06. リスク管理関連

経営者のリスク意識

大手電機メーカーの幹部候補生の方々と話をする機会がありました。
テーマは企業のリスク管理や危機対応についてです。

保険会社は本来、企業のリスクマネジメントのツールとして保険を提供しています。
ただ、日本の企業は「工場」「倉庫」「社有車」とパーツごとに保険に入るだけで、
自分がどのようなリスクを抱えているか、そのリスクにどう対応するか
(リスクを避ける、軽減する、もしくは保険でカバーする)という発想で
保険に入っている会社は、残念ながら依然として少数派のようです。

電機メーカーでも同じような話がありました。
例えば、どこかで発生した震災をきっかけに社内で「危機対応が必要」となり、
相談を受けたメーカーが、全社的な危機対応を考えたソリューションを提供します。
ところが、その後1度も使わない状態が続くなかで、当初の熱が冷めると、
「このシステムだけが最低限動けばいい」といった話になり、
安い単品に切り替わってしまうのだそうです。

共通しているのは、日本の企業、特に経営者のリスク意識が低いということです。
あくまで一般論ですが、日本では自然災害や人災などのイベントによる損失は
「仕方がない」(=経営者のせいではない)という感覚なのでしょう。
過去の失敗に学ぶのではなく、「水に流す」という文化もあるようです。

でも、倒産リスクを減らすためには「仕方がない」ではすまないと思います。
事故や不祥事で会社が傾いた事例は結構ありますよね。
まじめに考えれば、経営者のリスク意識はもっと高くてもいいはずなのですが。

というわけで、なかなか面白いミーティングでした。

 

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「漂流するリスク管理」

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12/26の日経13面。「株価 金融技術の限界」という特集の後編で、
表題の見出しがついた記事が掲載されています。

記事では金融危機で投資家のリスク管理が根本から揺らいだと指摘。
森平先生のコメントとして、「(リスク管理の抜本的な見直しは)
数年以上かかる膨大な作業で、現状は『暗中模索』の段階だ」とあります。

今回の金融危機で経営危機に陥った金融機関は、リーマンをはじめ、
先進的なリスク管理を行っていたはずでした。

しかし、現実にはうまく機能しなかった。
過去のボラティリティを大幅に上回る変動が起こり、
分散効果は働かず、時価と実態が大きく乖離してしまいました。

では、どうすればいいのか。
これが来年の最も大きな課題になると思います。
外部から金融機関のリスク管理を評価するアナリストとしても
非常に大きな課題です。

そのようななかで、今年は破綻生保の研究を通じて
ガバナンスの重要性を再認識できました。
今後につなげることができればと考えています。

ということで、来年も時間を見つけていろいろ書いていきますので、
引き続きよろしくお願いいたします。

 

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