28日の日経報道で「主要生命保険、保有国債1兆円超削減へ 規制対応一巡で転換(会員限定)」とあったので、大手各社の2025年度運用計画をロイターとBloombergの記事で確認してみたところ、実際には以下の通りでした
(毎回言っていますが、どうしてメディアに説明するだけで、一般に公表しないのでしょう)。
<日本生命>
・過去の利回りが低い(価格が高い)時に購入した債券を売却し、代わりにより利回りの高い(価格の安い)債券を買うため、日本国債については簿価ベースの残高は減るものの、時価ベースで見れば残高は増える。
<第一生命>
・円債については、足元は資産と負債の規模がおおむねマッチしている状況で、年限別のキャッシュフローを踏まえた責任準備金対応債券の入れ替えが中心となり、残高はおおむね横ばいと見込む。
<住友生命>
・円債は、「償還期間10年超」の日本国債を機動的に投資することにより、数千億円規模で積み増す計画。
<明治安田生命>
・金利リスク削減と長期安定的な利配収入確保に向けて、従来通り20年債と30年債を軸とした超長期国債を中心に買い入れる。購入のペース配分は「平準買い」を基本としつつ、金利上昇局面をとらえて追加投資も検討する。ただ償還が買い入れを上回るため、残高は「昨年度の3900億円(簿価ベース)と同程度」減少するという。
<かんぽ生命>
・20年物を中心とした長期・超長期国債に幅広く、「グロスで5000億円程度」の買いを想定している。ただ保有債券の償還が1兆3000億円程度あって投資額を上回るため、残高は減少する見込み。
日本生命は時価ベースでみれば残高を増やす、第一生命は横ばい、住友生命は増加に転じるとのこと。かんぽ生命は資産規模の縮小が続くなかでの残高減少なので、方針として残高を減らすというのは実質的に明治安田生命だけのようです。
記事によると、明治安田生命は1年前(2024年4月下旬)には「平準買いを基本としつつ金利が上昇した局面では積み増す」と述べ、その半年後(2024年10月下旬)にも「金利が上がったら買いに動く」とコメントしていました。
ところがその後、金利が上がったにもかかわらず買いには動かず、「(前年度は)金利先高観により円債の買い入れを抑制」と、国内債を簿価ベースで3900億円減らしたそうです。さらに「(負債と資産のデュレーションのマッチングはほぼ終了しており)円債をどんどん積み増すのは金利リスクが高い」という記述もあり、どうも昨年のコメントとの整合がとれません。
ちなみに日本生命は、1年前は「金利上昇を待って国債買いのペースを加速させる方針」、半年前は「全体としてはやや抑制的なペースで年度を通じて投資」で、今回は「基本は平準ペースで買い入れ、市場動向次第で機動的にペースを調整していく(4月は多めに購入)」ですから、確かに金利上昇に伴って国債を多く買っているようです。
住友生命も、1年前は「金利上昇時には追加投資も検討」、半年前は「金利の上昇局面で少しまとまった金額を投入」で、今回は前述の通り「『償還期間10年超』の日本国債を機動的に投資することにより、数千億円規模で積み増す計画」です。
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