金融モニタリングレポート

 

今回も金融庁関連で恐縮です。
年度替わりでいろいろと公表されるものですから…

昨年9月に公表された金融モニタリング基本方針の成果をまとめた、
「金融モニタリングレポート」が公表されました。
金融庁HPへ

本レポートは、

・金融システムの現状
・業態別の金融モニタリングの概要
・テーマ別の水平的レビューの概要
・当局としての取組み

という構成で、全部で111ページあります。

業態別のところでは、「3メガバンク」では海外G-SIFIsとの対比
(海外G-SIFIsについてかなり調べたようですね)が目立ち、
「グローバルな金融システムのなかでのメガバンク」という
金融庁の意識が強く伝わってきます。

また、「地域銀行」では、モニタリングの一環として
大口融資先へのヒアリングなども行っており、
ビジネスモデルの中長期的な持続性を探っています。

これらに比べると、保険会社(特に生保)のモニタリングは
あまり踏み込んだ話がなく、ちょっと拍子抜けしました。
問題がなかったということでしょうか?

あえて言えば、損保の統合的リスク管理(ERM)の記述が、

 「経営戦略と一体となったリスク管理態勢については、
 総じて整備途上」

 「エマージングリスクについては、リスクの洗出しなどの
 取組みを開始した段階」

など、前回のブログで取り上げた「ORSAヒアリング」と違い
「損保は進んでいる」というトーンではなかったこと。

生保に比べれば進んでいるとしても、絶対評価としては
まだまだということなのでしょうか。
もう少し記述があるといいのですが、10行ちょっとでは…

テーマ別の水平的レビューで私の目を引いたのは、
「内部監査」「ITガバナンス」のところです。
メガバンクの項目と同様に、海外G-SIFIsとの対比を通じ、
不十分なところを浮き彫りにしようという手法が見られます
(ITガバナンスの「連邦型」「中央集権型」など)。

全般的に、今回は海外大手金融機関の経営管理の把握に
力を入れたことがうかがえますね。

ちなみに今後についてですが、3メガバンクは

 「来事務年度においても、引き続き・・・」

とある一方、保険会社では、

 「引き続き、契約者や経営に影響を与える顧客保護等管理態勢
 や経営管理態勢を中心にモニタリングを強化する必要がある」

 「保険会社は規模やビジネスモデルが多様であることから、
 業務特性やリスクプロファイル等を踏まえ、リスクの高い分野に
 重点を置いたモニタリングを徹底する必要がある」

これだけを見ると、大手以外の会社に対するモニタリングを
強めていくのではないかと思えます(あくまで私の想像です)。

※松坂屋の姿がなく、免税店(ラオックス)が賑わっており、
 銀座の中央通りはだいぶ様子が変わりましたね。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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ORSAヒアリング

 

金融庁が「統合的リスク管理態勢ヒアリング」の結果を
HPで公表しました(6月30日)。
金融庁HPへ

ヒアリングの中身もさることながら、今回はORSAレポート
(≒ERMに関する自己評価)の試作と提出を要請し、
そのレポートに基づいてヒアリングを実施したことが特徴です。

しかも、対象となった保険会社・保険持株会社25社を見ると、
大手保険グループだけではなく、朝日火災、オリックス生命
といった中堅生損保や、かんぽ生命も含まれています。

注目される「ORSAレポートの提出義務化」に関しては、
「検討を引き続き行って参りたい」としかありませんでしたが、

・監督当局として各保険会社のERM態勢を、業界横断的に
 横串を通して把握するツールとして有用であることが確認できた

・多くの会社から社内・グループ内におけるリスク文化の醸成・
 ERM態勢の浸透に有用なものであるとの声が多く聞かれた

といった前向きなコメント。

今回はレポートの試作にあたり、予め項目を示した模様です。
この記載要領をどこまで示すべきかは悩ましいところでしょう。

自己規律という点を重視するのであれば、大項目だけを示し、
不足分はヒアリングでカバーすればいいと思います。
ただ、レポートを検証する行政当局は大変です。

他方、記載要領を細かく規定すればするほど、当局としては
横串を通しやすくはなるものの、記載要領に当てはめる作業が
ORSAレポート作成の中心になってしまいがち。
それでは何のためのORSAだかわからなくなってしまいます。

