12. セミナー等の感想

スマホ利用の影

10月2日のブログでお伝えしたとおり、日本保険学会の全国大会でシンポジウム「保険法10年の経験と今後の課題」に登壇し、何とか役目を果たしてきました
(風邪気味で少し聞き苦しかったかもしれません。失礼しました)。

このシンポジウムでも私の報告でインシュアテックの進展との関係を少しだけ取り上げましたが、翌日午後の共通論題(講演とパネルディスカッション)は「インシュアテックと保険事業」でしたし、初日の講演の演題も「行動ファイナンスとAIによる資産運用」と、日本の保険学会でも技術革新による法律や経済への影響に注目が集まるようになりました。
なかでも私の印象に残ったのが、東京経済大学の佐々木裕一先生による基調講演「スマートフォン+アプリが作る『情報環境』と倫理」でした。

公開されている報告要旨をもとに少しご紹介しますと、人々がスマホでSNS/メッセージングアプリ(要はツイッター、フェイスブック、LINE、インスタグラムなど)を高頻度で利用するようになったことで、「情報過多」や「アルゴリズムによるフィルターバブル」の問題が生じているという話がありました。

情報過多は文字どおり情報が爆発的に増えているということですが、この結果、SNSでは複雑な話は好まれなくなり、「娯楽情報の流通が増えていることやフェイクニュースの流通にはそういう要素がいくぶん影響していると講演者は考えている」。
しかも、SNSではその人が見たいであろう情報をアルゴリズムが選び、人々は偏った情報のみに触れがちとなります。事態が進むと「民主主義が機能しなくなる可能性をもたらす」(=フィルターバブル問題)というのです。

こうした技術革新による負の影響、しかも、これから影響が起きるのではなく、残念ながらすでに現実に起きてしまっている問題だということで、佐々木先生のおっしゃるとおり、保険業界も意識して対応していく必要があると感じました。

※会場の関西大学にはこの電車で行きます
 たこ焼き、ごちそうさまでした

 

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歴史を学ぶ意味

パネルディスカッションに登壇

11月8日から9日にかけて日本アクチュアリー会の年次大会があり、その翌日(10日)は日本保険・年金リスク学会(JARIP)の研究発表大会と、まさに勉強の秋となりました。
そのなかで私は、9日のパネルディスカッション「経済危機とリスク管理~これからのリスク管理を担う若手のために~」にパネリストとして登壇しました。

このパネルディスカッションは、保険会社のリスク管理に従事する若手社員が抱いている疑問を、リスク管理や規制の高度化に取り組んできたベテランにぶつけることで、あるべきリスク管理を模索するという異色の企画でした。
若手の疑問や不満を正面から受け止める役回りだったので、90分の持ち時間があっという間にすぎてしまい、オーガナイザーをヒヤヒヤさせてしまいました。果たして会場の皆さんには何らかのメッセージが伝わったでしょうか
(「ベテランは話が長い!」という感想もありそうですが…)。

過去の経緯は重要

私とともにベテラン側として登壇した藤井健司さんは、VaRの登場からその後の普及の経緯を説明したうえで、「『あるべきもの』があって、そこから展開していくのではなく、実務にフィットしたものが業界標準となる」という趣旨の話をしていました。過去の経緯を知らないと、いま行っている業務がどうしてそうなっているかを理解しにくいので、得てして業務そのものが目的となってしまいがちなのですね。

たまたま私も先日ご紹介した保険毎日新聞の書評(保険業界戦後70年史)のなかで、こんなことを書いています。

「例えば保険募集人に対する規制を導入した2014年の保険業法改正や、損害保険会社が自由化後の代理店手数料を決めるために採用した代理店手数料ポイント制度といった、保険流通に関わる多くの業界人が日常的に直面する諸制度が、保険流通のいわば普遍的な『あるべき姿』を想定し、それを実現するための仕組みとして導入されたのではなく、過去の経緯やその時その時の時代背景の影響を受けながら形づくられてきたことがわかるだろう」

