15. 執筆・講演等のご案内

ジャストインケースの挑戦

インシュアランス生保版(2018年2月号第4週)に寄稿したコラムをご紹介します。
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保険とテクノロジーの融合である「インシュアテック」という言葉は、日本の保険業界でも広く知られるようになった。
ところが、日本のインシュアテックは海外より数年遅れているという識者の声をしばしば耳にする。確かに「A社が健康増進活動の成果を保険料等に反映する新しい商品を開発」「大手損保グループB社が米シリコンバレーに拠点を置き、インシュアテックを推進」など、大手保険グループによる取り組みが活発化する一方、「トロブ」「レモネード」といったスタートアップ企業が次々に台頭する海外に比べると、既存の保険ビジネスに破壊的創造をもたらす存在となるスタートアップの動きは目立たない。

そのようななかで、少額短期保険の枠組みを活用したインシュアテックサービスの提供を目指すスタートアップ企業が現れた。
ジャストインケース(justInCase)社はアクチュアリーやデータサイエンティストなど専門技術を持つメンバーが立ち上げた会社で、ウェブサイトをのぞくと、「アプリで必要な補償を必要なときに気軽に選べる世界の実現を目指します」「よりオープンな新しい保険の仕組みのもとに、気軽に安心を得られる未来を作ります」などとある。

第1弾の「スマホ保険」はスマートフォンの画面割れ・水没・破損等の修理費用を補償するもの。AIを活用して事務処理を自動化するほか、スマホ利用の安全度合いをAIが判定して更新時の保険料に反映したり、友達プール機能により不正請求を防いだりと、詳細は不明だが、随所に最新技術を取り入れ保険料の最適化を実現するそうだ(2月1日現在、少額短期保険業者の登録準備中)。
スマホ修理費用の補償としては、アップルケアや携帯会社が提供するサービスのほか、「モバイル保険」を販売する少額短期保険会社が登場しているとはいえ、大手が参入していないニッチ分野と言える。

保険としてだけとらえると、果たして数万円単位の損失に毎月保険料を支払って備える必要性があるのかという見方もできる。しかし、インシュアテックによってスマホユーザーに新たな価値を提供できるかもしれないし、そもそも同社がスマホ保険の専門会社としての成長を目指しているとは考えにくく、ニッチ分野で培った経験をもとに、ニッチではない分野への進出を図っていくのだろう。

同社が少額短期保険の枠組みを活用するというのも興味深い。少額短期保険制度はもともと根拠法のない共済の受け皿として創設されたという経緯があり、通常の保険会社に比べると設立のハードルは低い。既存の生損保が手掛けてこなかったユニークな商品提供のほか、顧客基盤を持つ異業種からの新規参入も目立っていたが、同社のように新しいビジネスモデルのいわば実験場として少額短期保険を活用するというのは、うまくすると日本のインシュアテックの一つのモデルケースとなるかもしれない。
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※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は大倉山記念館です。内部はこんな感じ。ロケ地としても時々使われているみたいです。

 

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損害保険統計号から(inswatchに掲載)

直近のinswatch Vol.915(2018.2.12)に執筆した記事のご紹介です。
他の記事では、小林俊幸さん(イーアライアンス/イーブレイン)の「ライフプランって良い結果ばかりじゃないでしょ!?」が印象に残りました。

損害保険統計号から

最新版の「インシュアランス損害保険統計号」(保険研究所)が手元に届きました。昨年度のデータなので、もう少し早く刊行されるとありがたいのですが、業界分析にあたり、個社の財務データを横比較で把握できるなど、生命保険統計号とともに重宝しています。
今回はこの統計号を使い、日本の損保業界の姿を探ってみましょう。

3メガ損保の高シェアは不動

直近の統計号には元受会社として28社が掲載されていました。非掲載のチューリッヒを含め、改めて市場シェアを確認すると、3メガ損保グループに所属する会社が元受保険料の85%前後を押さえているとわかりました。これは10年前とほぼ変わらない水準です。
これに対し、外資系の元受シェアは1割弱で、10年前に比べるとやや下がり気味です。ダイレクト保険のシェアが年々高まっているとはいえ、今やダイレクト保険9社(セゾンを含めると10社)のうち、外資系は3社のみ。この分野でも3メガ損保グループが目立ちます。

