破綻生保の既契約

 

米プルデンシャルは2/1(火)、AIGエジソン生命と
AIGスター生命の株式取得を完了したと発表しました。

金融危機後のAIGグループ生保の再編がおおむね終了し、
プルデンシャルは日本の生保市場で最大規模の
外資系グループとなりました。

このグループのもう一つの特色は、破綻した生保の既契約が
重要な顧客基盤となっていることです。

 日産生命(あおば生命) → プルデンシャル生命が買収

 東邦生命 → GEエジソン生命(現AIGエジソン生命)に包括移転

 (第百生命 → マニュライフ生命に包括移転)

 大正生命 → 大和生命(現PGF生命※)に包括移転

 千代田生命 → 破綻後、AIGスター生命へ

 協栄生命 → 破綻後、ジブラルタ生命へ

 (東京生命 → 破綻後、T&Dフィナンシャル生命へ)

 大和生命 → 破綻後、PGF生命※へ

  ※プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命

つまり、破綻した生保8社のうち6社が、回りまわって
プルデンシャルの傘下となっているのですね。

破綻生保の契約者は、将来の安心を買ったつもりが、
加入した生保の経営危機でかえって不安な思いをしたうえ、
最終的に何らかの不利益を被るという、心情的には
「ありえない」経験をしています。

当時を経験している役職員のかたも多いでしょうから、
経営管理やリスク管理などの面で生かされるといいですね。

※いつものとおり個人的なコメントということでお願いします。

※写真は御茶ノ水駅。聖橋の上から撮りました。

 

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覆面座談会

 

1/31の保険毎日新聞に「保険業界は変わるのか」という、
ERMをテーマとする異色の覆面座談会が掲載されていました。
業界紙でも、このような企画は珍しいのではないでしょうか。

記事の見出しをいくつか引用すると、

「今こそERMの構築を」
「透明性が生き残りの道」
「リスクカルチャーの醸成必要」

など、私が普段口にしているような話が多々出てきますが、
あいにく(?)私はこの座談会メンバーではありません^^
(断っておかないと疑われそうなので...)

いきなり「リスク・アペタイト」という言葉が出てくるし、
読者に言いたいことがうまく伝わるかという心配はあるものの、
面白い試みだと思います。

「日本のアクチュアリーが仮にリスク管理部に配属されても、
 計算技術を期待されるだけに終わってしまうことが多いと
 考えられるが、それではあまりに惜しい」

「本来、リスクは組織のあらゆるところにあり、ある意味で
 組織全員が当事者になり得る。その意識がないところに
 カルチャーは定着しない」

「金融当局が直接、経営者にリスク管理の全体像を問い、
 それに対して自社のリスク・アペタイトがどうなっているか、
 経営者が手元資料を見ずに説明できるような時代が
 待たれているといえる」

といった気になるコメントもありました。

業界紙なのでなかなか入手しづらいかもしれませんが、
機会がありましたらぜひご一読を。

※週末の横浜中華街は満員電車のようでした。

 

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S&Pの日本国債格下げ

 

27日の夕方にこのニュースを聞いた時、
AA水準にとどまったうえ、アウトルックが「安定的」だったため、
「やっぱりね」といった程度の感想でした。

市場関係者の多くも同じような反応だったようです。
ですから、ここまで大きく報道されるとは予想外でした。

今回の格下げ報道を、与野党の政治家が警告と受け止め、
財政再建に向けた議論を促す効果があるのであれば、
むしろポジティブな話かもしれませんね。

ただ、「疎い」発言の揚げ足取りに終わってしまう可能性も
否定できません。

S&Pは発表分のなかで、

「連立与党が参議院選挙で過半数議席を確保できなかったこともあり、
 民主党政権には債務問題に対する一貫した戦略が欠けている」

「国債発行額の承認を含めた、2011年度予算案と関連法案が
 国会の承認を得られない可能性さえあるとS&Pはみている」

と、政治の混乱を格下げ要因のひとつに挙げています。
単に政府の借金が増えたから格下げ、ではないのですね。

財政健全化への道筋を示せるかどうか。
自分の子孫にこれ以上つけを回すのは勘弁してほしいです。

※今年は富士山がよく見えますね。

 

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若いときに買うのが有利?

保険毎日新聞の海外ニュースで、
「生命保険 若いときに買うのが有利」
という記事がありました。カナダの話です。

日本でもしばしば、
「生命保険は若いときに入ったほうが得」
というセールストークを耳にします。

本当にそうなのか考えてみましょう。

1.若いときに入ったほうが保険料が安い

確かに同じ終身保険でも、25歳で加入した場合のほうが、
35歳で加入した場合よりも、毎月支払う保険料は安いですね。

しかし、当然のことながら、毎月の保険料を単純に比べても
意味がありません。
前者は25歳から保険料を払い続けるのに対し、
後者で支払いが始まるのは35歳からです。

