「年金制度は詐欺だ」という居酒屋のママさんとの会話。
ママ「何年間かは払っているのに期間が足りないからもらえないなんて。
私が払った保険料はどこいっちゃったのよ(怒)」
私 「民間の個人年金と違って、国の年金は今働いている人が
今のお年寄りを支える仕組みになっているんですよ。つまり、
自分が払ったお金を自分の老後のために積み立てるのではなく、
基本的にはその時その時で回しているだけなんですよ」
ママ「そんなの成り立つわけないじゃない。少子高齢化になるのは
何十年も前からわかってた話でしょ」
私 「ここまで少子高齢化が進むとは予想できなかったと思いますよ。
それに、自分のために積み立てる制度だと、何十年間もの資産運用が
必要なので、それはそれで大変なんですよ。生保が何社も潰れてますよね」
ママ「だけど、そんな成り立たないものに保険料を払わなきゃならないなんて、
おかしいじゃない。誰が決めたのよ」
私 「成り立たないって、そりゃ保険料が上がったり、給付が遅くなったりしてるけど、
成り立ってるじゃないですか。今の高齢者は年金もらってるんだから。
ママさんも年金制度があったほうがいいって思うでしょ」
ママ「そうだけど、使い込みや不正なんかで私の保険料が使われてるし。
そうやって使っちゃったから年金が成り立たないんでしょ」
私 「確かにずさんな運営は問題だけど、少子高齢化でバランスが崩れ、
年金の財源が足りるかどうかとは全く別の話ですよ。
金額のレベルも全然違うし」
ママ「でも、足りなくなったうちの一部分は不正に使った分でしょう。同じことよ。
私が何年間も払ったのは確かなのよ。ちょっと年数が足りないから
年金は出ませんだなんて。そんなの詐欺じゃない」
私 「気持ちはわかるけど、一定の期間を払った人がもらえるといった
ルールにしないと、それこそ年金制度が成り立たないじゃないですか」
ママ「いいえ、これは詐欺だわ」
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そんな感じでママさんは理解も納得もしてくれませんでした。
私は普段、わかりにくい保険の話をかみ砕いて説明する機会が多いのですが、
今回はあえなく撃沈してしまいました。
もしかしたら「年金」という言葉を使わずに、「たすけあい」と説明したほうが
よかったのかもしれません。「昔助けた人が今助けてもらう仕組みなんですよ」と。
とはいえ、かんぽの宿問題でもそうでしたが、世の中、理屈よりも感情に
支配されることがかなり多いように感じます。難しい問題ですね。
※写真はその居酒屋で食べた初サンマです。