自動車保険に限ると、昨年度は2ケタ成長を果たした会社が4社ありました(朝日火災、セゾン、SBI、イーデザイン)。
このうちSBIとイーデザインはダイレクト自動車保険の新興勢力、セゾンは数年前からSOMPOグループの通販会社として、やはりダイレクト自動車保険で業績を伸ばしています。
もう1社の朝日火災は近年、長期分割払い契約が可能な自動車保険を、比較推奨型代理店などに向けて投入し、急成長しています。

代理店手数料率は強含み

次に、事業費内訳表に「代理店手数料等」という項目がありますので、こちらを確認してみましょう。

決算発表で公表される「諸手数料及び集金費」には出再または受再に係る手数料が含まれています。このため、出再の多い会社では事業費が小さくなる傾向があります(出再手数料は出再先から受け取るものなので)。
例えば、昨年度のAIU(現AIG)の諸手数料及び集金費は207億円のマイナスでした。当然ながら同社の代理店手数料がマイナスということはありません。AIUは元受保険料の7割以上を出再していたため、受け取る手数料が752億円に上り、事業費を吸収していました(ただし、出再により正味の付加保険料も小さくなります)。

元受保険料に対する代理店手数料(直販社員の募集費を含む)の割合は、大手の場合、16~17%となっています。10年前と比べると、おそらく代理店の皆さんの実感とは異なり、むしろやや高まっているようです。手数料率の低い代理店が減ったことが一因と考えられます。

負の遺産も存在

1年契約が中心とはいえ、損保会社の負債の多くは責任準備金です。このうち、実質的には支払余力として考慮すべき異常危険準備金を除いた「普通責任準備金」のなかには、未経過保険料のほか、会社によっては今でも生保のような長期の円金利負債(払戻積立金)を抱えています。

元受28社のうち、昨年度末時点で普通責任準備金に占める払戻積立金のウエートが4割以上の会社は、東京海上日動(43%)、損保ジャパン日本興亜(42%)、三井住友海上(46%)、共栄火災(45%)、朝日火災(79%)の5社でした。
大手3社の払戻積立金の大半は、1990年代前半に販売した年金払積立傷害保険と考えられます。高金利時代に提供したものなので予定利率(保証利率)が高く、大手損保のいわば負の遺産となっています(加入者にとってはお宝契約ですね)。
中堅2社については、それぞれのビジネスモデルと関係がありそうです。

なお、長期契約といえば、2015年上半期に駆け込み販売があった長期火災保険を思い起こします。前年の統計号をざっと見たところ、責任準備金が増えたとはいえ、貯蓄性の強い商品ではないため、規模としては限られているようです。
ただし、最長36年契約でしたので、提供した損保会社は数十年先までの自然災害リスクを抱えていることになります。仮に風水災害のリスクが高まっていった場合には、どこかの時点で負債を再評価(=損失を計上)しなければなりません。
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inswatchは保険流通業界向けのメールマガジンです。
私は2か月に1度のペースで寄稿しています。

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※沖縄に「赤道」という地名があるのですね(「あかみち」です)。下の写真も沖縄ならでは。

 

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日経プラス10に出演

先週(19日の夜)、BSジャパンの報道番組「日経プラス10」にゲスト出演しました。

この番組は、「BSジャパンが日本経済新聞社や日経BP社など日経グループ各社及びテレビ東京と総力を挙げて作る本格的な報道番組(番組概要より)」ということで、小谷真生子キャスターの投げかけに対し、日経新聞の編集委員やゲストスピーカーが解説するというスタイルでした。

