比較サイトで競争自演

 

3日の朝日新聞1面に「バイク王、価格競争装う」
という記事が出ていました。

比較サイト上の業者が、実はすべて同一グループの経営
(各業者が同一グループとわからないようになっていた)
というバイクの比較サイトがあったそうです。すごい話ですね。
すでに閉鎖されているため、残念ながら?確認はできません。

保険をはじめ、様々な商品の購入を検討する際に、
比較サイトを利用するかたは多いのではないでしょうか。
最大手カカクコムのグループサイト月間利用者数
(ユニークユーザー数)は6703万人に上るとか。

しかし、比較サイトのビジネスモデルについて、
ご存じのかたはあまり多くないかもしれません。

私もそれほど詳しいわけではありませんが、
一般に、比較サイトの収入源は、販売実績や
顧客誘導実績に応じた手数料等の収入、
あるいは広告料、広告商品の販売収入などのようです。

比較サイトには「中立な第3者」というイメージがあります。
実のところ、その保証はありません。
例えば、手数料率の高い会社の商品に顧客を誘導することも
できてしまうような危うさがあります。
もちろん、そのようなサイトはほとんどないと思いたいです。

なお、保険の場合、募集代理店とは違い、
比較サイト自身には保険業法の規制は及びません。
保険の販売を行っているわけではないからです。

上場企業だからといって信頼できるとは限りませんが
(今回のアイケイ社は東証2部上場企業です)、
少なくとも実態が不透明な比較サイトは避けるべきでしょう。

そのうえで、比較サイトの情報を鵜呑みにせず、
最後は自分で判断するという姿勢が大事なように思います。
ネット時代の消費者も大変ですね。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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今年もよろしくお願いします

 

あけましておめでとうございます。新年ですね!

いつもお付き合いいただき、ありがとうございます。
自分のトレーニングのために書いているようなものですが、
今後もできるだけ今のペースで続けていくつもりです。
よろしくお願いいたします。

さてさて、今回も冬休みモードです。
私は自転車だけではなく、歩くのも好きで、
先日は渋谷から自由が丘まで歩いてみました。
前回の踏切の写真はその時に撮ったものです。

中目黒から少し寄り道して目黒区役所へ(写真左)。
区役所らしくないこの建物は、知る人ぞ知る、
かつての千代田生命本社ビルです。
11年ぶりの再訪でした。

亀屋万年堂の総本店も発見しました(写真右)。
王貞治さんの「ナボナはお菓子のホームラン王です!」
というテレビCMをご存じのかた。年齢がバレてしまいますね^^

HPによると「東京都と神奈川県に直営店が約65店舗」とのこと。
なぜ「約65店舗」と「約」がついているのかは不明です。

渋谷から自由が丘まで、電車ならわずか15分です。
歩いてみたら、1時間45分もかかりました。

 

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東横線の踏切

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リスクをコントロールするには、リスクの「軽減」、
「移転(=典型的な手段が保険ですね)」のほか、
「回避」、つまりリスクを取らないという方法があります。

例えば「踏切事故を減らすため、踏切をなくしてしまう」
というのがリスク回避の発想です。
現実的ではないケースが多いとは思いますが、
意外に忘れられている発想かもしれません。

ちなみに私は通勤に東横線(渋谷から大倉山まで)
を使っています。あるとき、ふと思いついて
踏切の数を数えてみたら、9か所ありました。

田園都市線の踏切ゼロには及びませんが、
かつてに比べて、だいぶ減ったなあという印象です。

興味深いことに、9か所のうち8か所は
自由が丘駅をはさんだ区間に集中していました。
他の区間で高架化や地下化が進んだ結果、
諸般の事情でこの区間だけが残ってしまったのでしょう。

 

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生保運用 国内株離れ

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1週間前の記事で恐縮です。12/18(土)の日経に、
「生保運用 国内株離れ」「5年で半減、国債シフト」
という記事が載っていました。

来年度からの資本規制強化を前に、生保各社が
運用資産内容を見直しているというのですが、

「国内株式の残高は規制強化の議論が始まる直前
 (2005年度末)に比べ、ほぼ半減した」

とあります。読者は、
「そうか、生保はそんなに株式を売却したのか!」
と普通は思うでしょう
(ちなみに「売却した」とは書いてありません)。

ざっと調べてみたところ、事実は次の通りでした。

大手9社の国内株式残高(時価ベース)は確かに半減です。
 2006/3末:26.8兆円 → 2010/9末:13.8兆円

ところが、簿価ベースではどうか。
 2006/3末:13.1兆円 → 2010/9末:12.0兆円
 (この間の株式等評価損の計上額は合計1.4兆円)

つまり、「5年で半減」の中身は圧倒的に時価下落によるもので、
売却はあまり進まなかったことになりますね
(ただし、この上半期は第一と明治安田の売却が目立ちました)。

