外貨建資産が増加(台湾)

 

前回のブログで、国内生保の外貨建資産ウエートが
20%に達したと書きました。

ところが、台湾生保の海外投資はそんなレベルではなく、
一般勘定資産の43%を占めています(2013年末)。
2001年には12%だったそうですから、大きな変化です。

外貨建ての保険が多いのかと尋ねてみると、そうでもなく、
責任準備金の大半は自国通貨建てとのことでした。

台湾の生保も長引く低金利に悩まされています。
10年国債利回りが2008年以降、1%台で推移する一方、
ある資料によると、平均予定利率は4%近い水準です。

しかも、台湾には十分な超長期債市場は存在しません。
また、多額の危険差益を得られる環境でもなさそうです。

そこで、当局は海外投資等に対する各種規制を徐々に緩め、
結果として、今のような資産構成となったと考えられます。

某大手では一定規模の為替ヘッジを行っているようでしたが、
業界全体としては、「各社が為替変動準備金を積んでいる」
(当局=金融監督委員会が2012年に導入したもの)
という声を何度も耳にしました。

ところが、ある記事を見ると、地元格付会社のコメントとして、
「準備金残高は海外投資の0.5%未満しかない」
「準備金を積極的に積もうという動きは見られない」
とありました。TAIPEI TIMESへ

低金利で金利リスク(ALMリスク)が顕在化しているなかで、
毎期の会計上の損益を確保するため外貨建資産に傾斜し、
為替リスクを増やしているという姿が浮かび上がります。

台湾では2009年のKuo Hua Lifeに続き、今年8月には2つの生保
(Global Life、Singfor Life)が当局の管理下に置かれました。
他にも当局の健全性基準を下回っている会社が複数あるようです。

ただ、日本の破綻処理制度とは違い、台湾では保険契約者が
100%保護されており、公的資金を使う枠組みとなっています。
Kuo Hua Lifeの処理コストは約3000億円と言われています。

充実したセーフティネットは破綻生保の契約者には福音です。
しかし、経営者のモラルハザードを高めることにもなりかねず、
制度設計の難しさを感じました。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします

※かつて階段の上には神社があったそうです。

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