13. 保険マスコミ時評

「減益」報道に違和感

 

主要生損保の2010年4-12月期決算が出そろいました。

「主要生保 8社減益」
「3メガ損保 2社が減益」
「生保8社 株価低迷などで5社が減益」
「損保は2社が減益」

このような報道が中心だったようですが、
果たして「減益」にどのような意味があるのでしょうか?

例えば生損保の最終利益は、たまたまその期に
多額の資産売却益があると大きく膨らむでしょう。
評価損の場合には、株価下落の影響が同じであっても、
採用する減損ルールによって計上額が全く異なります。

保険関連の損益にしても、販売が好調な時ほど
新契約獲得費用がかさみ、減益になりがちです。
損保の損害率が上昇しても、異常危険準備金が
ある程度クッションになります(枯渇してしまえば別ですが)。

今回の生保決算では基礎利益の減益要因として
変額年金の最低保証関連コストが大きかったようです。
しかし、これは「本業のもうけを示す」のでしょうか。

今の日本の保険会計をもとに、他業界と同じ流れで
「減収となったものの、基礎利益は増加した」
「増収ながら減益を余儀なくされた」
などと解説しても、何も言っていないのと同じだと思います。

もう少し中身に注目したほうがいいのではないでしょうか。

※いつものように個人的なコメントということでお願いしますね。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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“強い”保険会社ランキング

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今回も週刊東洋経済の保険特集について。
10/20のブログで、「中には?と感じる記事もあった」と
「“強い”保険会社のランキング」を名指ししてしまったので、
その理由をコメントしておきます。

なお、特集号全体としての感想は、同じ日のブログで
「興味深い企画がいろいろとあり、面白かった」ですから、
関係者の皆さんは気を悪くしないで下さいね。

例えば生保の総合ランキングをみると、

「基盤力」=保有契約年換算保険料の伸び率
「収益力」=基礎利益の実額
「効率性」=事業費÷保険料等収入
「安定性」=実質純資産額÷一般勘定資産
「健全性」=ソルベンシーマージン比率(SMR)

のそれぞれを良好な順に並べ、1位24点・・・24位1点と点数を振り、
各項目の得点を単純合算して総合ランキングを出しています。

この結果、例えば規模が大きく(収益力は基礎利益の実額!)、
貯蓄性商品の販売が大きく(基盤力、効率性に強く影響します)、
SMRが他社よりも高い会社が高得点を獲得しています
(SMRが1006%あっても8点しかとれません)。

問題点を整理すると、①各項目の指標の選び方に問題がある、
②単純に点数を振っているので、わずかな違いでも点差が開く
(特に「安定性」「健全性」で顕著)、③各項目を単純合算している、
といったところでしょうか。

これをもって“実力”とか“体力”とか言ってしまうのは
私にはかなり抵抗があります
(損保についても基本的には同じです)。

AIGの経営危機で格付けの信頼性が揺らいだとはいえ、
主要な格付け会社の格付けを並べたほうが、
はるかにマシだったのではないでしょうか。

もしそれだけでは不十分というのであれば
(格付けはグループ評価だったりしますので)、
格付け一覧に加え、例えば「株価下落や円高の影響度」
「予定利率の負担度合い」「保有契約のトレンド」といった
経営への影響が大きそうな情報を補足すれば、
より各社の実力や体力が浮き彫りになったでしょう。

このような困った総合ランキングが経済誌等に載るのは
そろそろ勘弁してほしいものです。

※日曜日は娘と渋谷でデート。
 渋谷のロフトは何年ぶりでしょうか?

 

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週刊東洋経済の保険特集②

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前回触れた「加入後のフォロー体制ランキング」について
やや舌足らずだったので、再度コメントします。

商品内容や料率だけではなく、加入後のフォロー体制についても
しっかりチェックしようという考えは正しいと思います。
このような比較表は読者にとって参考になるでしょう。
そういう意味で「新鮮」と書きました。

ただ、比較表だけではなく、「ランキング」となると、
ビジネスモデルの異なる会社を比べている点で抵抗があります。

例えば、契約者へのアフターフォローを、会社がルールとして
営業職員や代理店にやらせる仕組みがあれば高得点で、
営業職員や代理店が独自に行う仕組みだと高得点は取れません。

ターンオーバーの激しい営業職員チャネルで、かつ、
複雑なパッケージ商品を提供するモデルであれば、
会社がルールとしてフォローを徹底し、全体の底上げを
図る必要があるのでしょう。
放置しておくと品質のばらつきが大きくなってしまうからです。

