こんな公表がありました

 

今回はいろいろ気になる公表等があったので、そのご紹介です。
それぞれコメントしたいところですが、諸般の事情によりご容赦下さい。

1・経済価値ベースのソルベンシー基準についての検討体制強化について
  (日本アクチュアリー会)
 日本アクチュアリー会のHPへ

HPによると、より専門性の高い課題を集中的に検討するために、
4つの特別課題WGを新設しています。
また、金融庁との連携による定期的な検討会である
「ソルベンシー・ジョイント・スタディ・グループ」についての記述もあります。

2.「金融検査結果事例集」の公表等について(金融庁)
 金融庁のHPへ

毎年このような事例集が公表されているようです。
本編のP113からが保険会社です。

3.委託調査に係る報告書の公表について(金融庁)
 金融庁のHPへ

保険関連では「主要国の保険制度に関する調査」があります
(すみません、まだ目を通していません)。

4.東日本大震災に係る地震保険金が総額1兆円超に
  (日本損害保険協会)
 損保協会のHPへ

6/21についに1兆円に達しました。
阪神大震災では783億円であり、その後の普及率上昇を踏まえても、
あらためて今回の震災による影響がいかに大きかったのかがわかります。

5.なぜ今「ぶつからない」クルマが増えているのか(日経)
 日経新聞のHPへ

ネットで見つけた気になる特集記事です。
損害率上昇に悩む損保にとって朗報なのでしょうか。
それとも保険が要らなくなるという話なのでしょうか。

写真の列車(フランスで乗りました)も実は気になる存在でして、
パンタグラフがあるのに架線がないところを走るので変だなあと思い、
あとで調べてみたら、2007年に登場した「ハイブリッド列車」でした。
電化区間は電車、非電化区間はディーゼルカーとして走るのだそうです。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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自然災害リスクのモデル

 

3月23日のブログで自然災害リスク分析会社の評価モデルが
ある種の「共通言語」のような存在になっていると書きました。

このうちの1社であるRMSが最近、米国ハリケーンのモデルを
大幅に見直したことが、再保険市場に影響を与えている模様です。

6月2日のWSJによると、RMSのモデル見直しの結果、
100年に1度の確率で発生するハリケーンによる
テキサスでの予想損失が、従来の2倍になったそうです。
他の地域でも予想損失見込額の大幅増加がみられるとか。

モデルによる当初の予測が実際の結果と大きく異なることも
しばしばあるようですし、「共通言語」のようになっている
3社のモデルでも、まだまだ発展途上と言うべきなのでしょう。

ただ、マーケットで「共通言語」として使われていると、
今回のようにモデルの大幅見直しが行われた場合には、
かなり混乱が生じることは想像に難くありません。

さりとて他に頼るものもなく、モデルの限界を踏まえたうえで
再保険取引やリスク管理を行っていくしかないのでしょうね。

※写真左はミュンヘン、右はチューリヒのトラムです。

 

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海外旅行傷害保険

 

6月7日のブログでスーツケースの破損について書いたところ、
知り合いの保険代理店の皆さんから、
「海外旅行傷害保険に入っていれば、保険が使えるかも」
というアドバイスをいただきました。

さっそく手続きしてみたところ、電話と書類提出だけで
保険金を受け取ることができました。

事故発生が6月5日、事故の相談をしたのが15日、
書類を送ったのが20日、そして保険金の支払いが24日でした。
予想外に対応が早くて、うれしかったですね。

私が普段使っているクレジットカードには保険サービスがあり、
海外旅行傷害保険に加入しているという認識はありました。

ただ、携行品損害、つまり、身の回り品が偶然な事故により
盗まれたり壊れたりした場合の補償までは、
皆さんにご指摘されるまで全く気がつきませんでした。
そういうユーザーは多いのではないでしょうか。

「電話と書類提出だけで」とさらっと書きましたが、
実は電話がなかなかつながらず、これには参りました。

まずカード会社(=保険代理店)に電話しろとあるので
さんざん待たされた挙句、やっとつながったと思ったら、
「保険会社に直接連絡して下さい」という案内です。

少々イラっとしながら教えられた保険会社の番号にかけると
やはりつながりません。しかも、やっと出てきた相手は、
「こちらから電話するのでお待ちいただけますか」とのこと。
30分後か1時間後かわからないと言われてしまいました。

しかし、さすがに職場でいつかかってくるかわからない
電話を待ち、保険金の請求をするわけにもいきません。
夜なら比較的すいている、夜中でもOKとの情報を聞き出し、
ようやくその日の夜にこちらの状況を伝えることができました。

