14. 書評

最近の読書から

 

※サーバーの不具合により、いろいろと試行錯誤しています。
 申しわけありませんがお含み置きください。

日銀が「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」に突入。
イールドカーブが一段とフラット化してしまいました。
ALMミスマッチを抱える生保経営には厳しい事態ですが、
出口はさらに遠のいた感があります。

さてさて、今回は久しぶりに読んだ本のご紹介。
この数か月に読んだなかから印象に残ったものを
ごくごく簡単にコメントします。

1.「新・観光立国論」(東洋経済新報社)

銀行アナリストとして有名だったデービッド・アトキンソン氏
(今は「小西美術工藝社代表取締役社長」です)による
「短期移民」による成長戦略の提唱です。

氏によると、日本は観光立国の4条件である「気候」「自然」
「文化」「食事」が全てそろう稀有な国なのだそうです。

ただ、昨年も日本を訪れる外国人観光客が増えていますが、
それで喜んでいる場合ではないことがよくわかります。

2.「NHKはなぜ、反知性主義に乗っ取られたのか」
  (東洋経済新報社)

コーポレートガバナンスの専門家である上村達男教授
(早稲田大学。前経営委員会委員長代行)による、
NHKのガバナンス問題を指摘した書籍です。

NHK問題だけではなく、最近のガバナンス改革を
考えるうえでも参考になると思います。

3.「世界の壁は高くない」(廣済堂出版)

サンリオで海外戦略を担当した鳩山玲人氏による
「海外で成功するための教科書」(=副題)です。

海外事業を展開する際、「一番高いのは社内の壁」
というところが最も印象的でした。

4.「大世界史」(文春新書)

池上彰氏と佐藤優氏による対談ですから
面白くないわけがなく、一気に読み終えました。

お二人は「現代をよりよく理解するためには
歴史の学習が欠かせないという点で意気投合」
したそうですが、私もそう思います。

5.「会社のITはエンジニアに任せるな」(ダイヤモンド社)

著者の白河克氏は数年前、友人の関尚弘くんと
共著で老舗企業の業務改革プロジェクトについての
ドキュメンタリーを書いています。

本書はコンサルタントとしての豊富な経験から
ITと経営者の関係についてきちっと書かれていて、
参考になります。

いかにITを経営者自身の問題として取り組んでもらうか。
「IT」を「ERM(あるいはリスク管理)」に置き換えても
同じことが言えるのでしょうね。

※写真は富山県高岡市・射水(いみず)市を走る「万葉線」。
 赤い電車は乗り心地が良かったですね。

 

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夏の読書から

 

今回はこの夏に読んだ本のご紹介です。

1.「世論調査とは何だろうか」(岩波新書)

著者の岩本裕さんはNHKの記者出身で、
現在はNHK放送文化研究所で世論調査を
担当しているかたです。

「素人ならではの視点を活かして、数字に
 だまされないため皆さんに知っておいて
 ほしいことを紹介していきます」

とあり、世論調査について幅広い視点から
紹介した本でした。

最も問題なのは、若者を中心に協力してくれる人が
大きく減っていることだそうです。

これに対し、世論調査は民主主義社会のなかで
私たちに与えられた「武器」なので、有効に利用
すべきというのが著者からのメッセージでした。

2.「海外企業買収 失敗の本質」(東洋経済新報社)

保険会社の海外展開についての執筆が続いたため、
日本企業の海外M&Aに関する本を何冊か読みました。

本書はM&Aの専門家である松本茂さんによる本です。
ただし、買収の実務書ではなく、日本企業による
海外M&Aを分析し、過去の事例から学ぼうというもの。

おそらく博士論文を一般書にしたものだと思いますが、
研究手法が私の中堅生保の破綻研究と似ていて、
その意味でも興味深く読みました。

それにしても、調査対象116案件のうち、失敗
(売却・撤退に至った案件)が51件とは驚きですね。

なお、ご案内の通り、このところ週刊金融財政事情で
書評を執筆していて、次回は本書を取り上げています
(もう少ししたら掲載されると思います)。

3.「本社はわかってくれない」(講談社現代新書)
  (下川裕治・編)

