破綻など考えたこともなかった」「ビルの名前か何かで聞いたことがある生保が破綻していたなんて」などなど。
中堅生保の経営破綻が相次いだのは2000年前後なので、20歳前後の学生の皆さんがちょうど生まれたころに起きた事件です。社会科の授業で取り上げることもないでしょうから、知らないのも無理はありません(リーマンショックだっておそらくピンとこないでしょう)。

なるほどそうきたか、というコメントもありました。
例えば、「保険会社は破綻しても再出発できるのですね」というもの。保険会社の破綻の話しかしなかったので、比較のためにJALの話でもすればよかったのかもしれません。とはいえ、生命保険会社の場合、債権者の大半が保険契約者であり、既契約の存続が絶対命題としてあるので、特殊な処理なのは確かですね。

破綻生保の既契約を引き継いだ会社が設定する「早期解約控除」について、「うまいこと考えるなぁ」というコメントには、当事者には申しわけありませんが、思わずクスッとしてしまいました。二次破綻を避けるための苦肉の策だと思うのですが、興味深く映ったようです。

※今年は実家での会食をあきらめ、ケーキを切って実家に持っていきました。
 久しぶりに横浜に戻ってきています。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

保険市場のダイナミズムはどこへ

今週のInswatch Vol.1045(2020.08.10)に寄稿したものです。
再編が進み、過去の話はどこまで語り継がれているのでしょうか。
——————————

自動車保険の取り組み姿勢の違い

九條守氏の著書『保険業界戦後70年史』に、1970年代の話として、自動車保険の販売戦略の違いによって(収入保険料で見た)業界順位が大きく変わったという記述がありました。
本書によると、「整備工場とタイアップしたり、西日本での販売を控えたりする等、事故率を抑える工夫を凝らしてメリハリを利かせて積極的な募集を展開した」会社が順位を上げ、「自動車保険は損害率が高く収益性が悪いという懸念から、経営を危うくしかねないとの判断で、自動車保険の販売に慎重な姿勢を示す会社」が順位を下げたとのことです。
自動車保険だけを見れば収益性が悪くても、多種目販売を積極的に展開すれば、経営を危うくすることにはならず、増収による規模拡大がはかれるという戦略があったと本書は述べています(その戦略が適切かどうかはとりあえず脇に置いておきます)。

ちなみに、私がかつて所属していた会社も、当時、大手のなかで自動車保険に最も積極的に取り組んだ会社であり、積極経営によって業界地位が高まったという話を何度も耳にしました。業界地位とは市場シェアだけでなく、業界での発言力、影響力なども含まれていたようです。
積極経営はその後の積立保険の販売でも見られ、こんどは大手他社も同じように積極的に「年金払積立傷害保険」などを高い予定利率で提供しました。1990年前後のことです。残念ながら当時の保険負債は、その後の低金利でいまだに経営の重荷として残っています。

現在はどうか

当時の損害保険会社の経営環境は現在とは全く違います。カルテル保険料率だったので料率競争はありませんし、護送船団行政ですから、いわば監督官庁が経営リスクを引き受けていました。経営指標として重視されていたのは収入保険料と市場シェア、それと他社比〇〇という数字で、損益は二の次という雰囲気でしたが、それでも自動車保険という成長分野に対する取り組み姿勢には会社により大きな違いがあったということです。

今はどうでしょうか。3メガ損保グループが国内損害保険市場の大半を分け合うようになって久しく、少なくとも国内事業においては、どの会社の経営戦略も大きな違いがないように見えます。
さすがに市場シェア10%を超える会社では、公共的使命という観点から、かつての某社のように(損害率の高い)西日本での販売を控えるといった戦略を打ち出すのは現実的ではないと思います。ただ、もしかしたら成長分野かもしれないサイバーリスクに注力している会社があるとも聞きませんし、コロナ禍での現場対応も似たり寄ったりに見えます。メリハリというよりは総花的と言えるでしょうか。

規制が厳しかった時代に比べ、規制緩和が進んだ(ただし、寡占化も進んだ)現在のほうが市場のダイナミズムが見られると言えないところが、経済政策の難しさを感じます。
——————————

