人口増加の恩恵がなくなる

7/17付の保険毎日新聞に、先日開催されたRINGの会オープンセミナーの全面記事が掲載され、私がコーディネーターを務めた第1部パネルディスカッション「自由化後20年 保険ビジネスはどこに向かうのか」の詳細な紹介もありました。
コーディネーターではありましたが、パネルの最初のほうで話をしたので、記事には次のようなコメントが載っています。

<以下引用です>
植村氏は、日本におけるこれまでの20年と今後の人口の変化について説明し、「少子高齢化は進行しつつあるが、会社を引退しても社会生活を送ることから、保険の顧客が増えてきたことが、代理店がこれまで生き残ってきた最も大きな背景にあるのではないか。今後は確実に総人口数が減少することから、こうした状況を理解したほうがいい」と訴えた。
<引用おわり>

読んでもいまひとつピンとこないと思いますので、グラフを見ながら解説しましょう。
下のグラフは高齢社会白書(平成29年版)の「図表1-1-6 高齢世代人口の比率」で、よく見るグラフとは反対に、高齢層から順番に積み上げてあります。

過去20年間の動きをみると、15~64歳のいわゆる生産年齢人口は減っていますが、65歳以上の人口が増えたので、保険加入の対象となる人口は微増から横ばいといったところでしょうか。
さすがに80歳以上になると自動車にもあまり乗らなくなり、保険加入の対象というには厳しいかもしれませんが、65歳で仕事を引退しても普通は家に引きこもるのではなく、自動車にも乗り続けるでしょうから、保険加入の対象であり続けます。つまり、過去20年間は、少なくとも人口面にかぎればマイナス成長ではなかったということです。

しかし、これからの20年は違います。生産年齢人口が本格的に減っていくので、高齢者が増えても追いつきません。
「自由化で大変と言われていても何とかやってこれたので、これからも大丈夫だろう」という考えは、特に都市部の場合、人口増加に支えられていた面もあるので、さすがに甘いのではないか、会場ではそのようなことを申し上げました。

それにしても、出生率の低下は世界的な現象とはいえ、ここまで人口減が見込まれる先進国は日本だけ。政治の役割は大きいはずなのですが、ため息が出てしまいます。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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