しかし、厳選された営業職員や代理店による販売モデルなら、
極端に言えば、会社がわざわざルール化しなくても、
十分なアフターフォローが期待できます。

つまり、例えばコンビニのマニュアル化されたサービスと、
接客のプロによるサービスを同じ物差しで測っていいのかという疑問です。

また、「郵送による情報提供回数」「コールセンターのスタッフ」では、
「回数が多い」「スタッフが正社員」だと高得点です。
確かにアフターフォローだけを考えればそうなのですが、
その分コストがかかるので、一般的には保険料に反映されます。

このようにみると、今回のランキングで大手生保が高得点となったのは、
支払い問題を経た現在、当然の結果のようにも思えます。

反対に、ライフネットや県民共済(今回は対象外)のように、
割安でわかりやすい(と顧客が感じる)商品に自発的に
加入してもらうモデルでは、このランキングで高得点は望めません。
でも、彼らに大手と同じフォロー体制を求めるべきなのでしょうか。

長々と書きましたが、要はビジネスモデルが異なれば、
求められるアフターフォローも異なるということだと思います
(最低限必要なアフターフォローというものはありそうですが...)。

次の機会があれば、ビジネスモデルをある程度そろえたうえで、
質問も多少変えてランキングしてみてはいかがでしょうか。

※いつものように意見には個人差があるということでお願いします。

※今回の写真も川和富士です。
 調べてみたら、現在の富士塚は二代目で、
 初代は港北ニュータウン建設の際に壊されてしまったとか。

 

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週刊東洋経済の保険特集

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今週の週刊東洋経済は保険特集号でした。
タイトルは「『いざ』という時の頼れる保険」。
60ページにも及ぶ大特集でした。

中には?と感じる記事もあったとはいえ
(例えば「“強い”保険会社のランキング」など)、
興味深い企画がいろいろとあり、面白かったです。

まず、大手生保の営業職員(または営業担当者)と
人気FPが保険プランの提案で対決するという企画。
むしろ「対面販売の生保がFPに挑む」と言うのが
正しいかもしれません。

7つのケースを読むと、大手生保、FPそれぞれの
プランニングの特徴が浮き彫りになり、勉強になります。
多くの世帯が既に保険に加入していることを踏まえると、
次回は「保障見直し」対決を読みたいですね。

「加入後のフォロー体制ランキング」も新鮮でした。
異なるビジネスモデルの会社を比べるのは
やや無理があるように感じましたが
(充実したフォローにはコストがかかるはずなので)、
同じ営業職員主体でも、結構差がつくものなのですね。
プルデンシャル生命がないのは、未回答だったのでしょうか?

他にも「どちらがいい?対面vsネット」や「保険ショップの裏側」
「コールセンター実態調査」「本当にお得な自動車保険は」
などの記事が私には興味深かったです。

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※ようやく秋らしくなりましたね。
 写真はいずれも横浜市緑区の風景です。

 

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東洋経済の「生保・損保特集」

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2010年版の「生保・損保特集」が出ました。
週刊東洋経済の臨時増刊として毎年出ているもので、
最近の保険業界の動向を手軽につかむことができます。

今回のテーマは「顧客接点強化」でした。

巻頭特集の「『顧客接点』強化へ大改革」では、
日本生命の取り組みを中心に紹介。

続いて、「チャネル改革で主力商品にも変化」
「銀行窓販は拡大期」「女性向け新商品の販売戦略」
「販売チャネルの新潮流」「コールセンターは重要拠点」
「損保代理店の『新常識』」「損害サービス大改革」
と顧客接点に関する記事のオンパレード。

記事と記事の間には社長インタビューが入ります。

ただ、このような構成の場合、記事が単に保険会社の取り組みを
紹介するだけでは業界の広報誌みたいになってしまいます。
きちんとした現状分析(=どこに問題があるのか)や、
各社の取り組みに対する評価がほしいところです。

私の要求が厳しすぎるのかもしれませんが、
全体的にもう少し深い突っ込みがほしかったですね。

読者の中心が業界関係者だとすると、読者の多くは
この10年間の保険市場(特に生保)の縮小を実感しています。

各社が現在取り組んでいる顧客接点強化によって、
本当に将来展望が開けるのか、それとも流れを変えるには
もっと大規模なビジネスモデルの見直しが必要なのか。

どうも読者の知りたいことと、実際の記事に乖離があるように感じました。

保険会社の広告が掲載されるうえ、近年は就職特集も見られるなど、
様々な制約や苦労があるのは想像できます。
しかし、ここ数年、読みごたえのある記事が減っているように
感じるのは私だけでしょうか。

アナリストやアクチュアリーなどの専門家ではなく、
普通の業界人が読んで、「へぇ、そうなんだ!」と感じるような記事が
何本も載っている特集号が理想なのでしょうね。

私は転職するまで10年連続で執筆していたので
(今回は執筆していません)、特集号の刊行を楽しみにしていました。
そんな事情もあり、ちょっと辛口コメントになってしまいました。