写真(上)の斤券(きんけん)は炭鉱札の一種で、説明によると、「毎日の賃金支払いに通貨(現金)の代わりに支払われた」「実際にはなかなか(通貨に)交換してもらえず、炭鉱内の売勘場(売店)や炭鉱指定店の中だけで通用していた」「急に現金を必要とする場合は納屋頭や炭鉱指定店、高利貸から両替してもらったが、2割から5割の高い割引料をとられることもあった」とのこと。炭鉱労働の厳しさは事故の危険だけでなく、こんなところにもあったのですね。明治から大正にかけてのことです。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

生損保の4-6月期決算から

8月7日までに公表された分だけですが、生損保の4-6月期決算で保険関係の数値を確認してみました。

損害率が低下【損保】

国内損保事業の正味収入保険料は、東京海上日動がほぼ横ばい、他の大手損保は小幅減となりました。ただ、減収は火災保険の再保険コスト上昇によるところが大きいようで、過去の料率引き上げ効果もあり、4-6月期に収入が大きく落ち込むということはありませんでした。

数字が大きく動いたのは支払いのほうです。外出自粛等の影響で発生保険金が減り、損害率が大きく改善しました。
各社の自動車保険のE/I損害率はご覧のとおりです(前年対比)。

 東京海上日動 56.5% ⇒ 46.2%
 三井住友海上 54.7% ⇒ 46.2%
 あいおいND 55.9% ⇒ 48.1%
 損保ジャパン 63.2% ⇒ 48.1%

欧米のようなロックダウンはなくとも、新型コロナ禍が人々の行動を変え、それが数値に現れたということかと思います。

営業自粛で業績落ち込む【生保】

更改契約がある損保に比べると、生保は営業自粛の影響を強く受けた数字となっています。
例えば営業職員チャネルを主力としている会社の「新契約年換算保険料」「新契約件数」(いずれも個人保険、前年同期比)はご覧のとおりです。

 日本生命 ▲59.1% ▲72.1%
 住友生命 ▲54.8% ▲54.4%
 MY生命 ▲35.8% ▲42.3%
 太陽生命 ▲36.8% ▲25.7%
 富国生命 ▲45.3% ▲47.4%

代理店を主力にしている会社として、損保系生保と大同生命の数字も見てみましょう(大同生命は営業職員チャネルの規模も大きいですが、とりあえず)。同じく個人保険の新契約年換算保険料と新契約件数の前年同期比です。

 あんしん生命 ▲21.5% ▲32.9%
 MSA生命  ▲29.2% ▲34.9%
 MSP生命  ▲57.7% ▲73.6%
 ひまわり生命 ▲23.3% ▲31.5%
 大同生命   +26.4% ▲14.3%

MSP生命(三井住友海上プライマリー生命)は銀行窓販専門会社なので傾向が違うのはわかるとして、それ以外の会社は大手よりも落ち込みが小さいように見えます。ただ、2019年4-6月期の数字は経営者保険の提供休止などの影響を受けているので、代理店チャネルのほうが落ち込みが小さいと言っていいものか、まだわかりません。

とりあえず速報ということで。

※石炭記念館に「白蓮夫人」の写真がありました。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

過去20年の寄稿から見えるもの

保険ジャーナリスト森田直子さんが直近のinswatch Professional Reportのなかで、この20年間の原稿執筆依頼の変化から保険の販売チャネルの動向が見えるという興味深い記事を書いていました。なるほどと思い、自分の場合はどうだろうと、さっそく過去に新聞や経済誌に寄稿した文章をリストアップして、タイトルを眺めてみました
(ご参考までに最後にリストを載せています…私の備忘録ですね)。

東洋経済の保険特集号に1999年から2017年まで寄稿していた(一時中断あり)こともあり、この20年間、ありがたいことに保険関係の論考をほぼ途切れることなく寄稿してきました。しかし、ここから保険業界の変化が感じとれるかといえば、そうでもなさそうです。