どちらを選ぶかは、25歳から34歳までの保障が
必要かどうかという判断なのでしょう。

2.年をとると保険に入れない可能性が高まる

これはその通りだと思います。

ただ、健康状態が悪化し、保険に入れなくなるリスクが
高まるペースは年代によってかなり異なります。

手元に統計はありませんが、40代以降にもなると、
死亡率や病気の発生率は年々高くなるようです。
でも、35歳くらいまではそれほどでもありません。

もちろん、若くても健康状態が悪化することはあるので、
その可能性をどう受け止めるかによりますね。

3.保険には強制貯蓄効果がある

解約返戻金が貯まっていくタイプの保険なら、
保障を得つつ、自然にお金も貯まっていくことが期待できます。

とはいえ、貯蓄性のある商品の保険料は結構高いですし、
何より予定利率1%台の商品で運用先を固定してしまうのが
得策かどうか。

金利が上昇し、他の商品に乗り換えたくなっても、
解約したら保障がなくなってしまいます。

このようにメリットと言われる点を検証してみると、
若いときにも保障がほしいと考える人は別として、
「生命保険は若いときに入ったほうが得」
とまでは言い切れないように私には思えます。

※意見には個人差があります。念のため。

 

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親離れ・子離れ

 

「親離れ・子離れに関する意識調査」という
(私にとって)気になるアンケート結果を見つけました。
アメリカンホーム保険のHPへ

回答者が「子どもの頃に親と外出するのが最も嫌だった年頃」を聞くと、
母親は「12歳~15歳(50.0%)」、父親はそれよりも少し遅い
「16歳以上(48.6%)」と答えた人がそれぞれ最多となったそうです。

これに対し、子どもが喜んで親と外出するのは「9歳~11歳まで(41.4%)」
と思う親が最も多かったとのこと。

確かに私の周囲でも、女の子は小学校の高学年になると、
身近な異性である父親を嫌うという話をしばしば耳にします。

私の場合、11歳の娘と二人でスキー旅行に行くなど、
とりあえずまだ娘に嫌われていないようです
(だんだん反抗的になってきましたが)。

ただ、担任の男の先生(30代半ば)に対しては
えらく反発しているようで、代わりに嫌われてくれている感じ。
何となく同情してしまいます^^

息子(16歳)のほうは、さすがに喜んで親と外出はしません。
中学生になり、部活が忙しくなったあたりからでしょうか。
誘っても一緒にくるのは5回に1回くらいです。
まあ、自分もそうだったような気がしますね。

 

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バーゼルⅢ

 

バーゼルⅢについて話を聞く機会がありました。

昨年11月のソウルG20サミットによる大筋合意と、
12月の自己資本規制案などの公表などで、
バーゼルⅢの全貌が明らかになりつつあります。

残る注目点はSIFIs(システム上重要な金融機関)
に関する議論あたりでしょうか。

改めて12月の規制案をみると、段階的導入とはいえ、
最終的に銀行が必要な資本水準は大幅に高まります。

しかも、金融危機の反省から「損失吸収力」が注目され、
Common Equity、つまり普通株と利益剰余金重視の
制度となります。
最終的に求められるCommon Equity比率は4.5%で、
これに何種類かの資本バッファーが加わる見込みです。

さらに、総資産と自己資本を比べただけの
「レバレッジ比率」や、新たな流動性基準などもあります。

こうなってくると、銀行は普通株による調達に走る、
毎期の利益をためこむ、リスクアセットを圧縮する、
といった行動に向かわざるをえないでしょう
(あくまで一般論ですが)。

気になるのは、厳しい規制でリターンを上げにくくなった
銀行の普通株を誰が買うのか、という点です。

投資家は規制に協力するために株式を買うのではなく、
投資先の価値が高まると期待して購入するはずですよね。
銀行はどのようなビジネスモデルで株主の期待に
応えるのでしょうか。

また、これだけ資本規制・流動性規制が強化されると
「3本柱アプローチ」はどうなってしまったのかという
疑問も出てきますよね(形は残っているとしても)。

特に第2の柱については、機能しなかったと総括するのは
ちょっと早すぎるのではないでしょうか。

 

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トマムリゾート

 

連休に娘と北海道のトマムに行ってきました。
2年ぶりのスキー旅行です。

アルファリゾート・トマムは、北海道を代表するリゾート。
山のなかに何棟かのタワーがそびえ立つ姿は
いかにもバブル期に作られた施設という雰囲気です。

バブル崩壊の影響で運営会社が相次いで破綻し、
今はあの星野リゾートが再建に取り組んでいます。

さすがに施設はやや古くなってきていますし、
レストランもバイキングが中心で、食材を見ると
予算の制約が結構厳しいように感じました。

とはいえ、満足度は高かったです。
また行きたいと思わせるものがあります。

駅からのアクセス、チェックインまでの流れ、
スキーレンタルなど、いずれも非常にスムーズでしたし、
何かお願いしても、すぐに対応してくれました。

レストランのチョコフォンデュ(写真右)も楽しいですよね。
チョコとマシュマロ、パイナップルだけなのですが、
子どもだけではなく、私も楽しんでしまいました^^

スタッフが親切なだけでなく、楽しそうに働いているのも
印象的でした。

星野リゾートでは顧客満足度を高めるため、
現場に自ら考えることを求めるのが特徴のようですが、
そのような経営方針が浸透しつつあるのかもしれません。

 