(おまけ)
損保各社の社長が代理店について大いに語った後に、
「保険会社は口出しすぎ 本当の差別化とは何か」
という損保代理店による「ホンネ匿名座談会」があって、
これは面白かったです。

 

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大手銀、保険の品目拡大

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15日(木)の日経新聞「大手銀、保険の品目拡大」について。

「投資性商品に加え『医療』『介護』」
「手数料収入の安定狙う」
「『1ヵ所で相談』顧客に利便性」

という見出しが並んでいます。

銀行であらゆる金融商品の相談をしたいと考える人が
世の中にどれだけいるかどうかはさておき、
せっかく「銀行の保険販売」というテーマを取り上げたのに、
大手銀行の取り組みを並べただけの残念な記事でした。

そもそも、銀行の保険販売の現状がほとんど書いてありません。

2007年12月の全面解禁から2年半たったわけですが、
どの程度売れているのか、何が売れているのか、
どの銀行が売れているのか、といった何らかの現状分析
(ちょっとだけでもいいのです)を踏まえたうえで、
各銀行の取り組みを紹介するのが普通でしょう。

もし解禁後も全般的に低調というのであれば、
どこかに問題があるのでしょう。記事にあるような、

「休日や夜間でも相談や契約に応じる体制づくりが次の課題」

という次元の話ではないことは明らかです。

もしMS銀行が好調で、MF銀行がそうでないとしたら、
どこに違いがあるのかが知りたいですよね
(「保険コンサルタント」が力を発揮しているから?
 経営が保険販売をリテール戦略の柱に据えているから?)。

例えば、2009年度は大手生保の一時払い終身保険が売れました
(足元の動向は公表データがないのでわかりませんが…)。
銀行の顧客はこの保険を「保障」として買ったのか、
「貯蓄」あるいは他の目的で買ったのかがわかれば、
また別の切り口で大手銀行の取り組みを紹介できるでしょう。

いずれにしても、日経にはもう少し突っ込んだ記事を期待したいですね。

※写真はわが家のアイドル、白クマとグッピーです。

 

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inswatch10周年セミナー

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保険代理店向けメールマガジン「inswatch(インスウオッチ)」が
創刊から10周年を迎えます。

ご存じの方も多いと思いますが、inswatchは保険代理店
(特にプロ代理店)をターゲットとした週刊誌です。

保険会社の発信する情報や既存の業界誌との最大の違いは、
共同編集人が中崎章夫さん、石井秀樹さんという
「現場系」保険ジャーナリストだということに尽きます。

中立性ということに加え、毎週送られてくるinswatchからは
お二人の保険販売業への愛情やメッセージが伝わってきます
(ちなみに私は有料購読者です。念のため)。

そんなお二人に共感した、というと大げさですが、
私も2001年4月からこの3月まで「保険アナリストの視点」を
隔月で寄稿させていただきました。
足かけ9年間にもなるのですね。ちょっとびっくりです。

保険販売業をめぐる経営環境は、おおむね創刊時(2000年8月)に
言われていた通りになっているようです。
代理店の数は2001年の34万店から、20万店強まで減りました。
販売チャネルの多様化が進み、ネットの活用も当たり前になっています。

ここからの10年を考えると、inswatchのような情報が
ますます価値を持ってくるように思います
(ベテランジャーナリストの健康が心配という別の問題もありますが...)

そのinswathchが10周年を記念して、セミナーを開催するそうです。
テーマは「保険代理店の昨日、今日、明日」。
RINGのオープンセミナーとはまた違った話が聞けるのではないでしょうか
(有料なので、そうじゃなかったら参加者に怒られますよね^^)。

10周年セミナー案内HPへ

※写真の自転車道は三鷹の先から多摩湖まで、ほぼまっすぐに続いています。
 都合により途中で引き返しましたが、次回は湖まで行きたいです。

 

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週刊ダイヤの保険特集

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週刊ダイヤモンドの今週号(2010.3.20)は保険特集号でした。
「保険をリストラ!」というタイトルで、保険の見直し術について
多くのページを割いています。

アナリストとしては、保険会社の経営についての記事が
ほとんどないのがちょっと残念です。
まあ、これも仕方がないことなのでしょう。

P71に「納得のいく生保購入ルートを探せ!」という
フローチャートがありました。
タイプ別のチャネル選びチャートということで、
いくつかイエス/ノーに答えると自分に適切なチャネルを
教えてくれるというものです。

