金融庁が2012年に公表した「ERMヒアリングの結果について」には
次のような記述があります。
「リスク管理部門の担当役員は、前回ヒアリングと同様に『人事
ローテーションの一環』『リスク管理以外の部門も兼務』『専門性を
重視した人事ではない』といったコメントがあり、担当役員がリスク
管理と親和性の低い部門を兼務していたり、ERMの構築・実行に
おいて求められる専門性が必ずしも重視されず、スタッフに支えられ
ていたりする姿が浮き彫りになった。」
「『ここ数年、毎年のように担当役員が交代』『親会社や親密先から
専門性とは無関係に就任』という事例もあり、会社としてどのような
人材を担当役員にするかという考え方が必ずしも明らかではない社
もあった。」
今回の出張でも感じましたが、欧州大手保険グループのCRO
(チーフ・リスク・オフィサー)は上記のような担当役員とは違い、
自分の言葉でリスクについて熱く語るかたが多いです。
あるCROは「いいERMとは形を整えることではない」という説明を、
紙にいろいろと書きながら、整然と話してくれました
(せっかくなので、その紙もいただいてきました^^)。
また、別のCROから興味深い取り組みを聞いた際に、
「なかなかいいアイディアですね」と応じたところ、
「試行錯誤の連続で、たまたまめぐり合えたんですよ」
など、手作り感あふれる答えが返ってきました。
組織や文化の違いもありそうですが、CROにアポを取ると、
出席するのはCROのみで、スタッフが同席することは
まずありません。これは金融庁時代の出張でもそうでした
(そもそも場所が執務室内のテーブルだったりします)。
事前にこちらの関心事項を示しているとはいえ、
そこそこ専門的な内容もあります。
それでも自分で全て語れてしまうんですね(結構楽しそうに)。
もともと専門性が高いうえに、常にいろいろと考えているのでしょう。
※写真はシャルトル大聖堂です。世界遺産に登録されています。