過去の歴史を振り返っても、今の仕事にはほとんど役に立たないと思われるかもしれませんが、そうではないのですね。

時代の大きな流れをつかむ

ただし、過去に学ぶといっても、今がどのような時代なのかを踏まえたうえで学ぶべきなのでしょう。
再び書評から引用します。

「戦後50年間続いた『成長の時代』とは、復興期はともかく、人口増加や東西冷戦、高度経済成長といった外部環境に恵まれ、緩やかな競争環境を人為的に確保することが可能だった極めて特殊な時代だったと言えよう。本書の記述からも、極論すればこの時代の業界の歴史とは、規制や制度の歴史だった感がある。こうした恵まれた外部環境はすでに1980年代後半には消滅しつつあったため、日米保険協議に象徴される外圧がなくても、遅かれ早かれ『成長の時代』は終わっていたと考えられる。今後は人口減少という未体験の事象を無視できないとはいえ、長いスパンで見れば、経営者が自らの知恵と決断で事業を切り開いていく普通の時代に戻ったと言うべきかもしれない」

保険会社の経営陣は「成長の時代」のマインドを引きずってはいないでしょうか。若手が心配しているかもしれません。

 

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OLISの50周年シンポジウム

 

今から50年前の1967年、アジア諸国における生命保険事業の発展を目的に設立されたアジア生命保険振興センター(OLIS)が創立50周年を迎え、東京で記念シンポジウムを開きました。
当日(10/25-26)は15か国・地域から約140人の関係者が集まったそうです。

過去にOLIS主催の内外セミナーや寄付講座で講師を務めたご縁もあり、私もスピーチをしました。演題は「日本の生保危機とその教訓」です。
かつての生保破綻の話もさることながら、その後、日本の生保業界や行政当局がどのように危機を乗り越え、新たな時代にふさわしい体制に向かっているのかを話しました。
どういうわけか、バングラデシュの参加者3名が質疑応答を独占することになりましたが、世界的な低金利のなかで保険会社の健全性の問題が他人事ではない国・地域もあるはずなので、何かの参考になればうれしいです。

パネルディスカッションのテーマは「高齢化」。日本が断トツの先進国かと思ったら、韓国や台湾は急激に高齢化が進むので、少し経つと日本に追いついてしまうのですね。
中国も一人っ子政策の影響で高齢化が進みます。パネルでの言及はありませんでしたが、中国の場合、社会保障制度が必ずしも十分に整備されていないようなので、日本の高齢化社会とはだいぶ違った社会の姿となりそうで、ちょっと怖いです。
インドネシアやベトナムのような若い国も、今のうちに社会保障制度をがんばって整備することが、日本の経験から得られる最大の教訓なのかもしれません。

 

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西暦1000年の3大都市

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ライフネット生命創業者で、先日NHKで共演(?)
させていただいた出口治明さんの「歴史」講演を
聞く機会がありました。

そのなかで、西暦1000年の3大都市はどこか
(人口面で)という話があり、目からウロコでした。

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「開封」「コルドバ」「コンスタンティノープル」が
その答えです。

開封は中国(北宋)の首都です。
黄河と大運河の交わる商業都市として栄え、
数十万人の人口を擁していたそうです。
北宋には弱々しいイメージがありますが、
経済的に相当発展した時代だったようです。

コルドバは今ではスペインの地方都市ですが、
当時はイスラム王朝(後ウマイヤ朝)の勢力下。
国際都市として繁栄していました。
ムスリムだけでなく、多くのキリスト教徒や
ユダヤ教徒が暮らしていたとか。

コンスタンティノープル(今のイスタンブール)
というのも、高校世界史の知識からすると
意外に感じるかもしれません。

ビザンティン帝国(東ローマ帝国)というと
6世紀のユスティニアヌス帝の時代をピークに
衰退していったというイメージがあります。
しかし、8世紀あたりから勢力を盛り返し、
西暦1000年頃のコンスタンティノープルは
繁栄の頂点を迎えていたそうです。

私たちはどうしてもヨーロッパ中心史観の
影響を受けているので、こうして正しい知識や
歴史の大局的な流れを聴くのはいいですね。

出口さんの講演にはありませんでしたが、
(出口さんはあえて言及しなかったのかも)
現在の3大都市はどこだかわかりますか?

