JALが更生法申請

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日本航空がついに会社更生法の適用を申請しました。
今後は企業再生支援機構をスポンサーとして再建を図ります。

支援機構の試算によると、2010/3末で8676億円の債務超過(見込み)。
金融機関の債権削減と支援機構による出資で債務超過を解消し、
路線整理や人員削減などのリストラを進め、再建を目指すとのことです。
株式は100%減資。貸付金は最大83%削減です(社債は不明)。

世界的に見れば、大手航空会社の破綻は珍しくありません。
米国では91年のパンアメリカン、02年のユナイテッド、
05年にはデルタとノースウェストなど多くの事例があります。
欧州でもスイス航空(02年)やサベナ・ベルギー航空(02年)、
アリタリア航空(08年)などの例が挙げられます。

JALの場合、破綻の直接の要因は近年の燃料価格高騰と
国際競争の激化、そして金融危機後の景気低迷なのでしょう。

しかし、国際線の競争は激しいとはいえ、国内線は実質2社独占です。
国内航空需要は緩やかながら増加傾向が続いてきました
(国際線も増加トレンドですが変動が激しいです)。
しかも、ビジネス需要では日系キャリア志向は非常に強いものがあります。
それでもJALは経営危機に陥ってしまいました。

おそらく経営や政府など様々な問題があったのでしょう。
政府が全面的に関わるわけですから、再建を果たすとともに、
なぜこのような事態を招いたのか、きちんと検証してほしいです。

※写真はコピペではなく、自分で撮ったものです。

 

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大震災から15年

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きょう17日は阪神・淡路大震災の発生から15年ということで、
兵庫県などが主催する追悼式をはじめ、様々な追悼行事が行われています。

当時の私は鉄道会社を担当していました(保険担当ではなかったのです)。
さすがに震災直後の現地入りはかないませんでしたが、
4月上旬に阪神地区を訪れ、インタビューに加え、実地調査を行いました。
確かJRが復旧したばかりのタイミングだったように思います。

震災から2カ月弱たっていたとはいえ、多くの建物は崩れたまま、
道路はがたがたで歩きにくく、空気はほこりだらけでした。
しかし、三宮から電車で15分くらいの大阪は全く普通の状態で、
あまりのコントラストに衝撃を受けた記憶があります。

当時の調査メモをみると、次のようなことが書いてありました。

「(ある銀行の)取引先の社長で亡くなった人はいない。金持ちは強かった。
 金持ちでなく、会社のサポートもなく、古い家に住む弱い立場の人が
 一番ダメージを受け、現在でも困難が続いている感じ」

「テレビでは『避難所リーダーがんばる』といったものが目立つが、
 実際にはリーダーになれるような人は会社に出勤してしまい、
 女性は軽視されることが多く、リーダー不在が目立つ」

地震予測の技術が進んだとはいえ、いつどこで同じような被害が
発生しても不思議ではありません。
まずは家族で万一のときにはどうするか、話をしようと思います。

※横浜の山下公園です。この公園は関東大震災の復興事業として
 がれきを埋め立てて作られたそうです。

 

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大手金融機関への特別課金

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米政府が大手金融機関約50社に対し、10年間で900億ドルの
「金融危機責任手数料」を徴収するそうです。
金融システム安定のために使った公的資金の損失を
穴埋めするのが目的とのこと。

最近の米国の報道を見ていると、金融機関や、金融機関を救済した
FRBに対する風当たりが非常に強まっているようです。

例えばAIGを通じた「裏口救済」に関連し、当時NY連銀総裁だった
ガイトナー財務長官が電子メールや通話記録等の提出を
下院委員会から求められたりしています。
今回の特別課金はこうした動きに対応したものなのでしょう。

ただ、ボーナスに課税するのとは違い、課金すなわち増税の場合、
利用者に転嫁されるだけのようにも思います。

それより気になるのは、米国の金融機関が本当に復活したのか
ということです。
日本の経験を踏まえれば、不動産バブル崩壊の影響から
米国経済がそう短期間で立ち直れるとは思えないのですが。

 

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欧米への本格進出

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本日(12日)の日経新聞5面、明治安田生命・松尾憲治社長が
インタビュー記事のなかで、次のように語っています。

「即効性を考えれば巨大市場の欧米だ。本格的に進出することを検討し、
 一部は10年度中にメドをつけたい」

確かに日本の大手保険会社の場合、日本の事業が大きいので、
少しくらい海外に出ても、ほとんど補完になりません。

海外展開を本格化し、事業の柱にするというのであれば、
欧米市場への進出は不可欠でしょう。
損保では東京海上がそのように動いていますね。

やや引っかかるのが、相互会社という点です。
もちろん、相互会社もM&Aによる海外展開は可能です。
ただ、社員(=契約者)は会社が海外事業でリスクをとることを
望むのでしょうか。株式会社であれば理解できるのですが。