私が出演したのは、「人生100年時代 長寿化で保険料はどうなる?」というトークコーナーで、4月からの標準生命表の改定とその影響について解説しました。

標準生命表についてはこちら(昨年8月のブログ)でも書きましたが、当日も、

・あくまで責任準備金の基礎率だが、各社の保険料に影響がある
・影響の表れかたが商品の種類により異なる
・4月からの新契約が対象で、既契約の保険料には影響しない

といったことを、いかにわかりやすく説明するかに腐心しました。
いかがでしたでしょうか。

死亡率と保険料の話をさんざん説明したあとで、「高齢化が進むと死亡する人が増えるので、生命保険会社の経営は厳しくなるのでは?」という質問が出て、ズッコケた人が多かったかもしれません。

実のところ、あれは事前の打合せにはなかった質問でして、「だったら責任準備金なんて必要ないでしょ、何を聞いていたんですか」という話ではあるのですが、案外そのように考えている視聴者も多いのかもしれないので、そう考えると、いい質問だったのでしょうね。

鈴木編集委員がそう考えてあえて質問したのかどうかは未確認ですが、確かに、生保関連の書籍などでも、保険料収入と保険金等支払の差額がマイナスだと危ないとか、損益計算書で責任準備金の戻入が続く会社は不安だとか、生保の仕組みを理解していない記述をたまに見かけますので。

いずれにしても、おそらく今後続々と発表されるであろう、各社の商品戦略に注目したいです。

 

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政策保有株式の削減

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直近のinswatch(2017.12.11)に寄稿しましたので、ご紹介します。
今回は政策保有株式について書きました。

他にも「人工知能と保険ビジネス」「1000年企業の作り方」などの記事が出ていますね。ご関心のあるかたはこちら ⇒ inswatchのサイトへ

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 政策保有株式の削減

◇自然災害の影響で業績予想を下方修正
北米ハリケーンなど国内外の自然災害の影響等により、3メガ損保は2017年度4-9月期決算発表時にいずれも2017年度の業績予想を下方修正しました。
今年度の自然災害による保険金支払額は、東日本大震災やタイ大洪水が発生した2011年度以来の規模となりそうです。

<3メガ損保の自然災害発生保険金(各社発表ベース)>
 東京海上HD 982億円(国内251億円、海外731億円)
 MS&AD HD 1122億円(国内248億円、海外874億円)
 SOMPO HD 962億円(国内256億円、海外706億円)

ただし、これほどの発生保険金にもかかわらず、下方修正後の利益水準が堅調なのは、好調な国内損保事業(自然災害を除く)に加え、政策保有株式の売却益が結果的に利益を下支えしていることも挙げられます。

◇ガバナンス改革と政策保有株式
政策保有株式の削減は損保業界固有の話ではありません。近年、取り組みが加速しているコーポレートガバナンス改革では、日本企業の政策保有株式に厳しい視線が注がれています。
例えば、東京証券取引所は2015年にコーポレートガバナンス・コードを制定し、上場会社の行動原則を示していますが、そのなかには政策保有株式に関する原則もあり、政策保有株式を持つ会社に対し、その方針を開示し、保有の狙いや合理性を説明するよう求めています。

純粋な投資行動ではない政策保有の場合、資本効率が下がる(=ROEを押し下げる)のが一般的ですし、議決権が適切に行使されず、株主という立場からの監視機能が形骸化することにもつながります。
しかし、そのような状況にもかかわらず、事業法人では政策保有株式の縮減が必ずしも進んでいない模様です。

◇損保や大手銀行はなぜ売却を進めているのか
他方、3メガ損保や大手銀行の政策保有株式は、足元では依然として高水準とはいえ、具体的な削減計画を公表し、実際に売却が進んでいます。
例えば、東京海上ホールディングスの2017年9月末の簿価ベースで見た政策保有株式の残高は、2003年度末の41%まで減っていますし、SOMPOホールディングスでも、2001年3月末の40%の水準です。

3メガ損保が政策保有株式の売却を進めているのは、ガバナンス改革の観点からというよりは、株価変動リスクを抱えすぎているという認識に基づいたリスク管理の面から、あるいは企業価値向上を目指したERMの観点からという側面が強いのではないかと思います。

なお、大手生保も多額の株式を保有していますが、その大半は政策保有ではなく、純投資という位置付けです。一般勘定で多額の株式を保有する合理性があるとは考えにくいのですが...