「東京(圏)」「デリー」「上海」だそうです。
欧米勢でベスト10入りはニューヨークだけ
というのも興味深いです
(西暦1900年はほぼ欧米勢だけでした)。

※写真は横浜の洋館です。

 

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GPIFによるESG指数採用

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日本価値創造ERM学会の研究発表大会
およびセミナーに参加し、主にESGに関する
話を聞きました。

招待講演「GPIFによるESG投資への取組みと
今後の展望」では、GPIFが委託先の運用機関
に対し、ESG(環境・社会・ガバナンス)に考慮
した投資を求めるとともに、国内株式が対象の
「ESG指数」を選定し、これに基づく運用を始める
というものでした。
(参考)GPIFのサイトへ

また、野村証券の張替一彰氏による講演では、
GPIFが採用した2つのESG指数を比較分析した
結果が示されました。

投資先の企業価値を図る材料として、定量的な
財務情報に加え、ESGを含む非財務情報をより
活用すべきだと思いますし、「ESGの要素に配慮
した投資は長期的にリスク調整後のリターンを
改善する効果があると期待できる」(GPIFによる)
というのも、まだまだ証拠不十分とは思いつつ、
理解できなくはありません。

ただ、GPIFのような運用資産が149兆円にもなる
大規模な長期投資家の影響力は大きいので、
今回のESG指数運用の開始により、非財務情報
(特にESG情報)の積極的な開示を促す効果が
期待できる一方、上場企業のESG対応の主眼が
ESGスコアを高めることに向いてしまわないかと
心配になりました。

いろいろ考えると、同じく「非財務情報の活用」
ではあっても、

・中長期的な企業価値を評価するには、財務情報
 とともに非財務情報を活用する必要がある
 (=投資家として非財務情報の充実を求める)

という話と、

・中長期的に企業価値を高めるには、ESGなど
 持続可能な経営環境が必要である
 (=投資家としてESGへの取組みと情報開示を
   求める)

という話は、共通する部分が多いとはいえ、
整理して考えたほうがいいのかもしれません。

※写真は御茶ノ水です。

 

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RINGの会20周年

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保険代理店の情報交流組織である
RINGの会が設立して20周年を迎え、
横浜で記念セレモニーを行いました。

会場には来賓として、保険流通業界の
交流組織として知られる新旧3団体の
トップが顔をあわせました。

 ・日本損害保険代理業協会
 ・保険健全化推進機構 結心会
 ・保険乗合代理店協会

先日のRINGオープンセミナーでもヒツジや
カモメとラスカル、パンダが一堂に会する
(業界的には)珍しい光景が見られましたが、
RINGの会が組織として色がついていない
ということの表れではないかと思います。

資料を確認すると、私がRINGの会に関わる
ことになってから、ほぼ10年になるようです。
2007年のオープンセミナーへのゲスト出演
(ライフネット創業者の出口さんなどと共演)を
皮切りに、セミナーには5回登壇しています。

オープンセミナーで有名なRINGの会ですが、
ネットでの情報交流だったり、メンバー限りの
「オフ会」も盛んです。
この10年、私もほぼ毎回オフ会に顔を出し、
販売現場の生の声を聞いてきました。

設立後の20年間はちょうど保険自由化の
進展した時期で、保険流通を取り巻く環境が
大きく変わりました。
代理店数の減少傾向も続いています。

そのようななかで、代理店経営者が独自の
情報を持つ重要性は、これからも一段と
高まっていくと思います。
情熱あるメンバーによる情報交流が引き続き
盛んに行われるといいですね。

 

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がん医療の”今”を知ろう

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「がん医療の“今”を知ろう!」という
ある大学の高校生向け講義を聞きました。

まず、国立がん研究センターが集計した
5年生存率(相対と実測)データ等が示され、
治療が難しい部位もあるとはいえ、総じて
がんは不治の病ではなく、「慢性疾患」と
考えましょうという話がありました。

