東洋経済「生保・損保特集号」

null null

先週末に2009年版の「生保・損保特集号」が出ました。
今回は「販売チャネル 終わりなき改革」という副題がついています。
必ずしも販売チャネルの話ではありませんが、
私も原稿を書いていますので、まずはそのご案内です。

東洋経済のHPへ

タイトルは「ポスト金融危機の保険経営」。
金融危機が保険会社経営に与えたインパクトについて触れたうえで、
ポスト金融危機の保険経営について、

 ①リスク管理態勢の見直し
 ②製販の関係正常化

という二つのテーマを述べています。詳しくは特集号をご覧下さい。

とは言いながら、実のところ手元にまだ特集号がないので
全体像を確認していません(冷汗)。
近いうちに特集号についてもコメントしたいと思います。

※前回に続きパリのマルシェ(市場)です。
 地下鉄Nation駅のそばで、水曜と土曜に開かれます。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

カテゴリーの細分化

null null

ブログを始めて約1年。過去の記事を探すのが大変になったので、
右下にある「Category Archive」を細かくしてみました。
ご活用下さい。

しばらくは引き続き週3回のペースで書いていくつもりです。

※写真はパリの市場で見た野菜や魚介類です。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

お宝保険

null null

1990年代前半までに加入した保険は「お宝保険」と言われています。
予定利率が高く、保険料が割安であるためです
(特に貯蓄性のある養老保険や終身保険、個人年金保険)。

1日の日経7面の特集記事「金融を問う」は保険についてでした。
見出しは「保険商品 見えぬ中身」「情報提供不足、比較難しく」です。

この記事のなかで「お宝保険」が出てきます。
FPのかたのコメントとして、「お宝保険の多くが転換されてしまった」
とありました。他のFPからもしばしば同じことを聞きますので、
現場ではお宝契約が転換されてしまった事例が非常に多いのでしょう。

しかし、だからといってお宝契約がなくなったわけではなさそうです。
データを見るかぎりでは、保険会社の勧めに乗らず、
お宝をキープしている契約者も決して少なくないと思われます。

直近の日本生命のディスクロージャー資料をみると、
1995年以前に契約した個人保険、個人年金保険の責任準備金は
依然として17兆円あり、全体の57%を占めています。

このうち個人年金(=転換話法が使いにくい)の内訳は不明ですが、
個人年金全体(1996年以降を含む)の責任準備金が8兆円なので、
少なくとも養老保険や終身保険といった、転換を勧められやすい
個人保険がまだまだ残っていることになりますね。

他の大手生保でも、概ね日本生命と同じような状況でした。

お宝契約が多数転換されてしまったのは間違いないのでしょうが、
賢い消費者も多いと言えそうです。

※地元・大倉山ではこの週末にお祭りがあります。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

SMR見直しのパブコメ

null null

金融庁が8月末に公表したソルベンシー・マージン比率の見直し案について、
あくまで個人的にではありますが、コメントを出しました
(なお、コメントの募集は29日の夕方に締め切られています)。

内容は二つ。
一つは責任準備金の一部(保険料積立金等余剰部分)に
算入制限を設けることについてです。
全く算入しないというのであれば、それはそれで理屈がつくのですが、

「期限付劣後ローン等の負債性資本調達手段等と合算して、
 中核的支払余力(コア・マージン)を限度とする」

という案が示されています。そうすると、

・トータルバランスシートアプローチ(=支払い余力を確保するにあたり、
 負債でも純資産でも同列に扱う)ではないということか?
 すなわち、負債中のサープラスは重視されないということか?
 経済価値ベースのソルベンシー規制に移行した際はどうなるのか?

・標準責任準備金(=純保険料式)の達成よりも、コア・マージンを
 優先すべきなのか?
 いわゆる純保行政との決別なのか、それとも両方求めるのか?

・経済価値ベースの負債評価やリスク管理を促す一方で、
 会計上の純資産をあまりに重視すると混乱を招かないか?