※写真は地元・大倉山駅前のツリーです。

 

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顧客本位の業務運営を生かす

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うっかりしていて、8月のインシュアランス生保版に書いたコラムのご紹介を忘れていました。遅まきながらご覧ください。

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「顧客本位の業務運営」を生かす

NHK総合テレビ・クローズアップ現代+の保険特集「保険値上げで家計直撃!賢い見直し術とは」(6月28日)にゲスト出演した時のこと。
番組前の打合せで、「(保険ショップなどに対する)規制が入ったとはいえ、代理店はあくまで保険会社を代理する存在であることは押さえておきたい」というコメントをしたところ、キャスターから「それでは消費者はどこで保険の相談をしたらいいのでしょうか」と聞かれ、答えに窮した。

保険ショップをはじめ、保険会社の営業職員や代理店、銀行や郵便局の窓口など、保険について無料で相談できるところは多い。言うまでもないが、相談が無料なのは保険販売による手数料や報酬で事業が成り立っているからである。
番組のVTRでは消費者が独立系ファイナンシャルプランナー(FP)に保険の見直しを相談していた。しかし、現状は相談業務だけでFPが成り立つ環境とは言い難く、保険販売などの手数料ビジネスに依存していないFPは極めて少ないと聞く。

長い目で見れば、「適切なアドバイスをするにはコストがかかる」「情報はタダではない」という常識を消費者に浸透させる必要があるとはいえ、今の状況がすぐに変わるとは思えない。
そこで次善の策として浮上するのは、顧客本位の業務運営を掲げ、「専属」「乗合」などの自らの立ち位置や、「どのような考えのもとで保険を勧めるか」といった方針を明らかに示した販売会社への相談である。消費者の信頼を得るには、可能なかぎり具体的で納得感のある運営方針が求められる。

販売会社からすると、昨年の改正保険業法施行に続き、金融庁が打ち出した「顧客本位の業務運営に関する原則」への対応も求められ、ウンザリしているところかもしれない。
しかし、保険の相談をしたいという消費者のニーズがあり、かつ、(保険会社からの手数料に依存していないという意味で)中立的な相談窓口が少ないのであれば、消費者に顧客本位の業務運営を訴えることができる販売会社には、むしろ顧客の信頼を勝ち得るチャンスと捉えることができよう。専属チャネルでも、相談の過程で消費者にネット等を通じて他社と比べてもらえばいい。

もちろん、金融事業者等に顧客本位の業務運営を求めることで消費者利益を高めるには、販売会社をはじめとする金融事業者等の努力だけでは不十分であり、同時に消費者の金融・保険へのリテラシー向上が前提となる。行政はそのことを十分理解してほしい。

私は番組で、消費者は「自分を知ること」「社会保障を知ること」「保険の得意分野を知ること」が重要という趣旨のことを述べた。
自分を知るとは、保険であれば、自分がどのようなリスクに備えたいと考えているかを把握することであり、これは販売会社がサポートできる内容でもある。
「顧客本位の業務運営」を規制対応ではなく、ビジネスチャンスとして取り組んでみてはいかがだろうか。

※都心でもだいぶ木々が色づいてきました。

 

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教養としての社会保障

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インシュアランス生保版(11月号第2週)に寄稿したものです。
「主張」というコラムを交代で書いています。
発行元の保険研究所は統計号で有名なところですね。