なお、この記事には、

「一方で国債など公社債での運用比重が高まっており、
 低金利下で運用益を原資とする契約者配当の維持が
 難しさを増している」

「(債券シフトで)逆ざやを保険会社が穴埋めするリスクも高まりやすい」

といった記述もあり、このあたりも非常に疑問です。
株式から公社債にシフトすると、どうして配当維持が難しくなったり、
逆ざやを穴埋めするリスクが高まったりするのでしょうか。
過去20年間とは違い、株のほうが安全ということなのでしょうか。

記事にいちいち目くじらを立てても仕方がないとは思いつつ、
つい反応してしまいました。

※毎度のことですが、個人的なコメントということでお願いします。

※写真は横浜港シンボルタワーです。
 横浜は港なんだなあと実感できる場所でした。

 

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農協からの信共分離

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政府の行政刷新会議「規制・制度改革に関する分科会」では
JA(農協)から金融(信用)事業、保険(共済)事業を分離し、
農業関係の事業に専念させる改革を検討するそうです。

2008年度のJA部門別損益(770組合の合計)をみると、
信用事業(2143億円)と共済事業(1712億円)の黒字で
購買、販売、指導といった農業関連事業の赤字を補い、
2189億円の当期利益を計上しています。
このような損益構造は08年度だけではありません。

JAの信用事業は組合員から貯金を集め、貸出を行います。
貯貸率は3割弱にすぎず、多くは信連への預金に回ります。
貯金・預金の利ざやは資金運用収益の半分を占めており、
信連や農林中金の運用益が信用事業を支えているのです。

他方、共済事業はJA共済連との共同引受とはいえ、
JAでは引受リスクを負わず、販売に特化しています。
つまり、共済事業は実質的に手数料ビジネスです。

こうして見ると、信共分離のハードルは高そうですが、
やはり気になるのがJAのガバナンスの問題です。

JAは協同組織であり、組合員のために存在します。
ただ、同じ組合員でも、貯金者や共済加入者と、
農業関連事業の利用者ではJAに求めるものが違うはず。

例えば、共済加入者にとって、掛け金は安いほうがいいでしょう。
しかし、JAの経営を考えれば掛け金が安くなると、
JAに入ってくる手数料(付加掛金)が減ってしまいます。

兼業農家が圧倒的に多く、かつ、准組合員も多い
(組合員の約半数が准組合員です)なかで、
貯金者や共済加入者の利益が十分守られているのか、
今後の議論に期待しましょう。

※いつもの通り、個人的なコメントということでお願いします。

※左は丸の内、右は新横浜の駅ビルです。

 

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生保加入率の男女逆転

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先週末だったでしょうか。「生保、女性加入率が男性上回る」
というニュースが流れました。
「不況の影響に加え、未婚化が進み、生命保険の必要性を
感じない人が増えている」とのこと。

本当にそうかなあと思って、元の資料を調べたところ、
事実は次の通りでした。

生命保険文化センターが9日に発表した
「平成22年度 生活保障に関する調査」によると、
生命保険・個人年金保険の加入率が、
男性が79.9%(H19年は81.9%)だったのに対し、
女性は81.4%(同81.2%)と確かに逆転しています。

ただ、内訳をみると、民保の男性加入率はむしろ高まっており、
簡保とJAの下げが、男性加入率の低下に寄与しています
(生協・全労済の加入率は上昇)。

また、女性加入率の上昇は、ほとんど民保によるものです。
H19年の55.6%から、今回は60.3%と約5ポイントの上昇です
簡保とJAの加入率は低下、生協・全労済は横ばいでした。

このようにみると、今回調査の特徴は「男女逆転」ではなく、

・民保で女性加入率が急上昇している
 → 各社の思惑通り、女性の医療保険加入が進んだのでしょう。

・簡保、JAの加入率低下
 → 主に貯蓄性商品の満期到来によるものと思われます。

・生協・全労済の男性加入率の上昇
 → 家計のメイン保障としての存在になりつつあるのでしょう。

ということで、記事とは一味違う分析結果になりました。

※写真は羽田の赤鳥居です。多摩川河口近くにあります。
 もちろん自転車で行きました。

 

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保険検査マニュアル改定案

 

金融庁が保険検査マニュアルの改定案を公表しました。
金融庁HPへ

保険検査マニュアルは、検査官が保険会社を
検査する際に用いる手引書です。

改定案の内容ですが、主な特徴としては、

・「経営レベル」「管理者レベル」「個別の問題点」の三層構造
・PDCAサイクル
・「統合的リスク管理態勢」の新設
・保険募集人の属性に応じた管理態勢の検証

などでしょうか。詳しくはHPをご覧下さい。

個人的なコメントといっても、さすがにこれ以上はやめておきます。

 