こちらも日本企業の海外進出絡みの本で、
副題に「東南アジア駐在員はつらいよ」とあります。

日本企業が東南アジアで遭遇した各種トラブルや
現地日本人の胸のなかにしまわれていた話
(なかには愚痴のようなものもありますが…)を
ジャーナリストが掘り出しています。

参考までに見出しを並べると…

 ・すぐ休む人々
 ・働かない人々
 ・会社を私物化する人々
 ・身勝手な人々
 ・会社のカネを使い込む人々
 ・すぐに訴える人々
 ・役人な人々
 ・宗教で生きる人々
 ・才能ある人々
 ・不運に見舞われた人々
 ・日本を持ち込む人々

編者の下川さんは、海外進出する日本企業に
問われる資質とは、「トラブルを克服していく能力」
とまとめています。
確かに、そもそもトラブルは起こるもの、なのでしょう。

※写真左は「フリフリチキン」、右は「ガーリックシュリンプ」。
 どちらもハレイワ名物です。

 

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銀行のリスクアペタイト

 

「リスクアペタイト・フレームワークの構築」を読みました。
著者は大山剛さんです。

銀行のリスクアペタイトに関する規制当局の動向と、
銀行がどう対応したらいいか、詳細に書かれています。

大山さんは、当局によるリスクアペタイト・フレームワーク
(RAF)構築の提案を、

「金融機関の手足だけではなく、脳や神経系統まで
 縛ろうという動き」

と刺激的な表現を使っていますが、RAFそのものを
否定しているのではなく、あるべき姿から乖離した別物が
RAFとして定着してしまうことを懸念しているようです。

このあたりの議論は保険会社のERMと共通していますね。

ちなみに本書には次のようなくだりもあります。

「(リスクアペタイトの概念は)保険の世界において、
 活発に議論されていた概念である」

「保険の世界の中でいち早くRAの概念が導入された
 背景には、保険という業種そのものが『リスクを積極的に
 引き受ける』業種だということが影響している」

確かに、本書が示すRAF構築の作業ステップをみると、
銀行で言うRAFはERMに限りなく近いと感じました。

※写真はお台場です。聞こえてくるのは中国語ばかりでした。

 

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「日銀、『出口』なし!」

 

日銀ウォッチャー加藤出さんの近著です。
副題は「異次元緩和の次に来る危機」。

日本銀行が現在行っている量的質的緩和策は、
終わるに終われない状況に陥るのではないか。
これを「ホテルカリフォルニア化」と言うのだそうです。

日銀は出口政策についての議論を封印していますし、
筆者によると、国債市場の多くのプレーヤーは、
「インフレ率は日銀が言うペースでは上昇しない」
と思っているなかで、出口論は早いのかもしれません。

しかし、そもそも異次元緩和策は時間稼ぎ策であって、
どこかで終わらせなければなりません。
財政危機と通貨の信認凋落を招かないためにも。

加藤さんは、日本の国債市場の自律的な機能は
日銀の買いオペによってかなり失われており、実態は
国債直接引き受けに限りなく近くなっていると述べています。

そして現在、多くの国債市場関係者は、

「インフレ予想が上がって国債の金利が急騰を始めたら、
 日銀は今以上の巨大な規模で国債を買い支えるに違いない」

と予想し始めているそうです。
これでは、日銀が本来、出口政策に向かうべき時に、
さらに大規模な金融緩和策を行うということになってしまいます。

アベノミクスがモデルにしたという高橋是清の政策。
出口政策として日銀国債引き受けの縮小と軍事費削減を
打ち出した高橋是清は、2・26事件で殺されてしまいました。
その後、財政の拡張に歯止めがかからなくなります。

本書を読んで、改めて出口政策の難しさを感じました。

※山下公園の前でワッショイワッショイ。
 市内各地からお神輿が集まっていたようです。

 

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最近の読書から

 