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「教養としての社会保障」を読む

 衆院選は小選挙区で当選を重ねた与党の圧勝となったが、今回は(今回も?)選択に困る有権者が多かったのではなかろうか。

 NHKが選挙前に行った世論調査では、投票先を選ぶ際に最も重視する政策課題として「社会保障」を挙げた人が29%と最も多かった。共同通信による調査でも、投票で最も重視する点として回答者の約3割が「年金や少子化対策など社会保障」を挙げた。ここから先は私の解釈だが、有権者が政策課題として重視する社会保障とは、「年金をもっと増やしてほしい」「負担をこれ以上増やさないでほしい」といった刹那的要求だけではなく、「少子高齢化が進むなかで、今の社会保障制度はもつのだろうか」という将来に対する不安への回答を求めていると考えられる。

 しかし、自民党は今回、消費増税は実施するものの使途を見直し、社会保障の持続可能性という意味では後退する政策を打ち出した。対する野党は、代替財源を明確に示さずに増税凍結を打ち出し、むしろ社会保障の持続可能性を危うくしかねない政策ばかり。有権者はいったい誰に投票したらよかったのか。
 そんなことを思いながら、改めて「教養としての社会保障」(香取照幸著)を読んだ。

 本書は社会保障の仕事に長年携わってきた元厚生労働省幹部によるもので、「社会保障の全体像、社会保障と経済や政治との関わりを『市民目線』で解き明かし、社会保障をある種の『一般教養』として理解していただこう」(本書より引用)という本である。
 社会保障というと、負担と給付ばかりが語られがちだが、本書では産業としての社会保障にも言及し、「社会保障はGDPの5分の1を占める巨大市場」「社会保障は『単なる負担』ではなく、経済成長のエンジンたりうる」と論じており、目から鱗の思いがする。

 もちろん、社会保障をどう持続可能なものとするかは本書の中心テーマとなっている。「今や小手先やその場しのぎの改善改革では追いつかない、社会保障全体の組み立てを見直さないといけないというところまで事態は進んでいるように思えます」というのが制度設計の専門家としての著者の認識であり、労働力人口が減るのに高齢者は増え続ける今後20年から30年の期間を乗り切れるかどうかが一番の課題としている。

 「今後、社会保障費の負担増は避けて通れません。(中略)公平性を担保し信頼を得るには、負担も給付もできるだけ見えやすく分かりやすい簡素な仕組みに再構築しなければなりません」
 「医療、福祉、介護などの部門では効率化が求められます。(中略)効率を高めるためには、規制緩和や競争政策は有効です」
 「高齢者の経済活動を貯蓄から消費へと誘導するためには、社会の安心基盤を構築し、将来の不安を少なくして安心して暮らせる社会をつくることが王道です」

 一見して政治の役割は大きいとわかるが、果たして現政権は応えてくれるのだろうか。
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日本のインシュアテック

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直近のinswatch(2017.10.9)に寄稿しました。
私のブログにしてはやや長めですが、ご紹介します。

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日本のインシュアテック

インシュアテックをめぐるギャップ

新聞や雑誌などで「インシュアテック(保険分野のフィンテック)」として紹介される事例を見ると、新しい技術を使ってこれまでにない商品を作るとか、あるいは業務プロセスの効率化が進むとか、総じて既存プレイヤーが技術を活用するという話が中心となっているようです。最近発売された東洋経済の生保・損保特集号でもそう感じます。

他方、9月に東京で開かれたフィンテックサミットでインシュアテックのパネルディスカッションもいくつかあり、このうち一コマに参加したのですが、ディスカッションの主なテーマは「日本のインシュアテックはなぜ動きが遅いのか」でした。

こうしたギャップについて私なりに考えてみると、既存の保険会社(および、その動きを伝えるメディア)は、これまで成功してきたビジネスモデルを前提に、新しい技術を使うことで何ができるのかを考えているように見えますが、技術革新による影響はそのようなレベルの話にとどまらないということなのでしょう。

インシュアテックの破壊力

例えば、生保・損保特集の表紙に大きく載った「健康増進型保険」について、これが「健康増進活動による成果を保険料等に反映」というだけであれば、従来の新商品開発と本質的には変わりません(新しいニーズの発掘とは言えそうですが)。

