金融庁の金融レポート

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まずは書籍のご案内から。
私の所属するキャピタスのメンバー3人(森本、松平、植村)で、「経済価値ベースの保険ERMの本質」(金融財政事情研究会)という書籍を出しました。
単に3人で分担して執筆するというのではなく、執筆の過程で改めてメンバーどうしで議論するなど、時間をかけて仕上げました。この分野に関心のあるかたは、ぜひご覧ください。

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さて、先週25日に金融庁が平成28事務年度の金融レポートを公表しましたので、こちらを取り上げましょう。

金融レポートは、金融庁による日本の金融市場・金融機関の現状分析や問題提起、そして、毎年公表する「金融行政方針」の進捗状況や実績等の評価を取りまとめたものです。
平成28事務年度っていつまでだっけ?という突っ込みはさておき、日銀の金融システムレポートとともに、日本の金融システムの現状を知るうえで有益ですし、何より金融庁の関心事項がよくわかります。

ただし、保険会社に関しては、あまり書かれていないというのが率直な印象でした。

このレポートの対となっている「平成28事務年度 金融行政方針」(以下「方針」とする)の記述と合わせて見てみましょう。
保険会社や保険募集人における顧客本位の取組みについては、

「商品販売時における顧客への適切な情報提供には課題が認められた【事例を提示】」「(一般代理店に対するインセンティブ報酬について)役務やサービスに照らした対価性に乏しく、『質』に問題があると考えられるものが認められ、また、金額水準(『量』)の高額化も進んでいる【事例を提示】」

など、実態把握の一端が示されています。こちらに関しては、「なるほど」「さすが」という感じです。

他方で、方針では「顧客利益につながる持続可能な収益構造や事業戦略の構築が求められている」と問題提起したうえで、「ビジネスモデルが、顧客のニーズに応えつつ持続可能なものとなっているか、実態把握を行う」としていました。

ところがレポートを見ると、

「将来的に国内生命保険市場の縮小が予想される中で、こうした収入保険料の量的拡大といったビジネスモデルは、全体としては中長期的には成立しない可能性がある」

と分析しているものの、その根拠が「今後も生産年齢人口が減り、保険料収入も減ると予想されるから」というだけでは、「環境変化が保険ビジネスへ与える影響について分析を更に進める」(方針から引用)にしてはあまりにマクロ的な分析すぎますし、

「生命保険会社においては、このような市場全体の動向に加え、IT技術の進展等による競争環境の大きな変化の可能性といった経営環境の変化にタイムリーに対応し、持続可能性のあるビジネスモデルの構築を進めていくことが課題となっている」

というまとめだけでは、金融庁がこの1年間、何をして、どのような実態を把握したのか全くわかりません
(生保の海外M&Aのフォローアップを行ったことは書かれていますが…)。

実は昨年のレポートでも、持続可能なビジネスモデルをテーマにモニタリングを実施(大手生損保を中心に総合的なヒアリングを実施したそうです)した結果、「環境変化に対応していくための共通の課題があることが窺われた」としたうえで、

「当面は、低金利環境の長期化等を見据え、各社の収益構造や事業戦略が、健全性の観点から長期にわたって持続可能なものとなっているか、実態把握を行っていく」
「国民経済の発展のための保険業のあり方や、今後予想される経済環境の中で、保険会社はどのような付加価値を生み出すことができるか等、より長期的な時間軸の中で幅広く検証をしていく」

などの宿題を自らに課しているのですが、1年後のレポートでは、他業態に比べても実態把握に関する記述やデータが極端に少ないのはどうしてなのでしょうか。

方針では、「自らが保険負債の質の改善を視野に入れつつ、リスク管理と一体となった資産運用の最適化」「環境変化に対応するリスク管理を伴った健全なリスクテイク」といった観点から保険会社と対話を行うとも示していました。

しかしこちらも、生保の有価証券構成比の推移を示した図表を掲載し、

「生命保険会社においては、自らの投資行動に応じた運用態勢の整備が引き続き課題となっており、このような活動を通じその資産運用能力の向上が期待される」
「自らの保険負債の質の改善にも留意しつつ、商品政策と一体となった適切なリスク管理の下、資産運用の高度化に取り組んでいくことが重要である」