※横浜シリーズ。今回は赤レンガ倉庫です。
 スケートリンクがありました。

 

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自転車は左側通行

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寒さに負けず、週末サイクリング(ポタリング?)に出かけています。
今日は大倉山の自宅から旧綱島街道などを通って横浜へ。
目的地は関内ホール(娘がバレエ発表会のリハをしていたので)でしたが、
途中のみなとみらい地区はたくさんの人でにぎわっていました。
往復だいたい30キロほどのちょっとしたトレーニングです。

空前の自転車ブームのおかげで認知度が高まったのはいいのですが、
相変わらず車道の右側を走る自転車が多いですね。
車がそこそこ通る道で正面から自転車が来ると、本当に怖いです。

そのまま何とかやりすごせばいいのでしょうけど、
私は時々、心を鬼にして、「左側通行ですよ!」と叫んだり、
手で→に移るようにサインを送ったりするようにしています。

でも、素直に応じてくれる人は少ないですね(特に大人は)。
「うるせー」とか言われることもしばしば。
女の人も「うるせー」とか言うんですよ。

日本では自転車が交通システムのなかに、
まだまだ中途半端な形でしか組み込まれていない状況です。
だいいち自転車が安心して走れる道が少ないですし、
車からも歩行者からも邪魔者扱いされているように感じます。

それでも、日本でもようやく交通機関としての自転車に
スポットを当てる動きが出始めました。
自転車は排ガスを出さないし、場所もそれほどとりません。
駐車場1台分でいったい何台自転車を停めることができるでしょう。

別にすべての人が自転車に乗らなくてもいいのですが、
もう少し自転車の役割を見直そうという動きになっているのは確かです。
そのような流れに水を差さないためにも、せめて逆走というルール違反だけは
やめてもらいたいものです。

※写真は大桟橋です。左が飛鳥Ⅱ、右がふじ丸。
 船にももちろん交通ルールがあるそうですね。

 

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住宅ローン返済相談が急増

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けさ(1/7)の日経朝刊です。
住宅ローン返済に関する大手銀行への相談が急増しているとのこと。
記事には12月の金融円滑化法の施行と、ボーナス減額によるとあります。
もっとも、記事によると中小企業からの相談は大きく増えてはいないそうです。

同じ日経に「新春住宅特集」という全面広告記事がありました。
そこに掲載された「金利タイプ別の利用率」という図表によると、
変動金利型が45%を占めています。
加えて、固定期間選択型(31%)にも固定期間2、3年のものが
結構多いはずです。

顧客が目先の金利が低いローンを望むのか、
それとも銀行が提供したがるのかはわかりませんが、
個人所得が厳しいなかで金利水準が上がると
大変なことになるのではと心配です。

※みなとみらいの汽車道です。
 みなとみらいも高層マンションが増えましたね。

 

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「保険情報」の新春座談会

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お気づきかもしれませんが、検索機能が加わりました。
たぶん自分が一番使うんじゃないかと思います^^

業界紙「保険情報」(保険社)の新春特集号に
私のインタビュー記事が掲載されました。
テーマは「相互会社の株式会社化」です。
株式会社化のメリットやデメリット、海外動向、
株式会社化後の変化などについてコメントしています。

保険情報のHPへ

さて、送っていただいた掲載紙のなかに、
「第三分野商品の今後と課題」という新春座談会があり、
目を引きました。

出席者は日本興亜生命・保険計理人の海老崎美由紀さん、
内山アンダーライティング・法学博士の千々松愛子さん、
あいおい基礎研究所の福岡藤乃さんです(いずれも女性)。

例えば、日本で主流の日額方式について、

「日本のように日額方式が主流の国は珍しく、
 ガラパゴス的な保障体系になっている(福岡氏)」

「実損型だと同じ症例でも支払額が違ってしまうので、
 納得感を得るのが難しいかもしれない(海老崎氏)」

「保険会社から給付金が支払われているにもかかわらず、
 病院の支払いには回っていないという現実がある(福岡氏)」

といった感じで議論が進んでいきます。

全体として、アクチュアリー、あるいは現場を知る研究者の視点から
民間医療保険のあるべき姿や今後の方向性が議論されていて
非常に興味深く拝見しました。

※この観覧車には2台だけガラス張りのものがあり、
 人気を集めているようです。

 

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日経優秀製品・サービス賞

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その年の新製品・サービスのなかで優れたものを表彰する
「2009年日経優秀製品・サービス賞」が発表されました。

