2019年度決算では、新型コロナ禍に伴う金融市場の乱高下の影響で、多額の有価証券評価損を計上した国内系生保がいくつかありました。評価損の内訳は「株式等」「外国証券」が大半を占めています。
例によって四半期ごとに分けて見てみると、評価損の計上に合わせるかのように、有価証券売却益が1-3月期になって急増している会社がみられます。
好意的に見れば、価格が下がる前に利益を確定したのかもしれません。しかし、この時期だけ突出して売却益が多く、かつ、比較的動きが小さかった国内債券もそこそこ含まれているとなると、通常の資産運用というよりは、3月決算を意識した利益計上を行ったのではないかと考えてしまいます。
資産運用で積極的にリスクをとるという経営判断は理解できるとしても、決算を作りに行くような行動は、どう理解したらいいのでしょうか。
新型コロナ対応といえば、3月以降、大手生保の契約者貸付が急増しているというニュースがありました(5/24のNHKなど)。
そこで、各社の契約者貸付(保険約款貸付)を確認してみると、大手生保(日本、第一、住友、明治安田)の貸付残高は3か月前と比べてむしろ減っていました。
本格的に増えたのは4月以降なのかもしれませんが、中小企業を顧客基盤とする大同生命では貸付残高が急増していますし、顧客に中小企業のオーナーが多そうなソニー生命やプルデンシャル生命でも、通常よりも増えていますので、顧客基盤のちがいが大きいようです。NHKは取材する相手を間違えたのでは…
1-3月になって解約返戻金が急に増えた会社もありました。第一フロンティア生命とMSプライマリー生命が顕著に増えていて、明治安田生命や住友生命でも増えているので、おそらく銀行で一時払いの貯蓄性保険に加入した人が、何らかの理由で保険を解約したのでしょう。
※アクロス山の登頂に成功しました(笑)