再びベトナムの話で恐縮です。
ハノイから羽田への帰国便に乗ったら、フライトはANAだったのに、周りがベトナム人ばかりで驚きました。満席に近いエコノミークラスのお客の大半がベトナム人だったのです。
私の隣に座った女性は新宿の日本語学校に通うとのことで、食糧でも入っているのか、かなり重たい荷物を持っていました(棚に入れるのを手伝ったら、ズシッときました)。前の席の3人組は観光旅行らしく、「渋谷のどこどこに行きたい」なんて話をしていたようです(たぶん)。
在留ベトナム人が急増
それにしても、日本のキャリアでここまで日本人が少ない便に乗ったのは初めてでした。ちょっと気になったので、帰国後に関係ありそうなデータを探してみました。
法務省が3月2日に公表した外国人入国者数(確定値)によると、2017年に日本に入国したベトナム人は32万人で、前年より31%も増えたそうです(入国者全体では同18%増)。日本を訪れる外国人が5年前の3倍に増えているなかで、ベトナムからの入国者は5倍にもなりました。
これだけ増えれば日本へ向かう便がベトナム人ばかりとなっても不思議はありません。
ただし統計を見ると、中国をはじめ他国の場合には、入国者の9割以上が観光などの短期滞在者なのに対し、ベトナムの場合、短期滞在目的は入国者の57%にすぎないこともわかりました。
そこで、次に3月27日公表の在留外国人数の推移を見てみると、ベトナム出身の在留者が急激に増えたのはこの5年間のことでした。いまやベトナム人在留者(26万人)はフィリピンやブラジルよりも多く、中国(73万人)、韓国(45万人)とともにトップ3の地位を占めています。
地方の人手不足を埋め合わせ
在留資格別の統計を見ると、ここにも際立った特徴がありました。ベトナムからの在留者は「技能実習」「留学」の割合が75%(在留外国人全体では32%)を占めています。しかも「技能実習」は前年の4割も増えました。
つまり、多少の想像を交えて言うと、日本を訪れるベトナム人が急激に増えているのは、観光もさることながら、いわゆる「出稼ぎ」が多いとうかがえます。もしかしたら「留学」も、主目的はアルバイトで稼ぐことなのかもしれません。
さらに統計を見ると、外国人在留者の多くが大都市圏に集中する一方、「技能実習」の外国人(ベトナム人が5割弱を占める)はむしろ地方に多いので、地方の人手不足を来日したベトナム人で埋めている構図が浮かんできます。
私の乗った帰国便がベトナム人ばかりだったのは偶然かもしれません。しかし、最近も「技能実習生として来日したベトナム人が福島県で除染作業に従事」というニュースもあったことですし、日本とベトナムの関係を改めて考えるきっかけになりました。