保険金の請求って、結構大変なものなのですね。
勉強になりました。
海外旅行保険の比較サイトとか見てもなかなかわかりえない事ですね。

ちなみに携行品損害保険金は買い替え費用ではなく、
壊れたスーツケースの時価(=償却後の価格)から
免責金額3000円を引いた金額が支払われました。
新しいスーツケースの半額くらいにはなったので、助かりました。

※写真はフランス・プロヴァンの商店街で見つけた保険代理店です。

 

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IFRS適用時期の見直し

 

自見庄三郎金融相は21日の記者会見で、
国際会計基準(IFRS)の強制適用時期について、

「少なくとも 2015 年 3 月期についての強制適用は
 考えていない」
「仮に強制適用する場合であっても、その決定から
  5-7 年程度の十分な準備期間の設定を行う」

と発表しました。 金融庁HPへ

2010年以降の国内外の様々な変化、とりわけ、
東日本大震災の発生と、産業界からの要望などが
大きかったと報じられています。

ただ、国内事情もさることながら、個人的には他国の状況、
特に米国の姿勢が全面採用から後退していることが
大きいように感じます。

会計でも保険規制でも、「国際化」を進めようとする欧州と、
自国ルール重視の米国、という構図が鮮明です。
金融危機の発生から3年がたち、ここにきて米国は
一段とその姿勢を強めているように見えます。

日本は欧州と米国の間にいて、見方によっては
いいポジションと言えるのかもしれません。
IFRS財団初のサテライトオフィスが北京でなく
東京に置かれることになったのも、このような状況が
影響しているのでしょう。

しかし、中国やインドの台頭もあり、単なる先送りは
かえって日本の立場を弱くするだけになってしまいます。
会計基準統一の方向性自体が変わらないのだとしたら、
やるべきことは「いかに発言力を高めるか」ではないでしょうか。

※写真はスイス・チューリヒです。

 

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最近の「ファンド情報」

 

「ファンド情報」は金融窓販と運用商品の専門誌です。
格付会社R&Iが出しているものですが、
格付けとは全く関係がありません。

最近この「ファンド情報」で保険関連の記事が目立ちます。
読者である金融機関のリテール担当者の関心が、
変わってきているのかもしれません。

例えば6月13日号は、巻頭スペシャルとして
「『保険のプロ』が変える販売現場」が5ページ、
新たにスタートした「窓販保険商品の比較講座」が4ページ。
記事は全部で19ページなので、保険だけで半分近くを占めています。

スペシャルには、第一フロンティア生命の名物ホールセラー、
東京スター銀行に派遣されたライフプラザホールディングス
(LPH、来店型保険ショップを展開)のコンサルタント、
保険を軸に顧客ニーズをつかみ、投信の運用を助言する
独立系ファイナンシャルアドバイザーが登場していました。

3者の共通点は、保険や投信の売れ筋商品に頼らず、
成果を上げていることです。

売れ筋だった毎月分配型投信(グロソブなど)が苦戦し、
変額年金保険の急成長もリーマンショックで過去のものとなり、
売れ筋商品に頼る限界が明らかになっています。

そのなかで、紹介されているような動きが広がっていけば、
金融窓販はかなり違ったものとなるかもしれません。

※写真はフランス北東部の町プロヴァンです。
 中世(12、13世紀)には商業都市として栄えたそうです。
 パリから電車で1時間ほどのところにあります。

 

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スイスの存在感

 

ヨーロッパ大陸のなかで、スイスはユニークな存在です。

九州と同じくらいの面積にもかかわらず、
ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の
4つの国語があり、地域によって言語圏が分かれています。

全てのスイス人が4つの国語を話せるわけではありません。
言葉が通じないときは、英語で会話することが多いとか。

宗教もカトリックが42%、プロテスタントが35%です。
宗教改革の立役者の一人であるツヴィングリの地元だから、
もっとプロテスタントが多いのかと思っていました。

スイスが永世中立国というのも有名ですね。
ヨーロッパの中心にありながらEUに加盟せず、
通貨はユーロではなくスイスフランです。

ただし、国際連合には2002年に加盟しています。
ヨーロッパが統合し、経済がグローバル化するなかで、
小国スイスがどのように存在感を発揮していくのか。
今は歴史的な転換期にいるのかもしれません。

最後に少しだけ保険の話を。

スイスはEUではないので、ソルベンシーⅡの対象ではありません。
独自に「スイス・ソルベンシー・テスト」という最先端の規制を導入し、
「経済価値ベース」「内部モデルの活用」をすでに実現しています。

このあたりも、EUより先に進み、存在感を発揮しようという
意識の表れなのかもしれません。

 

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日本への関心

 

海外では大震災の発生以降、日本への同情もあり、
日本への関心が高まっていると言われていますが、
実際のところはどうなのでしょうか?

