夏の読書から

 

今回はこの夏に読んだ本のご紹介です。

1.「世論調査とは何だろうか」(岩波新書)

著者の岩本裕さんはNHKの記者出身で、
現在はNHK放送文化研究所で世論調査を
担当しているかたです。

「素人ならではの視点を活かして、数字に
 だまされないため皆さんに知っておいて
 ほしいことを紹介していきます」

とあり、世論調査について幅広い視点から
紹介した本でした。

最も問題なのは、若者を中心に協力してくれる人が
大きく減っていることだそうです。

これに対し、世論調査は民主主義社会のなかで
私たちに与えられた「武器」なので、有効に利用
すべきというのが著者からのメッセージでした。

2.「海外企業買収 失敗の本質」(東洋経済新報社)

保険会社の海外展開についての執筆が続いたため、
日本企業の海外M&Aに関する本を何冊か読みました。

本書はM&Aの専門家である松本茂さんによる本です。
ただし、買収の実務書ではなく、日本企業による
海外M&Aを分析し、過去の事例から学ぼうというもの。

おそらく博士論文を一般書にしたものだと思いますが、
研究手法が私の中堅生保の破綻研究と似ていて、
その意味でも興味深く読みました。

それにしても、調査対象116案件のうち、失敗
(売却・撤退に至った案件)が51件とは驚きですね。

なお、ご案内の通り、このところ週刊金融財政事情で
書評を執筆していて、次回は本書を取り上げています
(もう少ししたら掲載されると思います)。

3.「本社はわかってくれない」(講談社現代新書)
  (下川裕治・編)

こちらも日本企業の海外進出絡みの本で、
副題に「東南アジア駐在員はつらいよ」とあります。

日本企業が東南アジアで遭遇した各種トラブルや
現地日本人の胸のなかにしまわれていた話
(なかには愚痴のようなものもありますが…)を
ジャーナリストが掘り出しています。

参考までに見出しを並べると…

 ・すぐ休む人々
 ・働かない人々
 ・会社を私物化する人々
 ・身勝手な人々
 ・会社のカネを使い込む人々
 ・すぐに訴える人々
 ・役人な人々
 ・宗教で生きる人々
 ・才能ある人々
 ・不運に見舞われた人々
 ・日本を持ち込む人々

編者の下川さんは、海外進出する日本企業に
問われる資質とは、「トラブルを克服していく能力」
とまとめています。
確かに、そもそもトラブルは起こるもの、なのでしょう。

※写真左は「フリフリチキン」、右は「ガーリックシュリンプ」。
 どちらもハレイワ名物です。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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