と記述しているだけなので、やはり具体的な内容がほとんど紹介されていません
(というか、方針の記述とほとんど同じに見えます)。

昨事務年度はFSAP(IMFによる金融セクターの評価)があり、レポートの後ろのほう(118ページ)で「今後、これらの提言を国内金融行政の改善に活用していく」としているのですから、例えばFSAPを踏まえた記述があったらよかったのかもしれません。

ちなみに、保険行政に対するFSAPでの主な指摘事項として一番上に書いてあるのは、「金融庁は経済価値ベースのソルベンシー規制をできるだけ早く実行段階に進めるべき」というものでした。時間軸は「Near Term = 1 to 3 years」です。

※彦根でブラックスワンに会えました(ひこにゃんにも!)。

 

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OLISの50周年シンポジウム

 

今から50年前の1967年、アジア諸国における生命保険事業の発展を目的に設立されたアジア生命保険振興センター(OLIS)が創立50周年を迎え、東京で記念シンポジウムを開きました。
当日(10/25-26)は15か国・地域から約140人の関係者が集まったそうです。

過去にOLIS主催の内外セミナーや寄付講座で講師を務めたご縁もあり、私もスピーチをしました。演題は「日本の生保危機とその教訓」です。
かつての生保破綻の話もさることながら、その後、日本の生保業界や行政当局がどのように危機を乗り越え、新たな時代にふさわしい体制に向かっているのかを話しました。
どういうわけか、バングラデシュの参加者3名が質疑応答を独占することになりましたが、世界的な低金利のなかで保険会社の健全性の問題が他人事ではない国・地域もあるはずなので、何かの参考になればうれしいです。

パネルディスカッションのテーマは「高齢化」。日本が断トツの先進国かと思ったら、韓国や台湾は急激に高齢化が進むので、少し経つと日本に追いついてしまうのですね。
中国も一人っ子政策の影響で高齢化が進みます。パネルでの言及はありませんでしたが、中国の場合、社会保障制度が必ずしも十分に整備されていないようなので、日本の高齢化社会とはだいぶ違った社会の姿となりそうで、ちょっと怖いです。
インドネシアやベトナムのような若い国も、今のうちに社会保障制度をがんばって整備することが、日本の経験から得られる最大の教訓なのかもしれません。

 

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自治体との包括連携協定

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少し前になりますが、10/8の産経ニュース(おそらく北海道・東北版)に私のコメントが載ったようです。
明治安田生命が秋田県など4県(他は愛媛県、宮崎県、高知県)と包括連携協定を締結したという記事のなかで、「(大手生保による協定締結には)地域貢献に加え、地域密着型の営業戦略を支援する意味もありそう」とコメントしています。
産経ニュースのサイトへ

確かに、地方自治体と民間企業が包括連携協定を結ぶ事例が増えているようです。
保険会社では、記事となった明治安田生命のほかにも、例えば地元・神奈川県は、2015年1月に第一生命と包括協定を結び、県民の健康増進や県民サービスの向上を目指すとしていますし、横浜市は今月19日に損保ジャパン日本興亜と地域活性化に関する包括連携協定を結びました。

協定書を見ると、神奈川県と第一生命の協定では、「健康増進に関すること」「スポーツ振興に関すること」「中小企業支援に関すること」など9項目について「連携し、協力する」、横浜市と損保ジャパン日本興亜では、「地域の安全・安心・災害対策に関すること」「高齢者・障害者支援に関すること」「文化・芸術の振興に関すること」など8項目について「協力して実施するもの」とあります。
包括協定ということもあり、取組範囲が広い半面、ビジネスの一環としての協力というよりは、CSR(企業の社会的責任)としての活動が主眼となっているようです。

ただ、例えば自治体が保険会社とともに市民の健康増進に取り組むのであれば、企業のCSR活動に期待するという包括協定よりも、きちんと予算をつけ、事業として保険会社と連携したほうが成果が出やすいのではないかと思ったりもしますが、言い過ぎでしょうか?

