大手生保の業績動向

外貨建て保険はいくら売れたのか

22日に主要生保の4-9月期決算が出そろいました。
標準生命表の改定や健康増進型保険の登場など、業績面での注目ポイントは外貨建て保険の販売動向だけではないと思うのですが、新聞報道は「保険料等収入」だけ伝えればいいと割り切ってしまっていて、外貨建て保険など貯蓄性商品の話ばかりでガッカリします。
外貨建て保険に注目するのであれば、せめて4-9月期に外貨建て保険がいくら売れたのかという各社の数字を聞き出し、掲載してほしいです。

大手4社の業績動向

とはいえ、四半期ごとに各社の数値を眺めても、今回はいろいろな要素が混ざっていて、解読するのが難しいです。

<日本>
・個人保険の新契約高と新契約件数が大きく増えたのは、死亡保険の低料や新商品効果でしょうか。第三分野の新契約年換算保険料(ANP)も増えています。経営者保険が数字にどう反映しているかは、今回の開示だけではよくわかりません。
・他方で、新契約ANPが大きく減ったのは、単体では銀行窓販をはじめ貯蓄性商品が振るわなかったためと思われます。ただし、三井生命の増収は日本生命の販売網による一時払い外貨建て養老保険の販売が寄与している模様です。
・日本生命は残念ながらEVを公表していないので、新契約価値(4-9月に獲得した契約が会社価値にどの程度貢献したか)もわかりません。

<第一>
・グループベースでの大幅増収は第一フロンティア生命の貯蓄性商品の販売が好調だったことのほか、ネオファースト生命による経営者保険が貢献しています。
・第一生命は3月に健康増進型の主力商品「ジャスト」を発売しましたが、4-9月期は既存顧客の保障見直しを中心に販売したため、新契約価値が伸びなかったとのこと。今後の動向に注目です。なお、第一生命の新契約件数が大きく増えているのは、「ジャスト」は従来の主契約+特約ではなく、単品の組み合わせとなっているためです。

<住友>
・貯蓄性商品の販売減により保険料等収入は減収となり、メディアに「住友は減収」と書かれてしまいました。しかし、営業職員による保障性商品の販売は好調で、新契約価値はむしろ増えていることに着目すべきでしょう。
・健康増進型の新商品「Vitality」は7月発売で、その影響からか、7-9月の新契約高が急増(純新規と転換がともに改善)し、第三分野の新契約ANPも増えています。

<明治安田>
・昨年8月に発売した外貨建て保険が銀行窓販のほか、営業職員チャネルでも好調で、保険料等収入の増加に貢献しました。第三分野の新契約ANPも大きく増えていて、これは昨年12月発売のシニア向けの終身医療保険が寄与していると思われます。
・ただし、残念ながら4-9月期の新契約価値の公表が昨年からなくなってしまったので、利益率としてどうなのか気になるところです。

あくまで4社だけを見た印象ですが、改めて貯蓄性商品への強いニーズを感じるとともに、生命表改定を契機とした新たな商品戦略を評価するにはもう少し時間が必要だと思いました。

※写真はカエルとカマキリです(わかりますか?)

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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