出張中に話をした相手は保険関係者が中心です。
ヨーロッパ各国だけではなく、米国やカナダ、シンガポール、
マレーシアなど、いろいろな地域から来た皆さんと
話をする機会がありました。

そのなかで、「地震は大丈夫だった?」と聞いてきたのは
シンガポール、マレーシアのアジア勢だけ。
彼らは本当に心配してくれていました。

一方、欧州勢の関心は原発問題に集中していたようです。
特に多かった話題は、

「フクシマをきっかけに、ドイツ、スイスと原発停止に動いている」

というもの。日本への関心もさることながら、
むしろこれは自分たちの話でしょうか。

こちらが提供した話題のなかで盛り上がったのは
6月からの「スーパークールビズ」の話でした。

「テレビで観たけど、アロハシャツと短パンはクールじゃないね」

といったコメントもいただきました^^

あと、日本の食べ物については皆さん関心が非常に高いようです。
日本食はこの10年ですっかりグローバル化した感があります。

 

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スイスの首都は?

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チューリヒでもジュネーブでもなく、ベルンです。
でも、首都というには非常に小さな町でした。

旧市街はU字型に蛇行した川に囲まれていて、
いわば天然の要塞になっています。
そこに中世の街並みがそっくり残っているのです。
世界遺産にも指定されています。

昼は観光客で賑わっていましたが、夜10時過ぎに歩くと
静かで人通りもあまりなく、中世の息吹を感じました。

 

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スーツケースが壊れた!

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久しぶりの海外出張ということで、スーツケースで駅に向かったところ、
しばらくするとスーツケースの動きが極端に悪くなりました。
駅でひっくり返してみると、なんとキャスターの車輪が割れています。
しかも、4つのうち3つがです。

どうやら古くなった車輪のゴムが劣化し、久しぶりに使ったので
割れてしまったようなのですが、さて、どうしたものか。
必死に考えます。

「チェックインの締め切りまで30分あるから、そこで何とかする?」
「かばん屋があれば、そこで新しいのを買う?」
「だめだったら、重いけどホテルまで何とか担ぎ、現地で買う?」
「現地で買うなら、どの時間が使える?」

幸い、成田空港(第1ターミナル)にかばん屋があったので、
そこでスーツケースを購入し、荷物を詰め替えることができました。
何とかチェックインにも間に合い、やれやれです。
飛行機に乗る前にこんなに疲れたのは初めてでした。

かばん屋の店員さんに、「こんな人は時々いますか?」
と聞いたところ、「毎日ひとりは必ずいらっしゃいますよ」だって。
皆さんもご用心くださいね。

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※ミュンヘン中央駅です。空港にかばん屋がなかったら、
 スーツケースを担いで横断するところでした。

 

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人はなぜ逃げおくれるのか

 

「人はなぜ逃げおくれるのか-災害の心理学」
(広瀬忠弘、2004年、集英社新書)

東日本大震災が発生した際の反省もあり、
タイトルに惹かれて読みました。
著者の広瀬さんの専門は「災害心理学」です。

次の①と②のうち、どちらが正しいでしょうか。

①地震や火事に巻き込まれると、多くの人々はパニックになる。
②地震や火事に巻き込まれても、多くの人々はパニックにならない。

正解は②です。

私たちは何となく、「危険に直面したらすぐに逃げるだろう」
「みんなが逃げるのでパニックになるかもしれない」
といったイメージを持っていますよね。

ところが、実際には「これくらいなら大丈夫だろう」という
正常性バイアスが働き、危険をなかなか実感できず、
逃げ遅れてしまうことが多々あるそうです。
現代人は危険に対して鈍感なのですね。

また、映画やドラマの影響かもしれませんが、
災害や事故が起きると、人々が恐怖にかられ、
理性や判断力をかなぐり捨てて逃げまどう、
そんなイメージもあります。

しかし、災害時にパニックが起こることはまれであり、
そのような異常行動はめったに起きない、というのが
災害心理の専門家の「常識」なのだそうです。

著者は災害とパニックを短絡的に結びつける
古い災害感を「パニック神話」として警鐘を鳴らしています。

パニックを恐れて情報を過少に伝えてしまった結果、
大きな犠牲につながったケースはいくつもあるそうですし、
災害や事故の原因をむやみにパニックのせいにすると、
事態を曖昧にし、問題を糊塗する恐れがあるとのこと。

これはERMにもつながる話かもしれませんね。

※写真は井の頭公園です。

 

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