しかし、健康データの蓄積が進むのと同時に、予防医療等が広く普及し、めったに病気にならないという世の中になれば、どうでしょうか。今の医療保険マーケットは相当縮むように思いますし、わざわざ保険をショップなどへ買いに行くようなことはなく、例えば健康食品を買ったり、ジムの会員になったりしたついでに保険にも入るという世界になり、このマーケットの主役は対面販売を主体とする保険流通ではなくなるかもしれません。

「金融育成庁」はどう動くのか

技術革新が進むなかで、顧客本位のサービスを今後も既存プレイヤーが提供し続ける世界が可能と考えるのであれば話は別ですが、もし、消費者が新技術の恩恵をフルに享受するには新しいプレイヤーが必要と考えるのであれば、商品認可をはじめ参入障壁となっているであろう各種制約を見直さないと、今後も「なぜ動きが遅いのか」という状態が続きそうです。

インシュアテックを研究している保険会社は、おそらくこうした破壊力をわかっているのだと思います。となると、やはり注目は「金融育成庁」を標榜する当局の姿勢ということになりますね。
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inswatchは保険流通業界向けのメールマガジンで、
私は2か月に1度のペースで寄稿しています。

※写真は大津の石山寺です。
 紫式部が源氏物語の着想を得たところだそうです。

 

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生保・損保特集号2017

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今年も週刊東洋経済の「生保・損保特集」に
寄稿させていただきました。

「保険会社による『適切なリスクテイク』とは」
というタイトルで、日本の保険会社の経営が
顧客本位の業務運営と適切なリスクテイクの
両立を求められていることを書きました。

さらに、大手生保によるリスクテイクの現状を
公表資料から探っています。
本当は4社合算ではなく、それぞれの会社の
分析を行うべきところですが、ご容赦ください。
それでも四半期ごとの推移を載せましたので、
見えてくるものもあると思います。

機会がありましたらぜひご覧ください。

今回の特集号では、アクチュアリーの野口さん
(チューリッヒ生命)が、来年4月の標準生命表
改定を受けた業界動向について解説していて、
興味深く拝読しました。

注目の第三分野(終身タイプ)については、

「標準利率引き下げに伴う保険料引き上げを
 見合わせた会社が多いため、今回は多くの
 会社で対応(引き上げ)せざるを得ないだろう」

という見方を示されています
(私も8/18のブログで近いことを書いています)。

野口さんいわく、各社ともに業界内における
自社のポジションを向上させる絶好の機会が
訪れることに間違いはない、とのことです。

3メガ損保グループの海外M&Aを分析した
「損保『海外戦略』に異変あり」という記事も、

・新たな買収を進めるも、既存の大型買収先の
 業績が必ずしも良好ではないMS&AD
・買収後、減益基調となっていた会社を売却し、
 新たな買収先を海外戦略の柱としたSOMPO
・買収後も利益成長を続ける東京海上
 (ただし人材面などで課題あり)

というように、3グループの海外事業の現状を
うまくまとめていました。

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※写真はべーリック・ホールという洋館で、
 横浜市の認定歴史的建造物です。

 

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講演のご案内です

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今回は損保総研セミナーのご案内です。
9月になったらご案内しようと思っていたところ、
いろいろあって、もう6日になってしまいました。

連休明けの9月19日(火)に損保総研の講座で
講師を務める予定です。18:00から。

演題は「今だからこそ問われる保険会社のERM」。

今回は「ERMのガバナンス」「リスクアペタイト」
「ERMカルチャー」など、ソフト面に焦点を当てて
お話しする予定です。

会社のERMの取り組みを、自分とは直接関係ない、
本社の特定部門がやっている「他人事」の世界だと
(心の中で)考えている方にぜひ聞いていただきたい
と思います。

詳しくはこちらをご覧ください。

※電車2題。都電荒川線と箱根登山鉄道です。

 

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業界紙に登場

 

「保険毎日新聞」「週刊インシュアランス」という
2つの保険業界紙に相次いで登場しました。
少し長めにご紹介します。

保険毎日新聞(4月28日付)はインタビュー記事で、
金融庁が公表した「経済価値ベースの評価・監督手法
の検討に関するフィールドテストの結果について」への
感想や注目点などについて話しました。
保険毎日新聞のサイトへ

