17.教育関連

RIS2024全国大会

早いもので今年もRIS(全国学生保険学ゼミナール)の全国大会が近づいてきました。
今年のRIS2024の会場は日本大学商学部のある東京・世田谷区の砧キャンパスです。昨年は福岡大学での開催だったので、皆さんをお迎えする準備だけすればよかったのですが、今年は自分の学生を引率しなければなりません(といっても現地集合ですが)。
おそらく新宿で小田急線に乗り換える学生が多いはずなので、念のため下見に行ったところ、写真のとおり大工事をしていて、私も迷ってしまいました。
まあ、そうは言ってもスマホがあれば、何とかたどり着けるでしょう。

大会要綱によると、今年のRIS2024には13大学15ゼミが参加し、12月7日(土)午後から8日(日)にかけて、2日間にわたり報告を行う予定です。
昨年もお伝えしたとおり、RISの大会は大学生と教員だけで閉じられたものではありません。毎年多くの実務家にご参加いただき、報告への質問・コメントをいただいています。土曜日の夕方には懇親会もありますので、リスクと保険を学ぶいまの大学生に触れる貴重な機会となるかもしれません。
現在、大会参加の申し込みを受け付けていますので、ご興味のあるかたはぜひご参加いただければ幸いです。詳しくは大会要綱の7ページをご覧ください。

肝心の報告内容ですが、植村ゼミは3班とも本番直前の今になっても、データ収集や分析、考察に取り組んでいるという状況でして、時間との戦いとなっています(討論ゼミの皆さまにはご迷惑をおかけしてすみません)。

自分の指導力のなさを棚に上げたうえで、今年に限らず、そもそも課題を見つけるのが苦手な学生が多いように思います。さすがに大学生なので「少子高齢化」「AI」「SDGs」「地域活性化」といった今どき?の知識はあるものの、あくまでも学校などで学んだ知識(というか用語)であって、知識が体系的に身についていないというか、頭の中でうまく整理されていないのですね。だから、いろいろとヒントを出しても引き出しから何も出てきません。
これは推薦入試の面接試験でも感じることでして、今の高校では「総合的な探求の時間」など社会課題を見つけ、解決策を探るといったこともやっていて、自分たちが何をしたかを説明することはできます。しかし、その説明に関して何か質問すると、途端に回答に詰まってしまう生徒が目立ちます。知識量の問題ではなく、それぞれの知識がつながっていない、あるいはつなげて考える習慣がないということなのでしょうか。

大学の教員ができることは限られているとはいえ、RISの活動を通じて少しでも彼らが成長してくれればいいですね。

※新宿西口です!

 

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アンケート調査

毎年11月下旬から12月上旬にかけて、卒業論文チェックにRISの全国大会や学内プレゼン大会が重なり、学生の文章や報告資料の確認に追われる日々が続きます。
卒業論文に関しては、私は今のところ「リスク」「保険」に少しでも関係するテーマであれば何を選んでもいいという方針にしています。その結果、今年の4年生も「ネット保険」「バイク保険」「地震保険」といった保険をテーマにした学生もいれば、「性格診断」「駅メロ」「アイドルグループ」といったテーマを選ぶ学生もいて、私もにわか勉強しています。

論文を書くにはテーマ(=問いを立てる)のほか、根拠となるデータを集める必要があります。学生に任せっきりだと、ネットで適当な資料を探してきて「はい完成!」ということになってしまいがちなので、文献調査に加え、「アンケート調査」「インタビュー調査」「観察」などにより、できるだけ自分でオリジナルのデータを集めるように求めてきました。

このうち、曲者なのがアンケート調査です。
20世紀の大学生にとって、アンケート調査を行うのは大変なことでした。それは、アンケートの協力者を探すのが大変だったからです。ところが今はネット時代なので、アンケート調査のハードルがものすごく低くなりました。Formsで質問票を作り、インスタなどのSNSでURLを拡散すれば、50件くらいの回答ならあっという間に集まります。
しかし、そうして集めたデータが研究の役に立つかどうかは別の話。多くの場合、極端に言えば「ゴミデータ」であることが多いのです。例えば、あおり運転について大学生にアンケートをしても、首都圏の学生と福岡の学生では自動車の運転頻度が違うので、福岡大学の学生が知り合い中心にアンケート調査を行った結果にはおそらく偏りがあります。それを理解したうえでアンケートを行うのであればいいのですが、こちらが油断すると、回答者の属性を聞いていないアンケートを実施してしまい、誰に聞いたのかよくわからないデータが集まってきてしまいます。

