3メガ損保に続き、こんどは主要生保の決算について。
今回は「保険料等収入の減少」「逆ざや解消」のほか、
個人契約者への配当に注目が集まりました。
「大手増配、1000万人対象」(日経)
「大手生保 好業績で増配相次ぐ」(NHK)
とはいえ、主要生保9社の基礎利益が約2兆円で、
前期に比べて2000億円増えたのに対し、
個人契約者への配当は多くみても合計1000億円程度。
増配分はせいぜい数十億円です。
報道の大きさの割に、実額は限られていることがわかります。
その一方で、各社が内部留保にまわした金額は、
追加責任準備金を含めると1兆円を超えています。
このような動きをどう見るか。
一つは基礎利益が示すほど、生保経営は改善していない
(少なくとも当事者である生保の経営者はそう考えている)
ということかと思います。
例えば、日本生命の児島一裕常務執行役員は、
「金利水準が一定程度上昇することが確認できるまで
増配の判断は難しいと考えている」
とコメントしています。
平均予定利率は徐々に下がってきたとはいえ、
過去の高利率契約は依然残っています。
基礎利益の増加を支えているのは利息配当金収入
(外貨建資産の増加などが主因)であり、
保険関係ではありません。
むしろ危険差益・費差益は減少気味です。
また、控えめな配当還元と内部留保の強化を踏まえると、
自分たちが確保したいと考える健全性にはまだ至っていない
ということがうかがえます。
「規制強化が予想されるから」という理由ばかりではなく、
そもそも生保の2大リスクである「株式」「金利」などに対し、
自社が考える十分な健全性を確保できていないのでしょう。
もっとも、第一生命やT&Dのように、リスクと資本の関係を
公表してくれなければ、本当のところはわかりません。
「貯めこんでいないで契約者に還元しろ」と批判される前に、
非上場会社も何らかの手掛かりを示したほうがいいのではないでしょうか。
※昨年9月に収穫したブドウでできたワインで乾杯しました!
千曲川ワインバレーの記事へ