個人的にはあまり細かくしないほうがいいと考えていますが、
いかがなものでしょうか。

さて、内容についての詳細はHPでご覧いただくとして、
私が興味深く感じたのは次の2点です。

まず、ORSAの定義として広義と狭義の2つを示していることです。

狭いほうは、

「自らが抱えるリスク量と、リスクに対する備えとなる資本を比較する
 ことにより、自らの健全性を評価するもの」

と、文字通り「リスクとソルベンシーの自己評価」を示すのに対し、

「保険会社・グループが現在及び将来のリスクと資本等を比較し、
 資本等の十分性の評価を自らが行うとともに、リスクテイク戦略等の
 妥当性を総合的に検証するプロセス」

「ORSAは統合的リスク管理(ERM)における中核的なプロセス」

など、金融庁は広い意味でのORSAの定義も示しており、
ORSAレポートはこちらのORSAについての記載を求めています。
すなわち、「リスクテイク戦略等」を含むレポートです。

もう一つは、次のくだりです。

「損害保険会社に加え生命保険会社においても、リスク選好に基づく
 ERM フレームワークの具体的な整備を実施ないしは検討を開始する
 社があり、ERM 態勢の改善・充実が進展していることが確認できた」

前回のヒアリング結果には、「損害保険会社が進んでいる」という
記載はなかったので、興味深く読みました。

※今年も慶大で講師を務めました。質問は少なめでしたが、
 熱心な学生さんが多かったようで、うれしいですね。

 

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流動性リスクアペタイト

 

26日に金融庁が公表した、「大規模で複雑な業務を行う
金融グループにおける流動性リスク管理に係る着眼点(案)」
をご覧になったでしょうか。
金融庁のHPへ

このなかに出てくる「流動性リスクアペタイト」という言葉に
何だかひどく違和感を感じました。

リスクアペタイトの設定とは、一般に、どのようなリスクを
どこまで取ることを許容するかを経営として定めておくことです。

だから、「流動性リスクについてもリスクアペタイトを設定しても
おかしくないだろ!」と言われればそれまでなのですが、
私の違和感はおそらく次の2つから来るのだと思います。

まず、本来は全社ベースのリスクアペタイトがあって、
これに沿って各リスクのアペタイトが設定されるのに、
この着眼点はいきなり「流動性リスクアペタイトの設定と遵守」です。

「グループ全体として統合的に設定された流動性リスクアペタイト」
とあるのですが、そもそもグループ全体のリスクアペタイトは
どこへ行ってしまったのでしょうか。

今回対象とした「大規模で複雑な業務を行う金融グループ」
には全社ベースのリスクアペタイトがあるのが当然なので、
あえて書いていないのだとしても、ちょっと乱暴ですね。

もう一つ、リスクアペタイトの設定は、単にリスクへの耐久力を
決めておこうというのではなく、財務健全性を維持しつつ、
リターンを上げ、会社価値の向上を図るために設定するものです
(少なくとも全社ベースではそうだと思います)。

もっとも、そう書いたものの、もしかしたら銀行業界では
保険業界とは違い、リターンや会社価値の向上はあまり気にせず、
専らリスク許容度を決めることがリスクアペタイトなのかもしれません。
この分野では用語の使い方が異なることが時々ありますので。

とはいえ、金融安定理事会(FSB)のペーパーを見る限りでは、
FSBも、経営戦略との結び付きを重視しているようです。

まあ、取らないリスクについて、アペタイトを設定しても構わない
(経営状況によっては、積極的にそうすべき時もありうる)ですが、
こうして流動性リスクについてだけ「リスクアペタイト」と言われても、
私には「流動性リスクを積極的に取り、リターンを上げる」経営が
想定できないので、違和感を感じるのでしょうね。

なお、HPにある流動性リスクアペタイトの事例を見ると、

「強いストレスがひと月続く場合にも耐えうる余剰流動性資産を確保」
「一定のストレスが2、3か月続いても耐えうる余剰流動性資産を維持」
「1年間耐久可能な余剰流動性資産を保有」