すなわち、現在のがん医療は5年生存率を
高めることを重視しているわけではなく、
「かんと共に生きる」「サバイバーシップ」
という考えが基礎となっているのだそうです。

医療は患者がその人らしく生きぬくのを
サポートするということなのですね。

 ご参考(講義資料ではありません)↓
 国立がん研究センター「最新がん統計」
 (より最新の統計はこちらに)

そうだとすると、がん罹患後の経済状態が
重要になりますが、講義ではがん罹患後に
約3割が退職というショッキングなデータも
示されていました。

帰宅後に調べてみると、厚労省サイトにある
がん患者のおかれている状況と就労支援の
現状について」という資料の8ページ以降に

 ・勤務者の34%が依願退職、解雇されている
 ・自営業者等の者の17%が廃業している

という調査結果が出ていましたし、8月1日に
ライフネット生命が公表したアンケート調査でも

 ・(罹患後の)収入減少の理由は、「休職」
  「業務量のセーブ」「退職」がTOP3

とありました。

患者の状況により「退職」の深刻度合いは
様々だとは思うので、「だから保険が必要」
と言うのはちょっと短絡的かもしれませんが、
仕事と治療を両立できる環境が求められて
いるということがよくわかりました。

こういう現実的な話を高校生にするのは
大変いいことだと思います。
同席していたわが家の受験生がこの講義を
どう受け止めたのか定かではありませんが…

※海賊船に乗り、大涌谷で黒たまごという
 典型的な箱根観光をしてきました^^

 

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JARDISの研究大会

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この週末は日本ディスクロージャー研究学会の
大会に参加してきました。
学会のサイトへ

統一論題「ディスクロージャーのコストとベネフィット」
では、進んだディスクロージャーを実施している企業
(オムロン)の事例を伺うとともに、お二人の研究者が
現状を踏まえつつ、今後の研究のあり方を模索する
といった内容でした。

ディスクロージャーのコストというと、つい規制対応の
費用などを頭に浮かべてしまいますが、会場では
情報開示によって競争上の不利益が生じるコストに
ついての発表がありました。なるほど。

また、ESG(環境、社会、ガバナンス)についても、
ESGの取り組みと経済効果(資本コストの低下や
株価上昇など)の相関関係を示す研究は増えて
いるものの、ESGがどのようなメカニズムで持続的
成長や価値に結びつくのかを検討する必要がある
という発表があり、思わずうなずいてしまいました。

パネルディスカッションでは、研究者からの質問が
オムロンのIRオフィサーである安藤聡さんに集中。
安藤さんは大変だったと思いますが、的外れの
質問はなく、これなら実務家と研究者の連携も
進むのではないかと、ちょっぴり期待が持てました。

それにしても、できるだけ異業種に目を向けようと
心掛けているつもりですが、どうしても保険ムラの
思考回路になりがちなので、このような機会は
頭の刺激になりますね。

※会場は仙台の東北大学でした。

 

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保険自由化20年

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日本保険学会の関東部会がミニ・シンポジウム
「保険自由化20年」を開催しました。
当日のレジュメはこちらでご覧になれます。
関東部会のサイトへ

確か「自由化後10年」という企画もあったはず、
と『保険学雑誌』のバックナンバーを調べると、
2008年10月の大会で「自由化後10年の検証」
というシンポジウムが開かれていました。

司会が東大(当時)の山下先生、シンポジストが
慶大の堀田先生、一橋大(当時)の米山先生、
弁護士の上柳先生という豪華メンバーでしたが、
実は私も登壇していたことが判明。
恥ずかしながらミニ・シンポジウムの席では
すっかり失念していました。
保険学雑誌第604号

当時はリーマンショック後の金融危機の最中で、
同じ10月にAIGが日本の生保事業からの撤退を
発表したり、大和生命が経営破綻したりと、
連日対応に追われていたのでしょう(言い訳)。

自由化10年では、経済・商学系の研究者と
実務法律家、アナリストという顔ぶれでしたが、
今回の「20年」は3名とも保険業界の方々でした。

内容は当日のレジュメをご覧いただくとして、
明治安田生命の上原さんが自由化後の20年を
前半と後半に分けていたのが興味深かったです。
前半の10年は規制見直しが進んだものの、
後半の10年はグループ規制を除き、規制緩和は
あまり進展がなかったことを示していただきました。