※写真のような秋晴れが恋しいですね。

 

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オバマケアの見直し

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米国の医療保険制度(いわゆるオバマケア)では、個人に民間医療保険への加入を義務付けたうえで、一定の条件の下で政府が補助金を支給しています。
オバマケア撤廃に執念を燃やすトランプ大統領は、この補助金を打ち切ると発表したそうです。

1月のブログで書いたように、米国ではオバマケアの導入で無保険者の数は減ったものの、制度の担い手である民間保険会社の収益性が厳しくなり、最大手のユナイテッドヘルスをはじめ、この事業から撤退する保険会社が相次いでいます。
そのようななかでの補助金打ち切りは、保険料率の引き上げや給付対象の制限強化、さらには事業の担い手となる民間保険会社の消滅につながるかもしれません。

そもそも米国の民間が担う医療保障は、オバマケア以前から、日本の健康保険とは中身がかなり異なるようです。

香取照幸さんの著書「教養としての社会保障」では、アメリカで売られている民間医療保険のことを、「リスク細分化型・制限給付特約付き」だと表現しています。
所得階層・社会階層によって受けられる医療保障が天と地ほども違い、まともに機能する保険に入れる人はごくわずか。さらに、前述のように、頼みのオバマケアも大きく揺らいでいます。

日本の医療保険制度では、国民皆保険のもとで、保険証さえあれば誰でも医者にかかれますし、保険がカバーする範囲も広く、所得階層・社会階層が違っても受けられるサービスは平等です。
私たちはこれを当然のようにとらえていますが、米国では全く状況が異なるようです。

なお、公的な制度が優れているということは、民間保険会社の事業機会が限られるということでもありますが、日本に住む個々人としては、この制度ができるだけ続いたほうが幸せですよね
(医療従事者の長時間労働など解決すべき課題は多々ありそうですが)。

その意味では、このところ保険会社が前向きに取り組んでいる「健康増進促進」という流れは、個々人の健康寿命を改善するばかりでなく、医療保険制度の持続性を高めることにも貢献できると思います。

※写真は浜松城と遠州鉄道です。

 

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日本のインシュアテック

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直近のinswatch(2017.10.9)に寄稿しました。
私のブログにしてはやや長めですが、ご紹介します。

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日本のインシュアテック

インシュアテックをめぐるギャップ

新聞や雑誌などで「インシュアテック(保険分野のフィンテック)」として紹介される事例を見ると、新しい技術を使ってこれまでにない商品を作るとか、あるいは業務プロセスの効率化が進むとか、総じて既存プレイヤーが技術を活用するという話が中心となっているようです。最近発売された東洋経済の生保・損保特集号でもそう感じます。

他方、9月に東京で開かれたフィンテックサミットでインシュアテックのパネルディスカッションもいくつかあり、このうち一コマに参加したのですが、ディスカッションの主なテーマは「日本のインシュアテックはなぜ動きが遅いのか」でした。

こうしたギャップについて私なりに考えてみると、既存の保険会社(および、その動きを伝えるメディア)は、これまで成功してきたビジネスモデルを前提に、新しい技術を使うことで何ができるのかを考えているように見えますが、技術革新による影響はそのようなレベルの話にとどまらないということなのでしょう。

インシュアテックの破壊力

例えば、生保・損保特集の表紙に大きく載った「健康増進型保険」について、これが「健康増進活動による成果を保険料等に反映」というだけであれば、従来の新商品開発と本質的には変わりません(新しいニーズの発掘とは言えそうですが)。

しかし、健康データの蓄積が進むのと同時に、予防医療等が広く普及し、めったに病気にならないという世の中になれば、どうでしょうか。今の医療保険マーケットは相当縮むように思いますし、わざわざ保険をショップなどへ買いに行くようなことはなく、例えば健康食品を買ったり、ジムの会員になったりしたついでに保険にも入るという世界になり、このマーケットの主役は対面販売を主体とする保険流通ではなくなるかもしれません。

「金融育成庁」はどう動くのか

技術革新が進むなかで、顧客本位のサービスを今後も既存プレイヤーが提供し続ける世界が可能と考えるのであれば話は別ですが、もし、消費者が新技術の恩恵をフルに享受するには新しいプレイヤーが必要と考えるのであれば、商品認可をはじめ参入障壁となっているであろう各種制約を見直さないと、今後も「なぜ動きが遅いのか」という状態が続きそうです。

インシュアテックを研究している保険会社は、おそらくこうした破壊力をわかっているのだと思います。となると、やはり注目は「金融育成庁」を標榜する当局の姿勢ということになりますね。
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inswatchは保険流通業界向けのメールマガジンで、
私は2か月に1度のペースで寄稿しています。

※写真は大津の石山寺です。
 紫式部が源氏物語の着想を得たところだそうです。

 

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ナチスの手口と緊急事態条項

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「ナチスの手口と緊急事態条項」という本を出張中に読みました。
この本では、憲法学者の長谷部恭男さん、ドイツ近現代史が専門の石田勇治さんが対談を通じて、ヒトラーがどのようにしてワイマール憲法を無効化し、独裁体制を
築いていったのかを解き明かしています。