集めたデータの分析にも課題があります。もちろん、ごく基礎的なデータ分析の方法を教えてはいるのですが、(私の指導力の低さを棚に上げると)スマホ時代の大学生にとって、パソコン(PC)を使ってエクセルシートを分析するというのはハードルが高いようなのですね。
そもそもこちらが指示しなければ、文献調査もスマホだけで行おうとする世代ですから、私たちの世代よりもPCになじみがありません。時間の制約もあって、せっかく集めたデータのごく一部(ぱっと見てわかること)だけしか活用せずに終わってしまうことも多いようです。

ちなみに、今年の4年生の卒論では、3名がアンケート調査を行い、3名がインタビュー調査、1名が観察、1名が実験によってオリジナルデータを集めていました。

※帝国ホテルのクリスマスツリー(?)です

 

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RIS2023全国大会を開催しました

11月13日のブログでご案内したRIS(全国学生保険学ゼミナール)2023の全国大会を12月2日、3日に福岡大学で開催しました。

当日はリスクと保険を学ぶ12大学14ゼミナール、200名を超える大学生が福岡大学に集結し、これまでの研究成果を報告しました。今年は4年ぶりに懇親会を行うことができたので、植村ゼミのシャイな学生たち(?)も他大学との交流を楽しめたようです。

RISの特徴の1つは保険業界を中心に、毎年多くの実務家が参加して、報告への質問・コメントをいただいていることです。当日は福岡開催にもかかわらず、30名以上の実務家の皆さんにご参加いただきました。ありがとうございました。

さて、備忘録として、当日の運営について少しだけ記録しておきます。
今回は現地幹事として「できるだけ簡素に」「リアルな交流を重視」というコンセプトのもとに準備を行いましたが、実のところ250名もの規模の会合を仕切るのは初めての経験でしたので、やってみて初めて分かったことも多々ありました。

まず、予想していたよりも参加者の移動に時間がかかりました(懇親会会場への移動など)。これは人数の多さだけではなく、荷物が多かったためです。遠方からの参加者が多く、しかも真冬の寒さだったため、大きな荷物とかさばるコートを抱えての移動となり、どうしても時間がかかってしまったのですね。
もちろん報告会場でも懇親会でも荷物スペースを確保していたのですが、報告会場では2階まで階段で上がっていただくことになり、懇親会では荷物スペースへの通路が狭くて、いずれも大変だったと思います。

RISは外部の業者さんを使わず、教員の手弁当で運営しています。そのため、今回は私なりにいろいろと考えたうえで、対面参加のみとさせていただきました。「リアルな交流を重視」というコンセプトに沿ったと言えばその通りなのですが、同時に複数の会場で報告を行うので、対面・オンライン併用は物理的に難しいと判断したためでもあります。
その結果、各教室にPC対応者を張り付けなくても運営できるはずだった(マイク係は配置しました)のですが、準備段階では大丈夫だったスライド投影がうまくいかなくなったり、マイクが突然切れたりして、その度に報告者の皆さんや座長の先生に自ら対応していただくことになってしまいました(そこに私がいれば対応しましたが、分身はできませんので)。
オンライン対応がなくてもPC担当のゼミ生を張り付ける、そのためには事前にゼミ生に機器の使い方を教える、程度の労力はかけるべきだったかもしれません。

当日は25の報告がありました。例年と同じく1報告あたり1時間(討論・質疑応答を含む)としたため、同時に最大4報告を行う時間帯もありました。毎年、特に実務家の皆さんから「同時に複数の報告があって残念」という声を耳にしていたので、個人的には検討してみたのですが、例えば1報告あたりの時間を40分にすると、同時に2または3報告にはできるものの、RISのよさである討論・質疑応答を犠牲にすることとなり、なかなか悩ましいです。

うっかりしていたのが「ゴミ問題」です。250名もの参加者がいて、しかも土日は学食や周囲の飲食店が休みなので、昼食を各自で持参するようにお願いしていました。こちらでお弁当を用意するとなると、人数確認や運搬などかなりの作業となり、「できるだけ簡素に」というコンセプトから外れてしまうためです。
それにもかかわらず、持参した昼食を250名の参加者が一斉にとると、ゴミが大量に出ることをすっかり忘れていました。福岡大学では土日の清掃はないので、何もしないとゴミ箱があふれてしまいます。
そう気がついたのが日曜日の朝で、代表幹事の根本先生に「どうしましょう!」と相談したところ、先生は全く動じることなく、「ゴミ箱にはたいてい予備の袋が入ってますよ」と、実際にゴミ箱を開け、予備の袋を見つけてくれました。あとはゴミ箱の分散利用を呼び掛けたうえで、いくつかのゴミ箱の袋を入れ替えることで問題は解決しました(「手伝います」と声をかけてくれた学生たちもいて、これはうれしかったですね)。