あえてコメントすれば、2006年でビシッと切らず、
前半の規制見直しフェーズと、後半の見直しによる
影響フェーズを多少オーバーラップして捉えるのが
妥当なようにも思えますし、もし、20年間を通じて
規制緩和が進まなかった事項があるとしたら、
合わせて示していただけるとありがたいでしょうね。

今回のミニ・シンポジウムを業界人から学界への
情報提供ととらえると、そもそも自由化の目的は
何であり、それが20年でどの程度達成できたのか、
あるいは、副作用や意図せざる状況を招いたのか、
といった視点のお話しも伺いたかったです
(そのような質問はありました)。

あと、自由化による競争促進とは、保険会社が
以前よりリスクテイクできる状況になることなので、
監督当局としては、財務・業務の健全性確保と
セーフティネット(広義)の整備が必須となります。

業務の健全性と各種のセーフティネットの整備は
それなりに進む一方、財務の健全性については
どうでしょうか。

せっかく2007年にソルベンシー規制の見直しを
当時の検討チームが提言したにもかかわらず、
10年たっても未だに見直しが道半ばなのですが、
そのような視点があってもよかったように思います
(ERMに関する言及は栗山さんからありましたね)。

とはいえ、いろいろ考えるきっかけををいただいた
という意味で、大変有益なシンポジウムでした。

※大倉山公園の近くにある大乗寺の境内には
 なぜか相鉄線の電車が飾ってあります。

 

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InsurTechのイベント

 

4/10(月)の「【緊急開催】 InsurTech Meetup」
というイベントに出席したところ、日本の現状は
「まだスタートラインにも立っていない」という、
かなりお寒い状況にあるとのことでした。

イベントは、弁護士の増島雅和さんの講演と、
原健一郎さん(DCM Ventures Investment)
佐俣アンリさん(ANRI GeneralPartner)、そして
増島さんによるパネルディスカッションがあり、
最後にネットワーキング(懇親会)というもの。

増島さんの講演も、パネルディスカッションも
非常に興味深い内容でした。

例えば増島さんによると、しばしば耳にする
次のような話は「間違った理解」だそうです。

・保険の規制は厳しく、従前の業界慣行を
 踏まえると、日本には海外のInsurTechの
 ビジネスモデルは入ってこれない。

⇒ 規制や業界慣行はInsurTechの流れを
  止めることができない。

・日本企業もテレマティクス保険やウエアラブル
 端末を用いた医療保険の開発に取り組んで
 いるからInsurTechに遅れていない。

⇒ InsurTechを進めるにはオープンイノベー
  ションが不可欠。

・海外のInsurTechサービスも大した規模ではなく
 InsurTechはニッチサービスに過ぎない。

⇒ 現在のInsurTechは、第四次産業革命による
  保険の革新に突入する準備フェーズ。

資料には「なぜ間違っているのか」という説明も
ありますので、こちらのサイトをご覧ください
(ご本人に確認済です)。

特に2つめの指摘は、目からウロコというか、
私見ですが、日本でInsurTechが遅れている
という最大の理由なのかもしれません。

増島さんは資料のなかで、

・ディスラプティブ(破壊的)イノベーションは
 狙ってできるものではなく、試行錯誤の中から
 しか生まれない

・イノベーションの成功確率を高めるには、
 最小コストでうまくいかない例を可能な限り
 多く試すこと

と述べているのですが、他方で日本企業には
「失敗を許さない文化」「大きな経営判断ミスより
粒々の損失を責められる」などが目立ちます。

だからこそスタートアップとの協業ということかと
思いますが、せっかく協業しても、この文化の
違いをちゃんと理解したうえで進めていかないと、
イノベーションは生まれないのでしょう。

InsurTechというと、AIやビッグデータの活用など
テクノロジーの進化に注目が集まっています。
でも、本質はそこではないのですね。

※左は中目黒駅のホームから撮った写真。
 右は浜離宮の菜の花です。

 

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