10月26日から27日にかけて、中央大学・多摩キャンパスで開催された日本保険学会の全国大会に参加しました。
そのなかで、今回私の頭に残ったのが「日本の死亡保障ギャップ」です。土曜日午後のシンポジウム「ポストコロナ時代における保険業の深化」で、ニッセイ基礎研究所の有村寛さんが報告のなかで日本の死亡保障不足について紹介し、翌日の自由論題では八戸学院大学の崔桓碩先生がズバリ「生命保険における死亡プロテクションギャップの推移と要因分析」を報告していました。
お二人とも「日本の死亡保障ギャップはアジアの先進国(日本、香港、シンガポール、オーストラリア、韓国)のなかで最も大きい(=不足している)」というスイス再保険の調査を引用していました。プロテクションギャップというと、自然災害リスクへの備えが不足しているという意識はあったものの、死亡保障については正直あまり考えていませんでした。
世帯の必要保障額についてどう考え、かつ、生命保険以外の備えとして何をどこまでカウントするかによって、死亡保障ギャップの結果は変わってきます。スイス再保険の調査内容を詳細に検討したわけではないので、この国際比較をそのまま受け入れていいかどうかはわかりません。
とはいえ、有村さんがこちらのレポートで示しているように、世帯主が加入している死亡保険金額の平均が大きく減ったのは確かです。
(97年:2732万円 ⇒ 21年:1396万円)
崔先生は報告のなかで、死亡保障ギャップの要因として、世帯所得の低迷、消費者の関心の変化、リスク認知の低さ、利用可能性(の低さ)などを挙げていました。私の直感では「保険会社が死亡保障を積極的に提供していない」「死亡保障が必要な層に十分アクセスできていない」といったことも大きいように思います(感覚的なコメントですみません)。
※写真は横浜・大倉山商店街です。週末にパレードがあるとか。