「日銀、『出口』なし!」

 

日銀ウォッチャー加藤出さんの近著です。
副題は「異次元緩和の次に来る危機」。

日本銀行が現在行っている量的質的緩和策は、
終わるに終われない状況に陥るのではないか。
これを「ホテルカリフォルニア化」と言うのだそうです。

日銀は出口政策についての議論を封印していますし、
筆者によると、国債市場の多くのプレーヤーは、
「インフレ率は日銀が言うペースでは上昇しない」
と思っているなかで、出口論は早いのかもしれません。

しかし、そもそも異次元緩和策は時間稼ぎ策であって、
どこかで終わらせなければなりません。
財政危機と通貨の信認凋落を招かないためにも。

加藤さんは、日本の国債市場の自律的な機能は
日銀の買いオペによってかなり失われており、実態は
国債直接引き受けに限りなく近くなっていると述べています。

そして現在、多くの国債市場関係者は、

「インフレ予想が上がって国債の金利が急騰を始めたら、
 日銀は今以上の巨大な規模で国債を買い支えるに違いない」

と予想し始めているそうです。
これでは、日銀が本来、出口政策に向かうべき時に、
さらに大規模な金融緩和策を行うということになってしまいます。

アベノミクスがモデルにしたという高橋是清の政策。
出口政策として日銀国債引き受けの縮小と軍事費削減を
打ち出した高橋是清は、2・26事件で殺されてしまいました。
その後、財政の拡張に歯止めがかからなくなります。

本書を読んで、改めて出口政策の難しさを感じました。

※山下公園の前でワッショイワッショイ。
 市内各地からお神輿が集まっていたようです。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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