例えば次のようなコメントが載っています。

「今回の結果概要を読んでみて、『情報量が少ない』 というのが私の第一印象だった。(中略)前回までは金融庁独自の手法を使っていたが、今回は基本的にIAISの手法なので、計算方法の詳細な説明は不要という判断が考えられるほか、3回目のテストであり、対応状況や技術的な課題の把握よりも、規制導入に伴う定量的な影響をつかむことに力点が置かれたのかもしれない」

「情報量が少ないとはいえ、2016年3月末における経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR)と分母のリスク量(所要資本)の内訳、分子の自己資本(適格資本)の内訳と変動要因が、保険会社全体の数値として示されている」

「損保会社、生保会社の16年3月末のESRはそれぞれ194%と104%だった。この数値は、損保会社は適格資本が所要資本の約2倍、生保会社は経済価値ベースでみると資本とリスクがほぼ同じ水準であることを表している」

「もちろん、あくまで16年3月末の経済前提において、IAISや金融庁の示した評価手法に基づいて出た結果なので、数字が独り歩きするのはよくないと思うが、現在のようにイールドカーブが低位かつフラット化した状況下では、生保会社の健全性には全体として余裕がある状態ではないとわかる。このところ、ソルベンシーマージン比率が高いにもかかわらず、多くの保険会社が劣後債務などの資本調達を行っているのも理解できよう」

「経済価値ベースでのソルベンシー規制導入に向けたフィールドテストはこれで3回実施された。しかも大手だけでなく全社ベースでの取り組みだ。ここまでコストをかけ(業界負担を含む)、慎重に準備を進めてきた政策を、常識的に考えて、もはや導入しないという選択肢はないだろう。そろそろスケジュールを提示し、具体的に導入を進める段階にきているのではないか」

もう一つの「週刊インシュアランス」(5月4日 生保版)は
「保険に対する理解の低さ」という題で寄稿しました。
週刊インシュアランスのサイトへ

多少要約していますが、次のとおりです。

「自民党小委員会が発表した『こども保険』の資料に、『年金も、支給開始前にお亡くなりになると、給付は受けられない。また、医療や介護も、健康だと給付は受けられない。あくまで保険なので、完全に給付と負担が一致するわけではない』とあり、これを読んで、保険への理解が低いと感じた」

「保険は個々の加入者が必ず給付を受けるというものではないが、結果的に給付がなかった加入者が損をしたわけではなく、加入期間中はリスクが発現したら給付を受けられるというメリットを享受していた。このような理解が欠けていると、単純に『掛け捨ては損』という発想になり、『年金も』『医療や介護も』という説明をしなければならなくなるのだろう」

「長生きリスクに対する保険についても、『平均寿命で死ぬと契約者が損する保険』『保険というよりはサバイバル・ゲーム』という異論が出た。一般に老後の備えとしては『支払った保険料を取り戻せなければ損』という考えが支配的なのだろう」

「しかし、長生きリスクに対して貯蓄だけで備えるとなると、自分が何歳まで生きるかわからないので、多め多めにお金を貯めておく必要があり、多額の貯金を残して亡くなる結果となってしまう。そう考えると、いわば掛け捨ての保険で想定外に長生きするリスクに備えようという発想は合理的だ」

「『掛け捨ては損』『払い込んだ保険料よりも給付額が少ないと損』という考えが根強いのは、想像するに、生保が安定的な長期資金の担い手として、個人の資金を企業部門に供給する役割を期待されていた時代(当時は商品もほぼ横並びだった)の名残なのかもしれない」

ということで、今回は両編集部のご厚意もあり、
掲載記事のご紹介としました。
皆さま、よい連休をお過ごしください。

※パシフィコ横浜の下見(?)に行きました。
 こちらもよろしくお願いいします↓
RINGの会 オープンセミナー

 

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