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EUのストレステスト

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欧州連合(EU)は来年、域内主要銀行を対象とした
ストレステストを再度実施するそうです。

EUではすでに主要銀行のストレステストを実施しており、
7月に結果を公表しています。

しかし、対象となった91行のうち、不合格は7行のみと
予想外に少なかったため、市場の信認を得られませんでした。
いったん落ち着いたギリシャやアイルランド、ポルトガルの
金融機関CDSスプレッドは、8月から再び拡大しました。

さらに、EUによるアイルランド支援です。
アイルランド危機の主因は銀行問題にもかかわらず、
先のストレステストでは大手2行とも「合格」でした。

2008年の金融危機では、過去データに基づいた
VaRなど統計的手法によるリスク管理の限界が示され、
代わってストレステストが注目されるようになりました。

ストレステストであれば、ヒストリカルシナリオだけではなく、
将来起こりうる様々な仮想シナリオを自由に設定し、
金融機関の健全性を確認することができるからです。

しかし、今回の欧州の件を見ても、ストレステストが
万能なツールではないことは明らかでしょう。

何よりどのようなストレスシナリオを設定するかが難問です。
シナリオが甘いと今回のような事態を招いてしまいます。
だからといって、全ての銀行が不合格となるシナリオでは、
かえって金融市場を大混乱させてしまうかもしれません。

おそらく再度のストレステストだけでは限界があるでしょう。
様々な政策を組み合わせて、何とか危機の広がりを
防いでほしいです。
仮にPIGSのSまで広がると、もう対岸の火事とは
言えなくなってくるように思います。

※今日は町内会・子供会の餅つきに参加しました。
  もはやベテランなので、筋肉痛とは無縁です♪

 

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世界五大危機

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再保険業界で「世界五大危険」といえば、

 ・米国のハリケーン
 ・米国カリフォルニアの地震
 ・欧州の冬の嵐
 ・日本の地震
 ・日本の台風

この5つだそうです。なんと日本が2つも入っています。

過去10年間の日本の損保の出再保険収支は、
受取再保険金が多かった2004年を除いて、
常に大幅赤字となっています。

五大危険のうち二つもあるのだから仕方がないのか、
それとも再保険会社を儲けさせすぎなのか、
果たしてどちらなのでしょうか?

なお、ここでいう「危険」は保険損害額です。
犠牲者数ではありません。

スイス再保険の資料(シグマ)によると、
過去40年間に発生した災害の犠牲者数ワースト3は

1.バングラデシュの風水災害(1970年)
2.中国の地震(1976年)
3.インド洋の地震&大津波(2004年)

でした。

他方、高額保険損害額の上位5件はすべて米国です
(ハリケーン・カトリーナ、アンドリュー、WTCなど)。
上位20件になると、日本の台風が2つ、欧州が5つ入ります。

先進国と新興国・途上国の違いがはっきり表れていますね。

※左はラゾーナ川崎、右はキュービックプラザ新横浜のツリーです。

 

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生損保決算から(その3)

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損保系生保が業容を拡大しています。
変額年金が主体の2社はやや苦戦しているようですが、
いわゆる「ひらがな」生保は、大手生保が契約を減らすなか、
保有契約高、年換算保険料ともに拡大が続いています。

損保系生保のビジネスモデルといえば、
損保代理店が生保も販売する「生損保クロスセル」
というイメージをお持ちだと思います。

ところが、各グループのIR資料を見ると、意外にも(?)
チャネルの多様化が進んでいることがわかります。

例えば、あんしん生命のチャネル別保険料のうち、
「損保代理店」は全体の55%にすぎません(2010/9期)。
他には「ライフプロ」(生保代理店)が30%、
「ライフパートナー」(営業職員)が10%を占めています。

NKSJグループの生保(ひまわり生命、日本興亜生命)でも、
「損保代理店(研修生を含む)」は39%、「生保プロ」が26%、
金融機関11%などとなっています(2009年度)。

注目すべきは、グループ損保の代理店とは別の、
一般代理店の存在が大きいことです。

MS&ADグループの生保(きらめき生命、あいおい生命)の
チャネル別データは公表されていませんが、
「当社の強みである来店型保険代理店のノウハウを活用」
(あいおい生命)という記載がIR資料にありました。

保険ショップに代表される一般代理店チャネルは
成長市場とはいえ、乗合かつ大規模な代理店なので、
保険会社間の競争が非常に激しい市場でもあります。

チャネル別収益などをしっかり管理して、
規律ある競争ができるかどうかがポイントなのでしょう。

それにしても、大手生保の動きだけを見ていては、
市場の動向をつかむのが難しくなったと感じます。

※写真はトレッサ横浜です。

 

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