などの疑問が浮かんできます。このあたりを確認してみました。

もう一つは実施時期の問題です。
2012年3月期からの導入となっていますが、少し遅いのではないでしょうか。

EUで経済価値ベースのソルベンシー規制(=ソルベンシーⅡ)が
導入されるのが2012年。IAISもグローバル規制の実現に向けて
精力的に動いています。
日本のこの動きを無視することはできないはずですが、
この見直し案の実施直後に新たな見直しが可能なのでしょうか。

健全性規制に明るくないかたには、ややわかりにくかったかもしれません。
ご容赦下さい。

※写真は伊勢・おかげ横丁です

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

生命保険の全国実態調査

null null

最初にお知らせです。
今週水曜日(30日)の午後、セミナーインフォ主催のセミナーで
講師を務めます。演題は「ポスト金融危機の保険会社経営」です。
少人数で3時間のセミナーなのでそこそこの値段ですが、
まだ席があるようですので、ご関心のあるかたはお越し下さい。
セミナーインフォのHPへ

生命保険文化センターによる「生命保険に関する全国実態調査」
の直近版が17日に公表されています(速報版)。
この調査は3年ごとに行われており、今回の調査は
2009年4月から5月にかけて実施されました。

全生保の世帯加入率は90.3%でした。
ただし、今回から都道府県民共済、コープ共済、全労済が
新たに集計対象となったので、従来ベースでは86.0%でした。

民間の生命保険会社だけでは76.2%と、3年前の76.4%から
ほとんど変わっていないように見えます。
しかし今回から、かんぽ生命(5.7%)が含まれているので、
単純に見れば、実質的には6ポイント近くも下がったことになりますね。

過去の統計では、数値がこれほど下がったことはありませんが、
前回を異常値とすれば、1994年度(82.5%)をピークに、
毎年1ポイントくらい下がっているトレンドとなります。

加入率の低下は、調査のたびに回収サンプルの世帯年収が減り、
かつ、高齢化が進んでいることが大きいようですが、
世代別の加入率(速報版では公表されていません)など、
もう少し細かいデータがあれば、さらに何かわかるかもしれません。

もう一つ注目したのは、生活保障に対する考え方です。
世帯主に万一のことがあった場合に期待できる経済的準備手段を
複数回答で聞いたところ、トップは生命保険となっているものの、
回答率は57.5%と調査のたびに下がっています。
ちなみに1997年度の調査では72.4%ありました。

預貯金等は43%で概ね横ばい。不動産も2割程度で横ばいです。
何が増えたのかといえば、「期待しているものはない」という回答で、
1997年度の12.6%から2009年度は21.3%に上がりました。

生保破綻や金融危機などを経験した結果、このような冷めた回答が
増えているのかもしれません。

※写真は米国で見た銀行ATMのドライブスルーと
 セルフ式ガソリンスタンドです。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

連休中の読書

null   null

体調がいまいちだったこともあり、連休は自宅でだらだらとすごしました。
連休中に読んだ2冊の本について簡単にコメントします。

1.「プロジェクトファシリテーション」関尚弘・白川克 日本経済新聞出版社

最初にお断りですが、著者の一人である関さんは昔からの友人なので、
中立的な立場からのコメントではないかもしれません。
その点を割り引いても、まさに迫真のノンフィクションです。

副題に「クライアントとコンサルタントの幸福な物語」とある通り、
本書は実際に古河電工で行った業務改革プロジェクトについて
立場の違う二人が交互に語っています。

タイトルをはじめ、カタカナがたくさん出てくるので、
最初はやや抵抗がありました。
でも、関係者が実名で登場するので非常に臨場感がありますし、
コンサルタントの書いたノウハウ本を読むよりも、ずっと参考になりそうです。

保険業界とは直接関係ないかもしれませんが、
普通のミドルが外部の力を借りてプロジェクトを成し遂げた記録は
私たちに勇気を与えてくれるのではないでしょうか。

2.「尊敬される保険代理店」千田琢哉 マネジメント社

「セールスよりもマーケティング」
「凡人でも売れてしまう仕組みを構築すること」

筆者の主張はよく理解できますし、私もそう思います。
保険代理店の依存心の強さや、「俺がやれば売れる」は
組織作りにはタブーという考えにも同感です。

ただ、代理店経営のあり方に触れた第一章、第二章と、
全体の7割近くを占める第三章「保険業界に愛をこめて、六〇のメッセージ」が
私にはどうもうまく結びつきませんでした。
具体的なノウハウと言うよりも、精神的な話が多いようです
(ターゲットとした読者には好感されるのかもしれませんが)。

また、凡人でも売れてしまう仕組みをどう構築するのかという点は、
見たところ本書ではあまり触れられていないようです。
ここが読者には一番知りたいところだと思うのですが。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

日系生保の中国ビジネス

null null

日本生命が中国での合弁生保のパートナーを変更したと発表しました。
これまでのパートナーだった上海広電が経営危機に陥ったこともあり、
中国農業銀行(中国4大銀行の一つ)系の金融サービス会社である
長城資産管理公司を新たな合弁相手として再出発するそうです。

