韓国保険業界のかたから興味深い話を聞きました。
2000年前後に日本で保険会社が経営破綻した際、
責任準備金の削減や予定利率の引き下げ等を通じ、
契約者は何らかの負担を強いられました。
他方、韓国でも1997年末からの金融危機を受けて、
1999年に当時、資産規模で第3位だった大韓生命が
経営破綻したのをはじめ、2000年前後に多くの生保が
「構造調整」(≒破綻処理)を余儀なくされました。
ただし、個人の保険契約は全額保護されました。
日本でも1996年から2005年までペイオフが凍結され、
銀行預金が削減されるようになったのは2005年からです。
韓国でも金融危機の際、ペイオフが凍結されています。
日本と違うのは、預金保険が銀行だけではなく、
保険会社のセーフティーネットも担っているので、
ともに全額保護されたという経緯があります。
ところが、破綻会社の契約者を全額保護した副作用が
今になって出ていると言うのですね。それはモラルハザードです。
「保険会社が破綻しても最後は政府が救ってくれる」
誰もがそう考えているので、経営の規律が働きにくく、
価格競争や販売手数料競争が激しくなりがちだとか。
契約者も、経営内容で保険会社を選んだりしないようです。
確かに、韓国では保険金詐欺が社会問題化するなど、
日本の市場とはやや異なる面がありそうですが、
なるほどなあと思いました。
韓国に於ける保険詐欺に対する取り組みと課題(PDFファイル)