本書によると、立憲主義的な民主体制を壊さないように備えた仕掛けだったはずの大統領緊急措置権(=緊急事態条項)が、体制そのものを壊す道具として利用されたというのが歴史的事実のようです。

1930年頃のドイツでは、世界恐慌の影響で社会不安が高まるなか、政党間の対立が激しくなり、国会での合意を形成するのが難しくなっていきます。
そこで政府は規定にあった大統領緊急令に頼るようになります。国会は形骸化し、既存政党に対する国民の信認が低下する一方、ナチス(と共産党)が台頭することになりました。

「ヒトラーは民主主義で大衆に選ばれた」
「ヒトラーは合法的に独裁体制を樹立した」

というのも、しばしば耳にする言説ですが、これらもナチのプロパガンダ(情報宣伝)を引きずったもののようです。

本書はワイマール共和国の経験だけでなく、各国(ドイツ、フランス、米国)に現存している緊急事態条項の内容や設置の経緯なども紹介しています。
選挙の結果次第ではありますが、少なくとも公示前の時点では、なんと8割超が改憲に前向きな勢力となっていますので、本書で事実を確認しておくのは有意義かと思います。

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※化野念仏寺の近くに素敵な町並みがありました。

 

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通販型自動車保険20年

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通販型自動車保険が登場して20年という
産経新聞の記事にコメントが載りました。
記事のサイトへ

「(今後の市場動向について)ゆるやかに
 増加する傾向は今後も続くだろう。ただ、
 インシュアテックの技術が進めば、ビッグ
 データなどを活用し、個人に合わせた
 個別性の高いサービスや保険が生まれる
 ことも考えられる」

「(インシュアテックの進展とともに)通販型
 保険の市場は今後、大化けする可能性が
 ある」

というものです。

通販型自動車保険の象徴的な存在だった
アメリカンホーム保険は撤退したとはいえ、
8%弱のシェアということは、全体の25%を
企業向けとすると、個人向け自動車保険の
約1割が通販型ということになりますね。

コメント最後の「大化けする」という表現を
私は使っていないのですが、それはともかく、
例えば、シェアリングエコノミーの進展により
自動車が所有するものから利用するものに
変わっていった場合、保険は利用するつど
加入するのであれば、利用手続きとセットで
手当てするのが便利だと思います。

この例だけ見ても、インシュアテックというか
技術革新と、技術革新に伴う社会の変化が
従来の保険ビジネスを大きく変える可能性は
あると言えるでしょう。

また、9月29日の日経が取り上げた衆安保険
(中国のインシュアテック企業として知られる)
は、株主であるアリババのネット通販を通じ、
商品返送費用を補償する保険などを提供し、
急成長しています。

中国の、しかも自動車保険以外の動きでは
ありますが、こちらも興味深い事例です。

※地元・大倉山のお祭りでした。

 

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生保・損保特集号2017

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今年も週刊東洋経済の「生保・損保特集」に
寄稿させていただきました。

「保険会社による『適切なリスクテイク』とは」
というタイトルで、日本の保険会社の経営が
顧客本位の業務運営と適切なリスクテイクの
両立を求められていることを書きました。

さらに、大手生保によるリスクテイクの現状を
公表資料から探っています。
本当は4社合算ではなく、それぞれの会社の
分析を行うべきところですが、ご容赦ください。
それでも四半期ごとの推移を載せましたので、
見えてくるものもあると思います。

機会がありましたらぜひご覧ください。

今回の特集号では、アクチュアリーの野口さん
(チューリッヒ生命)が、来年4月の標準生命表
改定を受けた業界動向について解説していて、
興味深く拝読しました。

注目の第三分野(終身タイプ)については、

「標準利率引き下げに伴う保険料引き上げを
 見合わせた会社が多いため、今回は多くの
 会社で対応(引き上げ)せざるを得ないだろう」

という見方を示されています
(私も8/18のブログで近いことを書いています)。

野口さんいわく、各社ともに業界内における
自社のポジションを向上させる絶好の機会が
訪れることに間違いはない、とのことです。

3メガ損保グループの海外M&Aを分析した
「損保『海外戦略』に異変あり」という記事も、

・新たな買収を進めるも、既存の大型買収先の
 業績が必ずしも良好ではないMS&AD
・買収後、減益基調となっていた会社を売却し、
 新たな買収先を海外戦略の柱としたSOMPO
・買収後も利益成長を続ける東京海上
 (ただし人材面などで課題あり)

