日本銀行が金融緩和策の強化に踏み切りました(27日)。
長期国債の買入れ額を10兆円程度増やすとともに、
買入れ対象の残存期間を3年まで延長しています。
日銀は2011年末時点ですでに日本国債の1割を保有しており、
今後さらに市場での存在感が高まるのかもしれません。
ところで、1週間以上経ってしまいましたが、その日本銀行が
「金融システムレポート」を公表しています(19日)。
このレポートは年2回作成されていて、
日本の金融の現状を知るうえで大変役に立ちます。
日銀金融システムレポートのHPへ
レポートを読んで、地域銀行が直面する経営環境の厳しさを
改めて感じました。
信用コスト率や不良債権比率が低い水準にとどまっているため、
地域銀行の経営は一見安定しているように見えます。
しかし、金融緩和の継続などから運用利ザヤが縮んでいるうえ、
主力取引先である中小企業の資金需要が低下しています。
大都市圏と比べ、地方圏の中小企業売上高は大きく落ち込み、
貸出残高も大都市圏と地方圏では動きが全く異なります。
地域銀行が残高を増やしてきた住宅ローンも明るくありません。
利ザヤが低下しているうえ、需要の頭打ちも近そうです。
つまり、地域銀行のビジネスの源泉となる市場が縮んでしまい、
それが徐々に顕在化する段階に入っているのですね。
他方、地域銀行の収益を補っているのが証券投資です。
レポートによると、金利リスク量(銀行勘定の100bpv)は
年々拡大しており、対TierⅠ比率は3割を超えています。
10年前は地域銀行の抱えるリスクの半分が信用リスクで、
残りが金利リスクと株式リスクで半々というイメージでした。
近年は全体の6、7割が市場リスク(金利と株式)となっています。
多くの地域銀行のALMがコア預金を踏まえた先進的なものに
進化しているとは考えにくいので、このリスクのとり方を
どう考えればいいのでしょうか。
地域銀行の経営を取り巻く現状が厳しいとはいえ、
金融危機のような目に見える厳しさに直面しているのではないため、
経営はなかなか思い切った手を打ちにくいのかもしれません。
いわば真綿で首を絞められつつある、あるいは「ゆでガエル」状態
(実際にやってみると、カエルは外に飛び出すそうです^^)
なのでしょうか。
このような顕在化しつつある「ビジネスリスク」に対応するには、
金融リスクの管理以上に経営陣の強いリーダーシップが
求められるのですが...
※写真は前回に続き勝沼です。桜が満開でした。