ということで、現地幹事としての大会運営は私にもいい経験になりました。ご協力いただいた全てのかたに御礼申し上げます。

※いかにも手弁当という感じですね(笑)

 

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リスクと保険を学ぶ大学生の全国大会を開催

今週の保険代理店向けメールマガジンInswatch Vol.1208(2023.11.13)に寄稿したものを当ブログでもご紹介します。今回は12月のRIS2023についてです。
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今年は福岡大学で開催

久しぶりに大学関係の話を書かせていただきます。

来月12月2日(土)の午後から3日(日)にかけて、全国12の大学の「リスクと保険」を学ぶ大学生が福岡大学に集まり、日ごろの研究成果を報告するという大会(RIS2023)を開催します。
RISは全国学生保険学ゼミナールの通称で、2004年度から始まり、今回は20回目の大会となります。参加しているのは保険論関係のゼミナールが中心ですが、報告テーマは幅広く、保険やリスクマネジメントのほか、金融、ファイナンス、社会保障、経営戦略までカバーしています。ご参考までに、昨年度は下記のような報告がありました(全25報告の一部です)。

「食品ロスのリスク」
「男性の育児休業の関する考察」
「自動運転化社会の将来展望-コミュニティバスの自動運転化へ」
「テレワークに関するリスクマネジメント」
「環境規制というリスクが産業に与える影響」
「日本の生命保険会社が中国事業を継続する要因」

ちなみに昨年度の植村ゼミの報告は「地震保険の加入動向」「コロナで苦しむ学生向けの保険」の2つでした。今年度は3つの班があおり運転や対面販売、物流問題について報告を行う予定です。

実務家の参加も多い

こうした大学の枠を超えたゼミナール活動の背景には、少子化が進むなかでの将来の保険研究・教育の衰退に対する危機感があります。
日本人にとって保険は身近な存在ですし、昨年度のコロナ保険の給付金、今年度のBM社による保険金不正請求事件など、保険に関する出来事は大きなニュースとして扱われることが多いと感じます。さらに言えば、保険会社(特に大手)は大学生にとって人気の就職先となっています。ところが大学では、保険関連の講座は縮小傾向にあり、この分野に関心を持つ若い世代を育てるのが徐々に難しくなりつつあるのです。
そこで、何かの縁があってリスクと保険を学ぶことになった大学生に向けて、RISは大学の枠を超えて切磋琢磨できる機会を用意し、大きな舞台で報告や交流を行うことを通じて彼らの成長を促そうとしています。それは保険業界の将来にとっても有益な取り組みではないかと自負しています。

RISの大会は大学生と教員だけで閉じられたものではありません。毎年多くの実務家にご参加いただき、報告への質問・コメントをいただいています。今回は福岡での開催(オンライン参加はありません)ですが、土曜日の夕方には懇親会もありますので、リスクと保険を学ぶいまの大学生に触れる貴重な機会となるかもしれません。
現在、RISのサイトから大会参加の申し込みを受け付けていますので、ご興味のあるかたはぜひご参加いただければ幸いです。
RISのサイトへ

リアルな交流を重視

今回のRIS2023は、福岡という首都圏や関西圏から遠く離れた開催地にもかかわらず、対面参加のみとしました。それには対面・オンライン併用が物理的に難しい(同時に最大4教室で報告がある!)というだけではなく、大学生にリアルな緊張感や交流を体験してもらうためです。

コロナ禍で私たちはzoomをはじめ、オンラインミーティングの便利さを知りました。私自身も、福岡にいながらにして保険会社の本社スタッフへのインタビューができたり、大学の研究室からテレビに出演したりと、多くの恩恵を受けています。
その一方で、私たちは対面のありがたさや、対面でなければ難しいことがあるのにも改めて気付きました。オンラインミーティングは効率的な半面、対面よりも情報が少ないというか、どこか平坦なやり取りになってしまいます。新たに人間関係を構築するのは至難の業ですし、会話のなかで気付きを得られる機会が少ないように思います。
特に若い世代にとって、RISは同年代との交流だけではなく、皆さまのような社会人とリアルに話ができる貴重な機会です。そこで今回は利便性よりも対面参加のメリットを優先させていただきました。
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※福岡も一気に冬の寒さとなりました。

 

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