東京海上がグループ傘下の再保険会社をバミューダの再保険会社ルネサンス・リーに売却し、今後は元受保険事業を主体に事業展開していくという発表がありました。
公表資料(PDF)
再保険市場の構造変化
東京海上HDのニュースリリースによると、世界の再保険市場は、「料率競争の激化や再保険会社以外の資本の継続的流入によりソフトマーケットが常態化し収益性が悪化傾向にあります」とのことです。
確かに再保険市場では一時的なものではない、構造変化が生じているように見えます。
2000年代ころまでの再保険市場では、再保険カバーの供給が絞られ、料率が上がり、再保険会社の収益が改善するハードマーケットと、再保険カバーの供給が過剰となり、料率が下がり、再保険会社の収益が悪化するソフトマーケットが数年ごとのサイクルで交代していました。
ところが今は、多額の保険金支払いが生じても、マーケットがなかなかハード化しないという状況です。例えば、2017年は米国のハリケーンなどにより過去最大級の支払額となったにもかかわらず、その後もマーケット全体としてはハード化したとは言えないようです。
背景には、ERMの進展で再保険会社が資本を毀損しにくくなったことのほか、キャットボンドをはじめ、保険リンクの商品に金融市場から資金が流入していることがあると考えられます。
グローバル戦略の違いに注目
このような構造変化のもとで、2018年に入り、フランスのアクサが元受損保と再保険事業を柱とするXLグループを買収(買収価格は発表時点で約1.6兆円)するとか、米AIGがバリダスを買収するといった、元受を主体とした保険グループが再保険事業を買収により取り込む動きも見られます。考えてみれば、日本のMS&AD(アムリン)もSOMPO(旧エンデュランス)も再保険事業を柱の一つとしています。
東京海上はこうした動きとは異なる戦略をとるということで、興味深いです。
※写真は奈良県の今井町(橿原市)です。いい意味で生活感のある町並みでした。
※いつものように個人的なコメントということでお願いします。
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