寄稿の特徴としては、

・保険会社の経営分析が多い(「アナリスト」を名乗っているので当然ですね)
・内外の健全性規制の解説も多い
・最も多いのは経営改革を求めるもの

の3点でしょうか。私の求められる役割がこの3点だと言えばそれまでですが、変化というよりは、むしろ一貫して「保険会社の経営改革」を訴え続けてきたということになりそうです。
逆に言えば、20年前も今も「ガバナンス」「リスクマネジメント」「販売至上主義からの脱却」が保険会社の課題であり続けている(少なくとも私にはそう見える)ということですね。

もちろん、保険会社の経営が20年前から全く変わっていないというのではなく、変化はしているのだけど、求められる水準が上がっている、あるいは、事業の多角化などにより、求められる内容も変わってきているのだと思います。

【新聞・経済誌への主な寄稿】
 <格付アナリスト(R&I)>
「生保の予定利率引き下げ」2001.8.20 読売新聞『けいざい講座』
「生保契約者の保護充実を」2001.11.20 日本経済新聞『経済教室』
「経営戦略の『リセット』へ 株式会社化のお勧め」2003.8 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「国内生保の経営改革始まる」2004.7 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「生保危機は去ったのか?求められる社会保障の補完的役割」2005.9 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「顧客に合わせた経営スタイルを構築せよ」2006.8 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「保険不払い、どう考える」2007.5.6 朝日新聞『耕論』
「金融庁が求める基準見直しの狙い」2007.6.26 週刊エコノミスト
「今度こそ『販売至上主義』から『顧客重視』経営への転換を」2007.10 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「生保経営統治向上急げ」2008.8.22 日本経済新聞『経済教室』
「破綻危機は去ったのか? なお潜伏する経営リスク」2008.10 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「特集 共済vs.生保-【4 共済の実態】格付けアナリストが深層に迫る-大手共済徹底分析」2008.11.29 週刊東洋経済
「AIGショックに揺れる米国生保 不安視される日本の生保事業の行方」2009.1.31 週刊ダイヤモンド
「保険危機再来に問う『ガバナンスは万全か』」2009.4.18 週刊東洋経済
「2008年度の生保決算分析」2009.8.17 週刊金融財政事情
「ポスト金融危機の保険経営」2009.10 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「金融危機と保険会社のリスク管理態勢」2009.12.21 週刊金融財政事情

 <金融庁>
「保険会社に対する健全性規制の最近の動向」2011.4.18 週刊金融財政事情

 <キャピタス>
「注目が集まるERM経営」2013.3.9 週刊ダイヤモンド
「異次元緩和下における生保のリスクマネジメント」2013.10 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「4大共済の実力分析」2013.8.24 週刊東洋経済
「主要生損保のリスク戦略」2014.10 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「進む保険の国際規制改革」2015.1.17 週刊ダイヤモンド
「大型M&Aがゴールではない 海外展開で問われるERM経営」2015.10 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「高騰する地震保険料 広がる都道府県の格差」2016.1.16 週刊東洋経済
「マイナス金利政策の導入で問われる生保経営の成熟度」2016.4.23 週刊ダイヤモンド
「未曽有の利回り曲線平坦化に生保経営はどう対応するのか」2016.10 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「保険会社による適切なリスクテイクとは」2017.10 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「超低金利と技術革新が迫るチャネル戦略の再構築」2018.6.18 週刊金融財政事情
「主要生保経営の現状と課題を探る」2019.2.4 週刊金融財政事情
「最高益は見せ掛けにすぎない 生保経営の真実に迫る」2019.6.15 週刊ダイヤモンド

 <福岡大学>
「大手損保グループの2020年3月期決算分析」2020.7.6 週刊金融財政事情

※写真は筑豊電鉄です。
 終点・直方のアーケード街は閑散としていました。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

2020年の生保総代会

今回のALS患者嘱託殺人はいろいろと考えさせることが多い事件だとは思います。さらに、医師免許の不正取得なんて話も飛び出しました。
ただ、この事件に限らず、捜査関係者から情報がポロっ、ポロっと出てくるのは、何だかすっきりしません。かんぽ生命の入検情報を漏らすのはダメで(絶対ダメだと思いますが)、同じく公務員である捜査関係者がメディアに情報を漏らすのはOKとされているのは、どうしてなのでしょうか。

