保険料等収入の内訳は?

少し前に2017年度版のインシュアランス統計号(生保版)が出たので、メディアで取り上げられることの多い、生保の「保険料等収入」について改めて確認してみました。

企業年金の受け入れも保険料収入

まず、保険料等収入の「等」は再保険収入です。漢字生保ではごくわずかですが、プルデンシャルやマニュライフといった外資系、あるいは第一フロンティアなど、再保険を積極的に活用している会社では、「等」のあるなしで数値がかなり違ってきます。

保険料収入について、以前から「保険料収入を売上高と見るのは無理がある」と主張してきましたが、その最たるものは団体年金保険の保険料です。生命保険協会の資料も参考にすると、2017年度では、保険料収入32.4兆円のうち、約3兆円が団体年金でした(全社ベース)。

団体年金保険は「保険」といっても実質的には企業年金などから預かった資金を運用する業務なので、その期に新たな受託資産があるかどうかで保険料収入が決まります。例えば、大手4社(日本、第一、住友、明治安田)の2016年度の保険料等収入は2015年度よりも約2.2兆円少なかったのですが、意外にも団体年金の保険料収入が1兆円以上も減ったことが主因でした。マイナス金利政策を踏まえ、生保が新規の受け入れを抑えたのかもしれません。
いずれにしても、資産運用業務の資金受け入れを売上高と言うのは違和感があります。

個人保険の月払保険料に注目

個人分野(個人保険、個人年金保険)の統計は「初年度保険料」と「次年度以降保険料」に分かれています。
2017年度の場合、個人分野の保険料27.3兆円のうち、初年度保険料は8.4兆円でした(全社ベース)。つまり、当期の保険料収入のうち7割は、過去に獲得した契約から得たものということになります。

さらに、初年度保険料も「一時払」「年払」「その他(主に月払)」に分けることができます。
「一時払」は銀行窓販に代表される貯蓄性商品の販売に伴うもので、初年度保険料に占める割合が高いうえ、変動が大きいのが特徴です。例えば、2015年度には全社ベースで9.2兆円(初年度保険料の77%)だったものが、2017年度は5.6兆円(同67%)にとどまりました。

このように見ると、保険料収入だけで生保の業績を語ろうとすると、企業年金等の資金受け入れがあったかどうかと、一時払の貯蓄性商品が売れたかどうかを追いかけることになってしまうのですね。

生保の収益を支えているのは一時払の貯蓄性商品や年払の経営者保険というよりは、保障性商品である月払の個人保険です。2017年度の場合、個人保険の初年度保険料(一時払、年払を除く)は1.6兆円で、保険料収入の5%程度にすぎません。
もちろん、この部分にもドアノック商品として貯蓄性の高い商品が含まれてしまうとはいえ、会社価値という観点からはこの部分こそが重要で、ここが減少トレンドにある会社は要注意ということになります。

※写真は横浜です。赤レンガ倉庫でクリスマス市をやっていました。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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