合弁相手の経営危機がきっかけですが、合弁相手の変更により
従来のエージェントを通じたビジネス中心から銀行窓販中心へと
ビジネスモデルも大きく変わるのではないでしょうか。

中国の保険市場の規模はまだまだ小さいものの、
経済成長とともに高成長が続いています。

ただ、外資の実質的な参入規制はかなり厳しいです。
例えば生保の場合、外資の出資制限は50%となっており、
外資系企業として50%出資の合弁会社を設立するか、
あるいは中国系企業に部分出資するかしかありません。

地域制限や種目もあります。外資系企業への免許は通常、
地域限定免許かつ種目制限付きです。
もっとも、今回の日本生命のリリースには、
「中国全土における事業展開を目標」とあるので、
もしかしたらハードルを越えることができているのかもしれません
(あくまで想像ですが…)。

参入規制が厳しいのは、商品・サービスで見劣りする
中国系企業を守るためと言われています。
最初に上海に進出したAIG(100%出資)が短期間のうちに
市場シェアを獲得したため、という話も耳にしたことがあります。

他方、東京海上や住友生命のように、部分出資で中国企業として
参入したケースでは、成長は速いものの、今度は当初の出資比率を
維持できないという問題が発生するようです(一般論として)。

中国は日本の大手として無視できる市場ではありませんが、
成長の果実を得られるのはいつになるのでしょうか。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

民主党政権のはずが…

null null

郵政・金融担当大臣に国民新党の亀井静香氏が就任し、
消費者・少子化担当大臣には社民党の福島瑞穂氏が就任しました。
金融・保険セクターに関係の深い大臣はいずれも民主党ではなく、
連立相手からの選出です。
民主党は金融を重視していないのでしょうか?

欧米ではいまだに金融危機の火がくすぶっていますし、
規制強化の動きはまさに佳境に入っているところ。
日本からも意見を言っていかなければなりません。

「今の金融は極めて異常で金融機関は反省しなければならない」
「金融機関は社会的使命をもっと考えるべきで今の状況はそれとかけ離れている」
(17日付日経の亀井大臣のコメント)

なかなか大変なことになってきましたね。

※写真はパリのカフェです。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

ヨーロッパ便り(その5)

null null

ヨーロッパの都市に行くたびに、路面電車と自転車の存在感が
高まっているなあと感じます。

最近の路面電車はLRT(Light Rail Transit)と呼ばれています。
昔ながらののんびりした乗り物ではなく、最先端の交通手段です。
低床車なので乗りやすく、スピードもかなり出ます。
写真はアムステルダムのトラムですが、最近ではパリにも
LRTが登場したようです。

そのパリを歩いていて目立つのが、VELIB(ヴェリブ)というレンタサイクルです
(右の写真)。
町のあちこちに無人のステーションがあり、クレジットカードなどを使って
自転車を借りる仕組みになっています。
パリの道路は車が多く、自転車レーンの整備もまだまだですが、
おそらく何年か経てばもっと走りやすくなるでしょう。

オランダやドイツの都市ではもっと自転車が目立ちます。
特にオランダでは自転車が都市交通の重要な乗り物とされていて、
主な道路には必ず自転車レーンがあります。
市内を走る自動車が少ないので、おそらく制限しているのでしょう。

いずれにしても、自動車中心の都市交通から脱却しようという
取り組みなのでしょう。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

ヨーロッパ便り(その4)

null null

日本に帰ってきました。
昨日は夜の飛行機だったので、ビュルツブルクにちょっと寄り道。
人気の観光ルートであるロマンチック街道の起点の町です。

観光客ばかりかと思いきや、土曜日の中心部は買い物客がたくさん。
日曜日は基本的にお店が休みなので、土曜日は買い物の日なのですね。
大きな荷物を持った家族連れがたくさんいました。

ドイツには小売店の営業時間に関する法律があって、
数年前までは、平日は午後6時ころまで、土曜日は午後2時までしか
営業できませんでした。日曜日は営業禁止です。
労働者や規模の小さい小売店を保護するのが目的だったように思います。

ただ、近年は徐々に営業時間の制限が緩められています。
数年前には平日も土曜日も午後8時まで営業できるようになり、
さらに、今ではかなりの州で平日の24時間営業や日曜日の営業が
可能となりました(州によって違います)。

ビュルツブルクのあるバイエルン州の現状は確認できていません
(ネットによると、他州よりも緩和されていない可能性が高そうですが…)。
ただ、見たところ「土曜日の買い物」という習慣は続いているようです。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。