GW直後ということで、最近読んだ本のご紹介です。

1.「世界の経営学者はいま何を考えているのか」

世界のビジネススクールの最前線にいる「経営学者」たちが
どんな研究に取り組んでいるのか、わかりやすく紹介した本です。

 ・アメリカの経営学者はドラッカーを読まない
 ・ハーバード・ビジネス・レビューは学術誌ではない
 ・経営学には教科書がない

これだけでも「目からうろこ」ですが、私がなるほどと思ったのは
「日本の経営学と海外の経営学」のところです。

日本の経営学がケース・スタディーを重視する風潮が強いのに対し、
米国を中心とした世界の経営学の主流は、理論仮説を立て、
それを統計的な手法で検証するアプローチなのだそうです。

著者の入山さんは、両者が互いの長所短所を補い合うことが重要
と述べているものの、

「現在欧米を中心としたトップスクールにいる経営学者の多くは
 (彼らが考える意味での)科学性を重視しており、そのために
 『理論→統計分析』の演繹的アプローチが支配的である」

と説明しており、どこかで聞いた話だなあと。

ただ、入山さんもどこかで書いていましたが、企業の経営は
自然現象ではなく、人間や人間の集団が行うものですよね。

仮定に基づいた統計分析でどこまで本質に迫れるのか、
各章で紹介された世界の経営学のフロンティアをみると、
まだまだ発展途上の分野であることもわかりました。

2.「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です」

副題は「コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする」。

職業柄ドキドキするタイトルですが、単なるコンサル批判ではなく、
従来の経営コンサルティングの問題点を指摘したうえで、
コンサルティング業務の望ましいあり方や、クライアントと
コンサルタントの正しい付き合い方を提唱したものです。

本書にも様々な経営理論が出てくるのですが、
著者のカレン・フェラン氏は自身の長年の経験等から、
過去を懺悔しつつ、これらを一刀両断しています。

本書には、

「コンサルティングが役に立つとき、役に立たないとき」
「危険なコンサルタントの見抜き方」

なんて表も付いていて、これだけでも参考になりそうです。

3.「アクチュアリー・桑山啓介の転職」

このところ専門職として人気が高まりつつあるアクチュアリー。
本書は「損害保険アクチュアリー」の世界を描いた珍しい本です
(初版は2008年)。

「筆者のこれまでの経験や見聞を踏まえたフィクション」とはいえ、
私も20年以上、保険業界とお付き合いしていますので、
本書で描かれた中堅損保や外資系損保の社内の状況は
ものすごくリアルに感じました。

中堅損保から外資に移った本書の主人公は、
再び日本社に転職するところで終わっています。
その後どうなったのか、続編が気になるところですね。

なお、筆者のHPがあり、そこで補足情報が得られます。
鷹巣怜のホームページ

<番外編> 「親台論-日本と台湾の心の絆」

台湾に行く前に勉強しようと思い、関連書籍を探してみると、
圧倒的に多いのは「グルメ関連」でした^^

次に目立つのは、台湾を題材にしつつ、日本のありかた
(特に対中、対韓関係)を論じているものでしょうか。

本書もタイトルからして後者のジャンルに入るとはいえ、
イデオロギー色が薄く、日台関係について勉強するには
いい本だと思います。

確かに私の経験からしても、台湾の皆さんは日本や日本人に
好意的だという印象がありますし、台湾の町を歩いていると
あちこちに「日本」が見つかります。大事にしたいお隣さんですね。

※台湾といえばマンゴー氷です♪

 

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教養としての「世界史」

 

旅行中にライフネット生命・出口治明さんの近著
「仕事に効く 教養としての『世界史』」を楽しく読みました。

本書は出口さんも書いているように「歴史書」ではなく、
歴史を学ぶことの大切さや楽しさを教えてくれる本です。

ペリーが日本に来た本当の目的を考えるところから始まり、
中国の文書行政、キリスト教と仏教の誕生、ローマ教会、
東西交易、遊牧民の活躍、アヘン戦争などが取り上げられ、
最後にまた日本に戻ってきます。

