日本FP協会の会報『FPジャーナル』10月号に登場しました。特集記事の「保険業界の最新動向と今後の見通しを探る(生命保険)」で私のコメントがいくつか使われています。
ただ、いま読み返してみると、やや舌足らずなところもあるので(すみません)、若干補足してみましょう。
生保市場は縮小?
冒頭に「ここ数年、生保市場は縮小しているイメージがありますが、実際はそうではありません」とあり、保有契約年換算保険料が右肩上がりで推移していることを紹介しました。
ここで言いたかったのは、生保に集まるお金が増えている(伸びたのは主に貯蓄性商品なので)ということですが、同時にこの図表からは、一般に成長市場とみられている第三分野の年換算保険料が意外に伸びていないこともわかります(記事ではそこまでコメントしていません)。
本格的な人口減少はこれから
「これまでは人口構成の変化に対応してきましたが、人口の総数が減っていく中で今後、生保業界にとって厳しい経営環境となると考えられます」というコメントにも補足が必要かもしれません。
人口構成の推移を見ると、これまでの10年、20年は、確かに生保がターゲットとしてきた保障中核層(30~40代)は縮小したものの、その上の世代はむしろ増えていましたので、ターゲットをシニア層に広げることで事業を展開することができました。しかし、これからの10年、20年は、高齢シニア層を除けばどの層も人口が減っていくという未体験の世界に突入するので、「厳しい経営環境となる」とコメントしました。
高齢化の推移と将来推計(PDF)
他の金融商品とのちがい
「株主はともかく、契約者にとって生保会社の成長は絶対ではありません」「経営リスクを抑え、経営の健全性を保ってくれればよく、契約者やFPの方々としては安全性を監督(監視…植村注)することが重要です」というコメントも、やや極端に見えたかもしれません。
これは読者がFPなので、他の金融商品とはちがい、保険では契約者が保険会社の信用リスクを負っているということを伝えようとしたものです。加入先の生保会社が破綻すると、契約者は何らかの不利益を被ります。
※お地蔵さまが縄でしばられていました。