07. 規制・会計基準

米国生保への資本注入はどうなる?

null

FRBがゼロ金利政策に突入しました。
ついにここまできたかという感じですが、信用収縮が起きているときに
金利を引き下げても効果はあまり期待できない、というのが
日本の経験からの教訓でしょうか。

ここ数日、米国生保の原稿を書いていて思うのですが、
米国政府の対応にはやっぱり頭を抱えてしまいます。

例えば11月以降、CMBS(商業用不動産担保証券)の価格が急落しました。
これには政府の方針変更が一役買っています。
米財務省の金融安定化策が、当初の不良資産買い取りから
資本注入プログラムに変わってしまったためです。

この資本注入プログラムは保険会社も対象になっていて、
ハートフォードやプルデンシャルといった大手保険会社も参加を表明しています。
ところが、本当に資本注入されるのか、されない会社があるのか...
といった宙ぶらりんの状態が続いており、市場の疑心暗鬼は晴れません。

新政権に多くを期待するのはどうかと思いますが、
少なくとも現政権のレームダック状態が終わる点はプラスでしょう。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

日経ヴェリタス「安易な会計ルール緩和に抗す」

本日(14日)の日経ヴェリタス、IASB理事である山田辰己さんの記事です。

・国際会計基準の緩和はEUからの強い政治的圧力を受けたもの。
 EUがルールを勝手に凍結し、情報開示が後退しないように決断した。

・「取引がほとんどない市場で金融商品の時価をどう決めるか」
 「時価評価の信頼度」「簿外の特別目的会社」などの課題には、
 情報開示を強化する方向で対応している。

・投資リスクを投資家に伝えるもので時価に代わるものはない。
 海外では時価会計をやめるべきだという極端な議論は出ていない。
 安易に会計ルールを変更すれば、市場の信頼を失うことを理解している。

IASBは国際会計基準の作成を担う組織で、理事は14人。
そのうち日本人は山田さんだけという、貴重な存在です。

昨今、金融機関の健全性を「自己規律」「行政による規制」「市場規律」
の3つで確保しようという流れから、金融危機が深刻化するなかで
「市場規律」を否定する動きがあるように思えてなりません。

危機対応の重要性を否定するつもりはありませんが、
さりとて「行政による規制」だけで実現可能なのでしょうか。
山田さんを応援したいと思います。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。