などがあるそうです。
これならわざわざアペタイトと呼ばなくても、リスク管理方針でよさそうですが…

※某アイドルグループのグッズ販売に参戦(?)してきました^^

 

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生命保険の加入経路

 

今回も、少し前の投資家・アナリスト向け説明会から。

生保市場の動向を知るうえで最も利用されてる統計は
生命保険文化センターが3年ごとに調査している
「生命保険に関する全国実態調査」だと思います。
ブログ「生命保険実態調査」へ

最も引用されているのは「世帯加入率」だと思いますが、
「直近加入契約の加入チャネル」もよく引用されていて、

・全体の7割近くが生命保険会社の営業職員から購入

という結果が示されています(例えば2012年調査)。

ところが過日、第一生命が実施したIR説明会で、
これとは大きく異なる数字が出てきました。

第一生命によるアンケート調査によると、
民保販売員による生保加入は、かつては6割超だったものが、
2011/3期以降は4割まで下がっているというのですね。
第一生命のプレゼン資料(P16が当該スライド)

統計に誤差はつきものですが、7割と4割ではだいぶ違います。

そこで、似たような調査結果を探してみると、
全国銀行協会が2010年に実施した消費者アンケートに、
「最近5年以内の加入チャネル」というものがありました。
全銀協の資料へ(当該スライドはP11、12)

アンケートによると、保険会社の営業職員からの加入は、
全体の49.1%となっています。内訳も示されていて、

 ・死亡保険では56.7%
 ・医療保険等では41.1%

とのこと。いずれにしても「7割」からは遠い数字です。

公表されている統計の説明だけではその差をうまく説明できません
(特に第一生命のアンケートは調査要領が出ていない)が、
「生保の加入経路の7割は営業職員」と言い切ってしまうのは
ちょっと危険かもしれません。

 

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リスクポートフォリオの公表

 

日本と欧州の保険業界に共通した動きとして、
内部管理上のリスク関連情報を外部に公表する動きがあります。

例えば、内部管理上の資本十分性の定量的な開示
(ESRと言われる指標を公表)は、いまや標準となっています。

内部管理上の指標であり、比較可能性は担保されないものの、
規制資本をはじめ、現行会計に基づいた情報では、資本十分性や
効率性などを判断できないというコンセンサスがあるのでしょう。

今月のIR説明会では、MS&ADグループがリスクポートフォリオの
内訳と今後の方向性を公表し、注目を集めました。
欧州大手では一般的な開示ですが、日本ではソニー生命だけで、
大手損保グループでは初めてとなります。
説明資料へ(スライド20)

資料によると、政策株式のリスクが全体の40%弱と突出しており、
日本の自然災害(風水災、地震)をはじめとする保険引受リスク、
政策株式以外の資産運用リスクが、政策株式に次ぐ水準
(いずれも20%弱)となっています。

これを見ると、MS&ADグループが政策株式を減らそうというのも
納得できますね。

国内損保の保険引受リスクがそれほど大きくない一方で、
政策株式以外の資産運用リスク(国内損保)がそこそこ大きく、
ちょっと意外でした。

三井住友海上、あいおいニッセイ同和の出再保険料が
数年前に比べるとかなり増えているので(特にネットベースで)、
足元では自然災害リスクを相当抑えているのかもしれません。

リスクポートフォリオの内訳は、今後のグループ経営戦略を
理解するのに有効な手掛かりだと思いますので、
開示の動きが広がることを期待しています。

※母校が創立100周年ということで、近所に住む同窓生が
 握り寿司をふるまってくれました♪

 

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RINGオープンセミナー2014

 

土曜日はRINGの会オープンセミナーでした。
今年は出番がなかったので、3つのパネルディスカッションを
じっくり聞くことができました。
プログラムはこちら

10年後の保険代理店経営が今回のテーマとはいえ、
いま保険流通の世界では、やはり新たな保険募集ルールが
大きな関心事項となっているのですね。

第一部の参加者が例年より多かったように感じましたが、
皆さんの関心の大きさを示しているのでしょう。

このあたりの雰囲気は、同じ保険会社でも本社と現場では、
実のところ、かなりギャップがあるかもしれません。

今回私の印象に残ったのは、第二部の「オヤノコトネット」。

高齢の親を持つ35歳から59歳の子ども世代(=オヤノコト世代)
に対し、親のことを考える機会を提供し、この世代に必要な
商品やサービスを紹介する会社なのだそうです。