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保険に入るということは

 

前回はリース契約について書きましたが、
保険契約でも同じようなことが言えそうです。

生命保険など長期の保険契約を結ぶということは、
長期間の保障と引き換えに、保険会社に何十年間も
お金(保険料)を支払い続ける契約を結ぶということです。

例えば、保険料が月2万円で終身払いの保険に入ると、
仮に50年間だとして、総支払額は合計1200万円にもなります。
金利で割り引いて考えたほうがいいでしょうから、
実質的には700万円程度といったところでしょうか。
いずれにせよ、かなり大きな金額です。

保障を得た代償として、現在の資産と将来の収入のうち
700万円もの金額が固定されてしまうわけですから、
保険料の総支払額と受け取る保険金の損得だけではなく、
保険料の分だけ家計の自由度が下がっていることも
理解しておくべきでしょう。

ただ、保険契約が先のリース契約と決定的に違うのは、
契約者が一方的に解約できる点です。

問題となったリース契約では、自販機を手放すだけではなく、
多額の違約金を支払わなければリース債務が消えないようです。
しかし、保険契約を解約しても保障がなくなるだけで、
多額の違約金支払いなどはありません
(契約初期には一定の解約控除が発生します)。

半面、保険会社からすると、いつ解約されるかわからない
契約をたくさん抱えているということになりますね。
契約者が常に合理的に行動するとは限らないため、
実のところ、きちんと管理するのは結構大変な話です。

※左は姨捨の棚田、右は稲荷山の町並みです。

 

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ハッピーベンダー事業

 

テレビで自動販売機(飲料)の契約トラブルの話をみました。

詳しくはこちら(毎日放送HPへ)

通常の自販機ビジネスは、飲料メーカーが設置場所を借り、
設置先は場所代として手数料を受け取るというものです。

一方、A社が提供する「ハッピーベンダー事業」では、
個人・法人が自販機のオーナー(リース契約を結ぶ)となり、
A社の支援のもとで、自販機事業の運営をします。

番組によると、このA社は、

「ほとんど赤字にならない」
「高い収益をあげることができるサイドビジネス」

として、事業主を募集していたようです。

ところが、実際には自販機の大半が赤字となり、
事業主にはリース料の支払い負担だけが残る事態が相次ぎ、
トラブルになっているとのこと。

このハッピーベンダー事業のポイントは
「リース契約」だと思います。

契約した事業主はおそらく、月々の収入と支払いを比べて、
「リスクが少ない」「魅力的なサイドビジネス」と判断したのでしょう。

しかし、リース契約の本質は、物を介した「借り入れ」です。
100万円の自販機のリース契約を結ぶということは、
100万円の借金をして自販機を買ったのと大差ありません。
ここが理解されていたのかどうか。

たぶん、「借金して自販機のオーナーになりませんか」
と言われていたら、契約しなかった人も多かったのではないでしょうか。

A社の行為が法的にどうなのかはわかりません。
ただ、改めて金融の基本的な知識の重要さを感じました。

学校でパソコンの使い方を教えるくらいなら、
基本的な金融教育をもっとやったほうが有益でしょうね。

※写真は年末に訪れた「姨捨駅」です。
 まるで展望台のような駅でした。おすすめです。

 

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比較サイトで競争自演

 

3日の朝日新聞1面に「バイク王、価格競争装う」
という記事が出ていました。

比較サイト上の業者が、実はすべて同一グループの経営
(各業者が同一グループとわからないようになっていた)
というバイクの比較サイトがあったそうです。すごい話ですね。
すでに閉鎖されているため、残念ながら?確認はできません。

保険をはじめ、様々な商品の購入を検討する際に、
比較サイトを利用するかたは多いのではないでしょうか。
最大手カカクコムのグループサイト月間利用者数
(ユニークユーザー数)は6703万人に上るとか。

しかし、比較サイトのビジネスモデルについて、
ご存じのかたはあまり多くないかもしれません。

私もそれほど詳しいわけではありませんが、
一般に、比較サイトの収入源は、販売実績や
顧客誘導実績に応じた手数料等の収入、
あるいは広告料、広告商品の販売収入などのようです。

比較サイトには「中立な第3者」というイメージがあります。
実のところ、その保証はありません。
例えば、手数料率の高い会社の商品に顧客を誘導することも
できてしまうような危うさがあります。
もちろん、そのようなサイトはほとんどないと思いたいです。

なお、保険の場合、募集代理店とは違い、
比較サイト自身には保険業法の規制は及びません。
保険の販売を行っているわけではないからです。

上場企業だからといって信頼できるとは限りませんが
(今回のアイケイ社は東証2部上場企業です)、
少なくとも実態が不透明な比較サイトは避けるべきでしょう。

そのうえで、比較サイトの情報を鵜呑みにせず、
最後は自分で判断するという姿勢が大事なように思います。
ネット時代の消費者も大変ですね。

 

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