次期社長の選任

皆さま、本年もよろしくお願いいたします。
例年とちがい、今年はこの土日まで正月休みのようでいいですね。明日(6日)からは通常運転に戻らなければ。

さて、多忙な12月にスルーしてしまった「気になるニュース」に、日本生命の社長人事の報道がありました。何が気になったのかと言うと、次期社長選任のプロセスについての報道が従来と変わっていなかったからです。
日本生命のニュースリリースには取締役会の決定事項しか掲載がなく、記者会見でも質問がなかったためか、社長選任プロセスに関する報道は相変わらず以下のようなものでした。

「『次を頼む』。日本生命保険の朝日智司副社長は11月下旬、清水博社長から次期社長の打診を受けた」
(2024年12月19日の日経新聞)

「清水氏から後任を打診されたのは11月下旬。数々の出資・買収を主導し、事業拡大の土台づくりにめどを付けた清水氏から『次を頼む』と告げられ、『果たす役割があるなら全力を尽くしたい』と即断した」
(2024年12月22日の時事通信ニュース)

「国内保険事業に精通した朝日氏の登用で、着実な成長を続ける狙いがある」
(2024年12月19日の朝日新聞)

「清水氏は『多面体を広げていくには中心がしっかりしていないといけない。その中心は国内生命保険事業だ』と強調。営業経験が豊富な朝日氏を後任に選び、人口減少で市場の縮小が見込まれる国内保険事業についても強化していく構えを鮮明にした」
(2024年12月19日の毎日新聞)

日本生命は2022年にコーポレートガバナンス体制を刷新し、監査等委員会設置会社に移行するとともに、社外取締役が過半数を占める「指名・報酬諮問委員会」を設置しました。つまり、次期社長は現社長が決めるのではなく、指名・報酬諮問委員会の審議を経て、取締役会が決め、総代会の決議を求めるという流れのはず。清水さんが社長になったとき(2018年)とは選任プロセスが変わったはずなのですが、残念ながらその違いが外部からは全く見えませんでした。

同委員会の委員長を務める牛島信弁護士は約1年前、2023年12月19日のNIKKEI Financialのインタビュー記事で前回の社長人事について、「当時の筒井社長が次期社長の選任にあたって、社外取締役と話し合わないといけないと強く考え、3〜4回、話し合いの場を持った」と語っています。
さらに、「(新体制でも次の社長は)取締役会で決めることになるが、指名・報酬諮問委員会の考えが重視されるだろう」とも述べています。しかし、今回の人事について日本生命からは今のところそのような説明はなく、メディアもまるで現社長が次期社長を決めたかのような報道を続けています(もしかしたらそうなのかもしれませんが)。

詳細な説明をしない会社にも問題はありますが、メディアは記者会見などでもっとガバナンスに関する説明を求めるべきです。特に日本生命は相互会社形態で株主が存在しないので、こうした機会にメディアがしっかり見ていかないと、経営への規律が働きにくいということを理解してほしいですね。

ということで、本年も引き続き週1くらいのペースでブログを更新していくつもりです。
お付き合いいただければ幸いです。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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