つまり、この会社が提供するのはプラットフォームであり、
商品やサービスを提供するのではありません。

潜在的な需要は大きいものの、ニーズの掘り起こしが難しい
「オヤノコト世代」向け商品・サービスに対するニーズ喚起を、
セミナーやイベントの開催等を通じ、商品・サービスの提供者に
代わって行うという仕組みです。

詳しくはHPに譲りますが、商品やサービスの提供者からすると、
いわば「ニーズ喚起のアウトソーシング」となりますね。
オヤノコトネットのHPへ

 

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第一生命のM&A

 

5/23のIR説明会で渡邉社長が米国市場の魅力を
やけに強調していたので、あれっと思っていたら、
さっそく大型買収のニュースがありました。

今回の米プロテクティブ買収により、第一生命の
連結修正純利益に対する海外事業の利益貢献度は
30%を超える見込みとのことです
(EVベースではどの程度なのでしょうね)。

買収金額の約5800億円は、時価総額に約35%の
プレミアムを加えた金額です。
買収コストを上回るシナジー効果をえるには
更なる利益成長を達成しなければなりません。

プロテクティブ社がなぜ第一生命の傘下に入ったのか。
S&P格付はAA-ですから、信用補完ということではなさそうです。

同社の発表資料によると、
「Dai-ichi Life’s financial resources and global presence
 will position Protective positively for the future.」
とあります。

同社は買収による事業規模の拡大を特徴としており、
これまではリテール事業の保有契約と既存の買収事業から
創出した資本を新規買収に投下するという事業サイクルでした。

第一生命のサポートを受け、これまで以上に買収事業に
力を入れるということなのでしょう。

第一生命も同社を「北米の成長プラットフォーム」と位置付け、
今の経営陣に引き続き現地の事業運営を委ね、
買収事業の取組規模の拡大を推進する方針です。

シナジー効果をえるには、PMI(買収後の経営統合プロセス)
がカギになるのだと思います。

保険事業はローカル色が強いとはいえ、グループの経営理念や
戦略、ERM態勢などを買収先にも浸透させる必要がありますし、
現地に委ねるだけではなく、言うべき時には言うという姿勢が
求められるのでしょう。

経営の執行はしないけど、統治を行う。
これって、欧米型ガバナンス(?)における取締役会の役割
(=経営の執行機関ではなく、監督機関)に通じるところがありますね。

とはいえ、東京海上に続き、グローバル保険グループへと
本格的に舵を切った第一生命に、注目したいと思います。

※写真は...どこでしょう?

RINGの会 オープンセミナー
 ↑申込締切日は6/9(月)だそうです。お早めに!

 

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主要生保の決算から

 

3メガ損保に続き、こんどは主要生保の決算について。

今回は「保険料等収入の減少」「逆ざや解消」のほか、
個人契約者への配当に注目が集まりました。

「大手増配、1000万人対象」(日経)
「大手生保 好業績で増配相次ぐ」(NHK)

とはいえ、主要生保9社の基礎利益が約2兆円で、
前期に比べて2000億円増えたのに対し、
個人契約者への配当は多くみても合計1000億円程度。
増配分はせいぜい数十億円です。
報道の大きさの割に、実額は限られていることがわかります。

その一方で、各社が内部留保にまわした金額は、
追加責任準備金を含めると1兆円を超えています。

このような動きをどう見るか。

一つは基礎利益が示すほど、生保経営は改善していない
(少なくとも当事者である生保の経営者はそう考えている)
ということかと思います。

例えば、日本生命の児島一裕常務執行役員は、

「金利水準が一定程度上昇することが確認できるまで
 増配の判断は難しいと考えている」

とコメントしています。

平均予定利率は徐々に下がってきたとはいえ、
過去の高利率契約は依然残っています。

基礎利益の増加を支えているのは利息配当金収入
(外貨建資産の増加などが主因)であり、
保険関係ではありません。
むしろ危険差益・費差益は減少気味です。

また、控えめな配当還元と内部留保の強化を踏まえると、
自分たちが確保したいと考える健全性にはまだ至っていない
ということがうかがえます。

「規制強化が予想されるから」という理由ばかりではなく、
そもそも生保の2大リスクである「株式」「金利」などに対し、
自社が考える十分な健全性を確保できていないのでしょう。

