ペッツファーストへの行政処分
金融庁の「実践と方針」に、「検査・監督の過程において、法令等に定められた最低基準についての不備が複数の業者に認められ」「根本原因の一つとして、業者において適切なガバナンスが働かず、業容拡大が最優先とされた状況が認められた」とあったので、具体的な内容を知りたいと思っていたところ、5月のエイ・ワン少額短期保険への行政処分に続き、ペッツファースト少額短期保険への行政処分が公表されました。
内容は「決算状況表等の虚偽記載」ですが、読むと信じられないようなことが書いてあります
(以下は私が要約したもの)。
・当社で唯一、保険会社に勤務経験のある代表取締役に業務全般を任せきりにしている。
・代表取締役は、自らが試算したソルベンシー・マージン比率が健全性基準を下回ることが判明したため、架空の契約データを作成し、意図的に未経過保険料を過大計上し、ソルベンシー・マージン比率をかさ上げした。
・決算業務を担当している経営管理部は、データと証拠書類の突合を行っていない。
・内部監査担当は、決算業務に係る監査を行っていない。
・保険計理人や非常勤監査役も、十分な検証を行っていない。
同社には10月18日から3か月間の業務停止命令が出されるとともに、業務改善命令が出されました。
少額短期保険会社は年々増えており、すでに100社を超えました。しかし、このような経営管理レベルの会社も含まれているということを、残念ながら認識しておく必要がありそうです。
認可特定保険業に関する新たな動き
関連して、知人から気になるニュースを耳にしました。
少額短期保険業は、根拠法のない共済への対応として、2005年の保険業法改正で誕生しました。根拠法のない共済は、保険会社になるか、少額短期保険会社になるか、あるいは廃業するかを迫られました。
ただ、その後(2010年)の保険業法改正で「認可特定保険業」という制度ができ、保険会社にも少額短期保険会社にも移行していなかったところが、「当分の間」認可特定保険業者として保険業を続けることができるようになりました
(公益法人として保険事業を行っていたところも対象)。
認可特定保険業には新規参入はできません。ところが報道(有料会員限定)によると、中小企業向けの労働災害の共済に新規参入を認める法案を通そうという動きがあるとのこと。
認可特定保険業を将来的にどうするかという課題をそのままにしたうえで、特定分野だけに新たな共済事業を認めるようにする(行政はおそらく金融庁ではないのでしょう)というのは、にわかに理解しがたいものがありますね。
※お参りした甲斐がありました。
※いつものように個人的なコメントということでお願いします。
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