金融庁が8月末に公表したソルベンシー・マージン比率の見直し案について、
あくまで個人的にではありますが、コメントを出しました
(なお、コメントの募集は29日の夕方に締め切られています)。
内容は二つ。
一つは責任準備金の一部(保険料積立金等余剰部分)に
算入制限を設けることについてです。
全く算入しないというのであれば、それはそれで理屈がつくのですが、
「期限付劣後ローン等の負債性資本調達手段等と合算して、
中核的支払余力(コア・マージン)を限度とする」
という案が示されています。そうすると、
・トータルバランスシートアプローチ(=支払い余力を確保するにあたり、
負債でも純資産でも同列に扱う)ではないということか?
すなわち、負債中のサープラスは重視されないということか?
経済価値ベースのソルベンシー規制に移行した際はどうなるのか?
・標準責任準備金(=純保険料式)の達成よりも、コア・マージンを
優先すべきなのか?
いわゆる純保行政との決別なのか、それとも両方求めるのか?
・経済価値ベースの負債評価やリスク管理を促す一方で、
会計上の純資産をあまりに重視すると混乱を招かないか?
などの疑問が浮かんできます。このあたりを確認してみました。
もう一つは実施時期の問題です。
2012年3月期からの導入となっていますが、少し遅いのではないでしょうか。
EUで経済価値ベースのソルベンシー規制(=ソルベンシーⅡ)が
導入されるのが2012年。IAISもグローバル規制の実現に向けて
精力的に動いています。
日本のこの動きを無視することはできないはずですが、
この見直し案の実施直後に新たな見直しが可能なのでしょうか。
健全性規制に明るくないかたには、ややわかりにくかったかもしれません。
ご容赦下さい。
※写真は伊勢・おかげ横丁です