もっとも、第一生命やT&Dのように、リスクと資本の関係を
公表してくれなければ、本当のところはわかりません。

「貯めこんでいないで契約者に還元しろ」と批判される前に、
非上場会社も何らかの手掛かりを示したほうがいいのではないでしょうか。

※昨年9月に収穫したブドウでできたワインで乾杯しました!
 千曲川ワインバレーの記事へ

 

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損保の決算発表から

生損保の2014年3月期決算の発表が続いています。
3メガ損保グループは先週20日に発表がありました。

生保でもすでに上場会社と日本生命が発表しており、
来週初に主要会社の決算が出そろいそうです。

好調といわれる3メガ損保グループの決算を
ざっと眺めてみました。

料率引き上げによる保険料単価の上昇を主因に
自動車保険の損害率が大きく下がっています。

ところが、国内損保事業全体でみると、
リトンベースの損害率低下に目を奪われがちですが、
E/Iベースの損害率はたいして下がっていません
(NKSJ合算ではむしろ上昇していますね)。
やはり2月の大雪の影響が大きかったようです。

日本損害保険協会によると、2月の雪害による
保険金支払見込額は2536億円に達したそうです。
なかでも埼玉県と群馬県、それに東京都の金額が
膨らみました。
損保協会のHPへ

3メガ損保はいずれも25%超の市場シェアですが、
強い地域、弱い地域があるということなのでしょう。

グループ企業価値の拡大という点では、
国内損保事業の貢献はまだそれほど大きくありません。

株価上昇による影響が最も大きく、これに続くのが
国内生保事業の増加で、この二つが大半を占めています
(東京海上は海外保険事業も相当貢献しています)。

NKSJでは修正利益の8割を生保事業が占め、
MS&ADでも生保EVの増加が1600億円と、
グループコア利益(948億円)を大きく上回っています。
メガ損保は生保事業に支えられているのですね。

※写真は都電荒川線です。

 

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2024年の保険ビジネス

 

先日、ある会合で金融庁幹部のかたが、
「10年後に大きく変わっている保険ビジネスは?」
という問いかけをしていました。

なんだかRINGの会のオープンセミナーみたいですが
(「2024年、進化した保険代理店が業界を変える」が
 今回のテーマですね^^ → オープンセミナーのHPへ
彼の答えは自動車保険でした。

今後10年間で自動車は大きく変わることが予想されます。

すでに「自動ブレーキ」は小型車でも普及しつつあります。
人間を障害物として見分けるのはまだ難しいようですが、
ブレーキ技術は日進月歩のようです。

「走行ビッグデータの活用」も影響が大きいと言います。
自動車の走行データに基づき保険料が決まる
「Pay As You Drive」はすでに一部で始まっていますね。

車両に関するデータをうまく収集・分析すれば、
省燃費や安全性の向上などにもつながりそうです。

さらに、「自動運転」も、もはや夢の技術ではありません。
すでに高速道路の自動運転くらいなら可能になっているとか。

そんな時代の自動車保険ビジネスはどうなっているのでしょうか。

「事故が起こりにくければ保険料率が下がる」
「ハイテク化が一段と進み、支払単価が上がる」

こういった変化にとどまらず、そもそも誰が保険に入るのか。
自動車オーナーなのか、あるいは自動車メーカーなのかも。

今の自動車保険は「ヒト(=人身傷害など)」「モノ(=車両保険など)」
「賠償責任(=対人、対物など)」の組み合わせです。

しかし、車が自動運転となった時代の保険とは、もしかしたら、
今の延長線上ではないのかもしれません。

※写真は台湾の保安駅です。日本国有鉄道の香りがしました。
 縁起切符でも有名だとか。

 

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