アンケート調査

毎年11月下旬から12月上旬にかけて、卒業論文チェックにRISの全国大会や学内プレゼン大会が重なり、学生の文章や報告資料の確認に追われる日々が続きます。
卒業論文に関しては、私は今のところ「リスク」「保険」に少しでも関係するテーマであれば何を選んでもいいという方針にしています。その結果、今年の4年生も「ネット保険」「バイク保険」「地震保険」といった保険をテーマにした学生もいれば、「性格診断」「駅メロ」「アイドルグループ」といったテーマを選ぶ学生もいて、私もにわか勉強しています。

論文を書くにはテーマ(=問いを立てる)のほか、根拠となるデータを集める必要があります。学生に任せっきりだと、ネットで適当な資料を探してきて「はい完成!」ということになってしまいがちなので、文献調査に加え、「アンケート調査」「インタビュー調査」「観察」などにより、できるだけ自分でオリジナルのデータを集めるように求めてきました。

このうち、曲者なのがアンケート調査です。
20世紀の大学生にとって、アンケート調査を行うのは大変なことでした。それは、アンケートの協力者を探すのが大変だったからです。ところが今はネット時代なので、アンケート調査のハードルがものすごく低くなりました。Formsで質問票を作り、インスタなどのSNSでURLを拡散すれば、50件くらいの回答ならあっという間に集まります。
しかし、そうして集めたデータが研究の役に立つかどうかは別の話。多くの場合、極端に言えば「ゴミデータ」であることが多いのです。例えば、あおり運転について大学生にアンケートをしても、首都圏の学生と福岡の学生では自動車の運転頻度が違うので、福岡大学の学生が知り合い中心にアンケート調査を行った結果にはおそらく偏りがあります。それを理解したうえでアンケートを行うのであればいいのですが、こちらが油断すると、回答者の属性を聞いていないアンケートを実施してしまい、誰に聞いたのかよくわからないデータが集まってきてしまいます。

集めたデータの分析にも課題があります。もちろん、ごく基礎的なデータ分析の方法を教えてはいるのですが、(私の指導力の低さを棚に上げると)スマホ時代の大学生にとって、パソコン(PC)を使ってエクセルシートを分析するというのはハードルが高いようなのですね。
そもそもこちらが指示しなければ、文献調査もスマホだけで行おうとする世代ですから、私たちの世代よりもPCになじみがありません。時間の制約もあって、せっかく集めたデータのごく一部(ぱっと見てわかること)だけしか活用せずに終わってしまうことも多いようです。

ちなみに、今年の4年生の卒論では、3名がアンケート調査を行い、3名がインタビュー調査、1名が観察、1名が実験によってオリジナルデータを集めていました。

※帝国ホテルのクリスマスツリー(?)です

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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