「すぐに家か会社に来てほしい」 ○→営業職員(大手生保/カタカナ系)
 ×→「人に会わずに契約したい」
 ×→「時間をかけて、自分でいい商品を選びたい」
 ×→「多数の商品から選びたい」
 ○→来店型乗合代理店/FPに相談

こういった感じなのですが、あれっと思ったのは
チャネルのなかに損保のプロ代理店が入っていないのですね。

大手損保の決算説明会などでは損保代理店による生保販売の話が
よく出てくるのですが、認知度はまだまだなのでしょう。

そもそも、私のように保険会社の経営分析をしているのであればともかく、
記者さんを含め、都市近郊に住み、サラリーマンをやっていると、
プロ代理店との接点はほとんどありません。
まずはメディアに存在を知ってもらうのが大事なのかもしれませんね。

 

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ジャーナリズムの試金石

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保険分野とは直接関係のない話が続きますが、ご容赦下さい。

朝日新聞の夕刊に、ジャーナリストの池上彰さんの
「新聞ななめ読み」というコラムがあります。
15日は「トヨタ大規模リコール ジャーナリズムの試金石」でした。
巨大スポンサーであるトヨタのリコール問題を
新聞やテレビがどう扱っているか紹介しています。

コラムによると、9日の豊田章男社長による緊急おわび会見を、
新聞やテレビは次のように伝えたそうです。

・他の民放がこの問題を扱うとき、なんとなく腰が引けていたのに比べ、
 NHK(夜7時のニュース)は堂々たる扱いだった。

・朝日新聞は「欠陥」ではなく「不具合」とマイルドに表現。
 記者会見の一問一答の見出しも社長に好意的な表現。
 全体としては微温的な扱い。

・読売新聞は「『安全』から一転『欠陥』」「トヨタ社長歯切れ悪く」と
 トヨタを厳しく批判する姿勢が紙面からうかがえる。

・日経新聞は経済紙なのに扱いが小さく、「信頼回復へ陣頭指揮」と
 社長を持ち上げるなど、トヨタへの批判的な視点が見当たらない。

内容の面白さもさることながら、コラムが掲載されている朝日新聞に
遠慮しない池上さんの姿勢にも好感が持てますね。

※鶴見線シリーズ。終点の扇町駅(左)と近くの運河(右)です。
 まさに京浜工業地帯という感じがしますね。

 

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役員報酬の個別開示

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本日(2/11)の日経1面です。
金融庁は2010年3月期から上場企業等の情報開示を強め、
役員報酬の個別開示を義務付ける方針とのこと。

普通の記事のほかに下記のような「解説」がありました。

・金融庁が役員報酬の開示を企業に義務づけるのは、
 経営への監視を強めるのが狙いだ。

・だが、役員報酬が突出しにくい日本で、
 情報開示の義務化を急ぐ理由が本当にあるのか。
 コーポレートガバナンス改革を進めるうえで、
 優先的に取り組む課題かどうか疑問が残る。
 (他の優先課題については示されていません)

・開示の範囲について、国際的な合意があるとはいえない。

・日本企業の役員報酬は米欧ほど高くない。
 それでも厳しい情報開示を求める理由はなにか。
 政府の説明責任が問われる。

・日本の事情も考慮し、実効性があるかどうかを
 検証する必要がありそうだ。

私にはこれが「解説」とはとても思えませんし(社説ならわかります)、
反対意見にしては説得力が弱いように感じます。

個別開示の是非については、ここでは語りません。
ただ、一般的には経営の透明性を高めることが
ガバナンス強化につながると理解されているわけですし、
実際に情報開示も進んできました。

役員報酬の個別開示に経済界が反発するのはわかります。
しかし、どうして市場機能の一翼を実質的に担っているマスコミの一員
(しかも経済紙)である日経が、経営の透明性を高めようとする話に
否定的な記事を書くのでしょうか。

もし日本企業の役員報酬が米欧ほど高くはなく、
開示による効果が米欧ほどは期待できないにしても、
ある程度のガバナンス向上にはつながる(マイナスではない)
と考えるのが普通です。
他のガバナンス向上策とは違い、コストもほとんどかかりません。

開示によるマイナス効果が大きいというのであればわかりますが、
そうであるならば、読者としてはそれこそ解説してほしいです。

「日本で義務化を急ぐ理由があるのか?」と
国際的な流れとは異なる動きを主張しながら、
「開示範囲に国際的な合意がない」というのも変ですよね。

説明責任が問われるのは政府よりも日経のほうではないでしょうか。

※鶴見線シリーズ第2弾。
 この浜川崎駅は鶴見線から同じJRの南武線に乗り換えるのに、
 改札口を出て道路を渡り、別の改札口を入る仕組みになっています。
 左が鶴見線、右が南武線です。

 

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