少し遅くなりましたが、保険代理店向けメールマガジンInswatch Vol.1260(2024.12.09)に寄稿した記事を当ブログでもご紹介いたします。
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日経新聞にコメント掲載
報告書案の概要は金融庁のサイト、あるいは本誌をはじめ報道等でご覧いただくとして、ここでは6日付の日本経済新聞に載った自分のコメントについて解説したいと思います。
紙の新聞に載ったコメントは次のとおりです。
(企業向け保険の問題について)福岡大学の植村信保教授は「企業の意識が変わらなければ取引慣行も変わらない」と指摘する。
電子版のほう(会員限定)にはもう1つコメントが載っています。
(損保会社に加え、大規模代理店への監督を強める方針について)植村氏は「金融当局のリソース不足も大きな壁になっている」と話す。
取引慣行を変えるチャンス
ご想像のとおり、取材の際にこの2つしか話さなかったということではありません。紙面の制約もありますし、むしろボツにならなくてよかったと前向きにとらえています。大学の宣伝になるかもしれませんので(笑)
そのうえで、記者さんにお伝えした内容を簡単にご紹介します。
そもそものご質問は、当然ながら「今回の制度改革が損害保険市場や業界を変えることにつながるか」でした。そこで、全体としては前向きにとらえていることを伝えました。保険金不正請求事案にしても保険料調整行為事案にしても、もちろん起きてはならないことです。ただ、両事案が明らかになったことで、かつての規制時代に形成され、その後も温存してきてしまった「いびつな取引慣行」から損保業界が脱却する絶好のチャンスとなっていることは間違いありません。
それぞれの施策がどの程度の実効性を持つかどうかは今後の制度設計によるところが大きいので、あまりコメントしませんでしたが、大規模乗合代理店への規制・監督の強化や保険契約者等への過度な便宜供与の禁止など、改革の方向性は理解できるところです。
改革案に盛り込まれていないこと
そのうえで、今回の制度改革案には必ずしも盛り込まれていないように見える3つの点をお話ししました。
1つめは、企業のリスクマネジメント意識を変えることにつながるような対策がほしいという点です。リスクマネジメントの一環として保険購入があるという当たり前のことを企業経営に理解してもらうには、どうしたらいいのでしょうか。
2つめは、「金融当局のリソース不足も大きな壁になっている」というコメントのとおりです。
3つめは、火災保険の赤字構造の改善について、もう少し踏み込んだ議論をしてほしかったという点です。グループとして、リスク管理の進化形と言われるERM経営を標榜していた損保会社が、現実にはリスクに応じた適切な保険料を顧客に提示できなかったのはどうしてなのでしょうか。これに対し、金融庁による「態勢整備状況のモニタリングを高度化していく必要がある」とありますが、これまでのモニタリングをどう変えていくのか、外部からは全くわかりません。
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※今年のRIS2024も大盛況でした。