リスクと保険を学ぶ大学生の全国大会を開催

今週の保険代理店向けメールマガジンInswatch Vol.1208(2023.11.13)に寄稿したものを当ブログでもご紹介します。今回は12月のRIS2023についてです。
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今年は福岡大学で開催

久しぶりに大学関係の話を書かせていただきます。

来月12月2日(土)の午後から3日(日)にかけて、全国12の大学の「リスクと保険」を学ぶ大学生が福岡大学に集まり、日ごろの研究成果を報告するという大会(RIS2023)を開催します。
RISは全国学生保険学ゼミナールの通称で、2004年度から始まり、今回は20回目の大会となります。参加しているのは保険論関係のゼミナールが中心ですが、報告テーマは幅広く、保険やリスクマネジメントのほか、金融、ファイナンス、社会保障、経営戦略までカバーしています。ご参考までに、昨年度は下記のような報告がありました(全25報告の一部です)。

「食品ロスのリスク」
「男性の育児休業の関する考察」
「自動運転化社会の将来展望-コミュニティバスの自動運転化へ」
「テレワークに関するリスクマネジメント」
「環境規制というリスクが産業に与える影響」
「日本の生命保険会社が中国事業を継続する要因」

ちなみに昨年度の植村ゼミの報告は「地震保険の加入動向」「コロナで苦しむ学生向けの保険」の2つでした。今年度は3つの班があおり運転や対面販売、物流問題について報告を行う予定です。

実務家の参加も多い

こうした大学の枠を超えたゼミナール活動の背景には、少子化が進むなかでの将来の保険研究・教育の衰退に対する危機感があります。
日本人にとって保険は身近な存在ですし、昨年度のコロナ保険の給付金、今年度のBM社による保険金不正請求事件など、保険に関する出来事は大きなニュースとして扱われることが多いと感じます。さらに言えば、保険会社(特に大手)は大学生にとって人気の就職先となっています。ところが大学では、保険関連の講座は縮小傾向にあり、この分野に関心を持つ若い世代を育てるのが徐々に難しくなりつつあるのです。
そこで、何かの縁があってリスクと保険を学ぶことになった大学生に向けて、RISは大学の枠を超えて切磋琢磨できる機会を用意し、大きな舞台で報告や交流を行うことを通じて彼らの成長を促そうとしています。それは保険業界の将来にとっても有益な取り組みではないかと自負しています。

RISの大会は大学生と教員だけで閉じられたものではありません。毎年多くの実務家にご参加いただき、報告への質問・コメントをいただいています。今回は福岡での開催(オンライン参加はありません)ですが、土曜日の夕方には懇親会もありますので、リスクと保険を学ぶいまの大学生に触れる貴重な機会となるかもしれません。
現在、RISのサイトから大会参加の申し込みを受け付けていますので、ご興味のあるかたはぜひご参加いただければ幸いです。
RISのサイトへ

リアルな交流を重視

今回のRIS2023は、福岡という首都圏や関西圏から遠く離れた開催地にもかかわらず、対面参加のみとしました。それには対面・オンライン併用が物理的に難しい(同時に最大4教室で報告がある!)というだけではなく、大学生にリアルな緊張感や交流を体験してもらうためです。

コロナ禍で私たちはzoomをはじめ、オンラインミーティングの便利さを知りました。私自身も、福岡にいながらにして保険会社の本社スタッフへのインタビューができたり、大学の研究室からテレビに出演したりと、多くの恩恵を受けています。
その一方で、私たちは対面のありがたさや、対面でなければ難しいことがあるのにも改めて気付きました。オンラインミーティングは効率的な半面、対面よりも情報が少ないというか、どこか平坦なやり取りになってしまいます。新たに人間関係を構築するのは至難の業ですし、会話のなかで気付きを得られる機会が少ないように思います。
特に若い世代にとって、RISは同年代との交流だけではなく、皆さまのような社会人とリアルに話ができる貴重な機会です。そこで今回は利便性よりも対面参加のメリットを優先させていただきました。
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※福岡も一気に冬の寒さとなりました。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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