というように、3グループの海外事業の現状を
うまくまとめていました。

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※写真はべーリック・ホールという洋館で、
 横浜市の認定歴史的建造物です。

 

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西暦1000年の3大都市

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ライフネット生命創業者で、先日NHKで共演(?)
させていただいた出口治明さんの「歴史」講演を
聞く機会がありました。

そのなかで、西暦1000年の3大都市はどこか
(人口面で)という話があり、目からウロコでした。

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「開封」「コルドバ」「コンスタンティノープル」が
その答えです。

開封は中国(北宋)の首都です。
黄河と大運河の交わる商業都市として栄え、
数十万人の人口を擁していたそうです。
北宋には弱々しいイメージがありますが、
経済的に相当発展した時代だったようです。

コルドバは今ではスペインの地方都市ですが、
当時はイスラム王朝(後ウマイヤ朝)の勢力下。
国際都市として繁栄していました。
ムスリムだけでなく、多くのキリスト教徒や
ユダヤ教徒が暮らしていたとか。

コンスタンティノープル(今のイスタンブール)
というのも、高校世界史の知識からすると
意外に感じるかもしれません。

ビザンティン帝国(東ローマ帝国)というと
6世紀のユスティニアヌス帝の時代をピークに
衰退していったというイメージがあります。
しかし、8世紀あたりから勢力を盛り返し、
西暦1000年頃のコンスタンティノープルは
繁栄の頂点を迎えていたそうです。

私たちはどうしてもヨーロッパ中心史観の
影響を受けているので、こうして正しい知識や
歴史の大局的な流れを聴くのはいいですね。

出口さんの講演にはありませんでしたが、
(出口さんはあえて言及しなかったのかも)
現在の3大都市はどこだかわかりますか?

「東京(圏)」「デリー」「上海」だそうです。
欧米勢でベスト10入りはニューヨークだけ
というのも興味深いです
(西暦1900年はほぼ欧米勢だけでした)。

※写真は横浜の洋館です。

 

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自然災害による支払保険金

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台風18号は九州・沖縄から北海道まで
広い地域で被害をもたらした模様です。
以前に比べ、北海道でも台風の被害が
目立つように思います。

この機会に日本および世界の自然災害による
保険金支払いの上位を確認してみましょう。

日本損害保険協会の調査によると、
日本の上位は次のとおりです。

1.東日本大震災(2011/3)  1兆3113億円
2.平成3年台風19号(1991/9)  5680億円
3.平成16年台風18号(2004/9) 3874億円
4.平成28年熊本地震(2016/4) 3753億円
5.平成26年2月雪害(2014/2)  3224億円

世界の上位は、スイス再保険が毎年刊行する
SIGMA」のデータを見てみましょう
(1970年以降。金額は2016年価格に換算)。

1.ハリケーン・カトリーナ(2005/8、米国)
  807億米ドル
2.東日本大震災(2011/3、日本)
  373億米ドル
3.ハリケーン・サンディ(2012/10、米国など)
  301億米ドル
4.ハリケーン・アンドリュー(1992/8、米国など)
  274億米ドル
5.同時多発テロ(2011/9、米国) 255億米ドル

東日本大震災の支払額が損保協会のデータより
大きいですが、損保協会のデータは家計向けの
地震保険が対象なので、企業向け地震保険や
JA共済の支払額(JA共済は9361億円の支払)
などを含めると、このような数値になるのでしょう。

ちなみにSIGMA調査では、1991年の台風19号は
100億米ドルとなっていて、損保協会との違いは、
JA共済の1488億円とインフレ調整で概ね説明
できそうです。

SIGMA調査の10位は2011年タイの洪水です。
160億米ドルのかなりの部分を日本の保険会社が
支払ったと見られますので、日本の支払額2位は
実質的にはこちらになりそうです。

8月末に米国に上陸したハリケーン・ハービーの
支払見込額は、AIR Worldwideで100億米ドル超、
RMSで250~350億米ドルだそうです。
最近のイルマのほうは、AIRで320~500億米ドル
とのことなので(RMSは未公表)、2つ合わせると
かなり大きな金額となりそうです。

※写真は父が趣味で描いている絵です。

 

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