そのなかに、トヨタの新型プリウスや三菱自の電気自動車、
キリンのビール風味飲料フリーなどとともに、
損保ジャパンひまわり生命「健康のお守り」が入りました。
金融・保険関連では唯一の受賞です。

受賞理由は保険料を業界最低水準に抑えたこと、
発売から約1年で約26万件を販売したこと、
健康保険が適用されない先進医療特約を出したこと、
などとあります。

この商品が同種の終身医療保険のなかで保険料が安く、
保険ショップなどで人気があるのはわかります。
2009年を代表する保険商品だったということなのでしょう。

ただ、なぜこの商品が優れているのか、受賞理由をみるかぎりでは
「保険料が安く見える」「たくさん売れた」しかわかりません。
数ある金融・保険商品をいったいどのように比較したのか、
選考過程をぜひ知りたいところです。

参考までに、ここ数年に受賞した金融・保険商品は次の通りです。

2008 住友生命「がん長期サポート特約」
    (追加料金なしで生前給付特約を付けることができる)

2007 セゾン投信「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」
    (手数料を一般の投信の半分に抑えた商品)

2006 三井住友銀行「三大疾病保障付住宅ローン」
    野村アセット「ノムラ・オールインワン・ファンド」(国際分散投資の投信)

2005 住友生命「千客万頼」
    カブドットコム証券「シニア割引」(高齢者向け証券取引手数料割引サービス)
    巣鴨信金「がんじがらめの安心口座“盗人御用”」
    (セキュリティ対応の預金口座)

2004 敦賀信用金庫「リサイクル定期」
    (地域のリサイクル活動に応じて金利が上がる定期預金)
    東京三菱銀行・手のひら静脈の模様で本人確認する多機能ICカード
    みずほ銀行「みずほマイレージクラブ」

2003 三井住友銀行「One s Style」(20-30歳代専用口座)
    UFJ銀行「UFJ24」(24時間稼働の銀行窓口)

※写真は地元・熊野神社の狛犬です。赤い色がきれいですよね。

 

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今年もよろしくお願いします

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あけましておめでとうございます。
2010年はどんな年になるのでしょうか。

保険関係では4月にイベントが集中していますね。
損保の3社統合、2社統合がありますし、
第一生命の株式会社化&上場も4月です。
保険法も施行になりますね。

国際会計基準の保険会計プロジェクトも
4月にはED(公開草案)が公表される予定だそうです。

再編がらみでは他にもAIG関連やINGなど
昨年からの案件がありますね。いったいどうなるのでしょうか。

もっとも、本当の変化はイベントとして生じるだけではなく、
「気がついたら大きく変わっていた」というほうが多いかもしれません。
大きな変化の兆候を的確にとらえられるよう、
しっかりと観察・分析を続けていきたいと思います。

何かと動きの大きい年になりそうですが、
今後も時間を見つけてアナリストのコメントを書いていきたいです。
引き続きよろしくお願いいたします。

※左は横浜の伊勢山皇大神宮、右は地元の太尾神社です。
 初詣の人出は年々増えているように感じます。

 

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保険に入らなくなった?

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土曜日(12/26)の日経「日本gene U-29」のテーマの一つが
「保険に入らなくなった?」でした。

記事の中身はご覧いただくとして、使われた図表のなかに
「20代の生保加入率は大きく低下」というものがありました。
このデータは以前もここで取り上げたことのある
「生命保険に関する全国実態調査」の一部です。
HPには過去3回分の調査結果が掲載されています。

生命保険文化センターのHPへ

調査によると、1991年には約90%だった29歳以下世帯の加入率が、
2009年には71.6%まで下がったことが示されています。

ただ、直近の調査から「生協・全労済」も含まれるようになりました。
従来の「民保、簡保、JA」だけの加入率をざっと計算すると、
おそらく65%程度まで下がっているようです。

興味深いのは、今回加わった「生協・全労済」の加入率です。
全年齢では28.8%なのに対し、29歳以下は29.6%でした。

生協・全労済の主力である「一律掛金、一律保障」商品は
若年層には本来、相対的に不利なはずですが
(リスクの異なる20代も50代も同じ掛け金なので)、
それでも29歳以下世帯の支持を集めているのですね。

若年層の生保加入率低下の原因として
「オフィスのセキュリティー強化(=営業員が職場に入れない)」
がしばしば挙げられます。

しかし、このような生協・全労済の加入率をみると、
これは従来のビジネスモデルを前提にした言い訳のように
聞こえてしまいますね
(他に「若年層の所得水準低下」という深刻な要素もあると思いますが…)。

 

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