委任状による出席が大半

さて、国内系生保のうち6社は相互会社で、いずれも7月2日に総代会を開いています。
相互会社には株主が存在せず、株主総会にあたるのが、社員(契約者)のなかから選ばれた総代が構成する総代会です。総代会では剰余金の処分、定款の変更、取締役の選任などを決議します。

6社の議事録や質疑応答の要旨が公表されたので、確認してみました。
まず例年と大きく異なるのは、リアルな主席者の数です。

日本生命 出席198名(うち委任状141名)
住友生命 出席175名(うち委任状121名)
明治安田生命 出席218名(うち委任状213名)
朝日生命 出席148名(うち委任状138名)
富国生命 出席115名(うち委任状86名)

これを見ると、明治安田生命ではリアルな出席者は5名だったということですね。
日本生命の場合、「委任状による出席者のうち、117名については、支社または東京本部(丸の内ビル)等にて、社内衛星放送を通じ総代会の審議等の状況を確認し、質問等もできる環境で参加していた」とのこと。他社にはそのような記述がないので、前向きな対応ととらえるべきなのかもしれません。ただ、ガバナンスという点では、委任状を出した後での質問にどのような意味があるのかとも思ってしまいます。

質問内容はどうか

質疑応答の要旨を見ると、どの会社でも、新型コロナウイルス感染症に関するものが非常に多かったようです。
特に6社はいずれも営業職員組織による対面販売を主力としているので、「今後の顧客対応をどう考えているか」「対面営業が難しいなか、今後の対応の方向性を説明してほしい」といった質問が相次いだ模様です。

他方で、毎回感じるのですが、社員たる契約者の関心事項であろう経営の健全性や、社員還元に関する質問は必ずしも多くはありません(なぜか商品に関する質問が多いです)。どの質問も広い意味では経営に関することなのですが、実際の数字を踏まえた損益・財務に関する質問は少ないですし、上場生保の大株主のような、経営者の姿勢を問うような厳しい質問もほとんど見かけません。

ちなみに、次のような質問や意見はありました。

「わが国では着実に高齢化が進む中で、海外で社員や契約を増やしたり、あるいは利益を得て国内に還元する戦略や取組みは極めて重要と考えます。今後もそのことを重視した経営をお願い致します」【住友生命】

「損益状況の推移について。保険料等収入が減少しているものの、保険金等支払金も減っているため、経常利益が増えていると理解しています。この収益構造に問題点や課題はないのでしょうか」【朝日生命】

詳しくは各社のサイトをご覧ください。
日本生命
住友生命
明治安田生命
朝日生命
富国生命

※海からの風で松が何となく傾いています。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

小笠原長行

週末に佐賀県の唐津に行きました。
福岡市営地下鉄がJR筑肥線に乗り入れていて、約1時間で到着します。

唐津城では、幕末に活躍した小笠原長行(ながみち)という人物に関心を持ちました。

 1822年(文政5年)唐津藩主の長男として生まれる
 ・翌年父が亡くなるが、幼少のため藩主になれず
 ・江戸に出て、学問に励む

 1857年(安政5年)土佐藩主・山内容堂らの推挙により世継ぎとなる
 1862年(文久2年)幕閣に入り、若年寄を経て老中格となる
 ・生麦事件の処理にあたる(賠償金支払い問題)

 1865年(慶応元年)老中となる
 ・長州処分の全権を委任される
 ・第二次長州征討で小倉口総督となるが、敗北

 1868年(慶応4年)大政奉還
 ・戊辰戦争で会津、箱館(函館)まで従軍
 ・その後、東京で隠遁生活を送る

 (唐津城の展示および唐津市サイトより作成)

藩主の長男として生まれたにもかかわらず、お国の事情から世継ぎになれなかった人物が、40歳くらいになって頭角を現し、短期間で異例の昇進を遂げ、老中となっています。しかも、何度も失脚しては、そのたびにカムバックしているのです。
逆に言うと、勝海舟もそうですが、この時代の幕府は必要とあれば柔軟な人事政策をとっていたのですね。

恥ずかしながら私は小笠原長行の存在を全く知りませんでしたが、幕府が滅亡にいたるなかでの重要人物であることは間違いなさそうです。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。