あくまで私の感想ですが、本書のメッセージは、
次の記述に凝縮されているように思いました。

「世界のこと、過去のこと、今日のことなど、いろいろなことを
 知れば、一つの地域や国の歴史に引っ張られずに、
 ものの見方や考え方が多面的になります」(P328)

タイトルにある「仕事に効く」とは、「歴史を知っていると、
コミュニケーションをとりやすい」という狭い意味だけではなく、
地理的、歴史的背景を知り、いろいろと考えていくうちに、
多面的かつ論理的に物事を考えることができるようになる、
ということではないでしょうか。

それにしても、「歴史が好きなアマチュアの一市民」(はじめに)
である出口さんの博覧強記ぶりには驚かされます。

私は山川の世界史だけではなく、大学でも西洋史学科というところで
歴史を学んだはずなのですが、ローマ教皇の名前など、
すっかり忘れていました^^

 

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大学生が狙われる50の危険

 

三菱総研と大学生協・共済連による書籍です。
2011年2月に出た「大学生がダマされる50の危険」に
最新の情報を加えたパワーアップ版とのことで、
大学生の息子がいることもあり、目を通してみました。

第1章「大学生が狙われる、いまどきの危険」には、
次の9項目が取り上げられています。

 ①新入生勧誘に見せかけた罠
 ②SNSのトラブル
 ③ネット炎上
 ④ストーカー
 ⑤校則違反
 ⑥飲酒・アルコール中毒
 ⑦自転車事故
 ⑧新手のキャッチセールス
 ⑨迷惑行為

私の学生時代はいわゆるバブル期なので、
もう四半世紀も前のことですが、①の宗教勧誘や、
⑥の飲酒、⑨の迷惑行為などは、当時も同じですね。

他方、SNSのトラブルやネット炎上といった、
携帯やスマホの普及に伴う危険が挙げられています。
ストーカー被害や自転車事故(=加害者になる危険)
などもあり、時代の流れを感じます。

2011年版と比べても、「アカウント乗っ取り」
「ネットゲーム」「スマホ(のアプリ)」「ネット依存症」
といった危険が新たにリストアップされていて、
ここ数年のスマホやタブレットの普及を反映しているのでしょう。

ちなみに、本書で取り上げられた50の危険は
どのような基準で選ばれたのでしょうね。

「就職活動」「社会に出る前に」といったものもあるので、
50の危険はあくまで例示なのだとは思います。

ただ、次に改訂版が出るときは、危険を防ぐポイントに加え、
発生する頻度と、発生した時の損失をイメージできる
手掛かりがあるといいですね...なかなか難しそうですが。

※写真は御茶ノ水を代表する二つの橋です。
 電車の写真にしか見えないかもしれませんね^^

 

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森本さんの近著

 

私の所属するキャピタスコンサルティング代表の森本祐司さんが
「ゼロからわかる金融リスク管理」を出しました(KINZAIバリュー叢書)。

本書は金融リスク管理の入門書ですが、ノウハウや計測手法を
教えてくれる親切で便利な本ではありません。

「リスクとは何か」というところから始まり、
 ・リスクを「管理」するとはどういうことか
 ・リスクを計測し活用するうえで必要となる7つの心構え
など、入門書とはいえ、骨太の内容となっています。

リスク管理を「安全性の確保」、すなわち、リスクを計測し、
体力を超えたリスクを取っていないか確認すること捉えてしまうと、
リスク管理はリスク管理部門の仕事という意識になってしまうのは
ある意味当然かもしれません。

本書では、「金融商品の仕入れ値と売り値をどうとらえるか」
という視点を示し、リスク管理が決してリスク管理部門に任せておけば
いいものではないことを示唆しています。

何のためのリスク管理なのかを踏まえれば、
「リスク管理はリスク管理部門の仕事」ではないし、
まして規制対応でもないはずです。

ということで、身内の出した本ではありますが、初心者のみならず、
金融にかかわるベテランにも有益な内容だと思いますので、
ご紹介させていただきました。

※写真は大倉山梅林です。

 

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最近の読書から

 

早いもので今年も残すところあと2日。
今回は最近読んだ本の中から3冊ご紹介します。

「金融再編の深層 高橋温の証言」

1998年から2005年まで住友信託銀行(現三井住友信託銀行)の
社長を務めた高橋温さんが、日本長期信用銀行との合併交渉や
UFJ信託銀行の買収交渉など、過去20年間の金融危機・再編を
当事者として語った本です。

「自らが体験した事実をきちんと書き残し、経営者としての
 私の経験をぜひ、今後の教訓として生かしてほしいと考えた」

とあるように、本書は、長銀の合併問題やUFJ信託の争奪戦など、
高橋さんが大手信託銀行トップとして関わった事件についての
貴重なオーラルヒストリーです。

「なぜUFJは三井住友ではなく、三菱東京を選んだのか?」

という問いについても高橋氏の考察があり、興味深く読みました。

「医療保険はすぐやめなさい」

著名FPの内藤眞弓さんによる最新刊です。
タイトルや帯は刺激的(「やめた人から得をする!」とあります)
ですが、民間医療保険との付き合いかたについて
丁寧にわかりやすく書かれています。

特にいいなと思ったのは、がんの治療費の目安です。
がんになったら、実際に「いつ」「どれだけ」費用がかかるのか。
内藤さんはまずここから解説したうえで、保険に頼れる部分と
そうでない部分を示しています。

それにしても、がん保険は難しい。
死亡保険と違い、給付金が支払われる条件が様々なのですね。
例えば、2回目以降の診断給付金を受け取る条件には
4パターンもあるそうです。

「部下を持ったら必ず読む『任せ方』の教科書」

著者はライフネット生命のCEO、出口治明さんです。
私は本書がターゲットとしている読者層ではなさそうですが、
日本の会社、日本的経営ガバナンスについて考えるなかで、
たまたまこの本と出合いました。

・決定権を持つものが一人で決める
・異質な社員に権限を委譲し、任せる
・課長の決定に、部長は口を出してはいけない
・労働時間から「労働生産性」に焦点を変える  などなど

おそらく本書で出口さんが説く「あるべきマネジメント」の
裏返しが、日本の会社には多いのではないでしょうか。

もちろん、タイトルに「部下を持ったら必ず読む」とある通り、
本書には上司になったら何をすべきかを考えるヒントが満載です。

※写真は年末でにぎわう築地場外市場です。

 

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「『行動観察』入門」

「ビジネスマンのための『行動観察』入門」を読みました
(著者は松波晴人さん。講談社現代新書です)。

「行動観察」とは、観察者が様々なフィールドに入って
対象となる人間の行動をつぶさに観察したうえで分析し、
問題解決法を提案する手法のことです。

アンケートやグループインタビューでは、主として
顕在化しているニーズやリスクを収集することになります。

これに対し、行動観察では本人がそうと認識していない
課題やニーズを知ることができます。
「今どんなリスクに直面していますか」と聞かれても、
それがリスクだと気が付いていなければ、回答しませんよね。

さらに、行動観察では、アンケートやインタビューで生じがちな
バイアスを排除することもできます。
本書では「アンケートでは社会通念に反する回答は出てきにくい」
とありました。確かにそうかもしれません。

ただ、行動観察が十分な効果を上げるかどうかは、
どうも観察者の力量によるところが大きいように感じました。

本書で観察の対象となった現場は、「販売イベント会場」
「営業マンの行動」「残業だらけのオフィス」「飲食業」「書店」などで、
筆者のチームはそれぞれでかなりの成果を上げているのですが、
やはり観察経験を踏むほど、成果が上がっているようです。

著者も、観察者が学ぶべき二つのポイントとして、

・自分の価値観から自由になる
・人間についての知見を持つ

を挙げ、どちらも大変な労力と時間がかかると述べています。

とはいえ、「フィールドを観察し、よい仮説を立て、それを検証する」
という自然科学の流れをビジネスで応用するという「行動観察」は、
ERMの構築サポートでも応用できそうです。

※連日天気が悪いので、このような月がなかなか見られませんね。

 

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