早いもので今年も残すところあと2日。
今回は最近読んだ本の中から3冊ご紹介します。
「金融再編の深層 高橋温の証言」
1998年から2005年まで住友信託銀行(現三井住友信託銀行)の
社長を務めた高橋温さんが、日本長期信用銀行との合併交渉や
UFJ信託銀行の買収交渉など、過去20年間の金融危機・再編を
当事者として語った本です。
「自らが体験した事実をきちんと書き残し、経営者としての
私の経験をぜひ、今後の教訓として生かしてほしいと考えた」
とあるように、本書は、長銀の合併問題やUFJ信託の争奪戦など、
高橋さんが大手信託銀行トップとして関わった事件についての
貴重なオーラルヒストリーです。
「なぜUFJは三井住友ではなく、三菱東京を選んだのか?」
という問いについても高橋氏の考察があり、興味深く読みました。
「医療保険はすぐやめなさい」
著名FPの内藤眞弓さんによる最新刊です。
タイトルや帯は刺激的(「やめた人から得をする!」とあります)
ですが、民間医療保険との付き合いかたについて
丁寧にわかりやすく書かれています。
特にいいなと思ったのは、がんの治療費の目安です。
がんになったら、実際に「いつ」「どれだけ」費用がかかるのか。
内藤さんはまずここから解説したうえで、保険に頼れる部分と
そうでない部分を示しています。
それにしても、がん保険は難しい。
死亡保険と違い、給付金が支払われる条件が様々なのですね。
例えば、2回目以降の診断給付金を受け取る条件には
4パターンもあるそうです。
「部下を持ったら必ず読む『任せ方』の教科書」
著者はライフネット生命のCEO、出口治明さんです。
私は本書がターゲットとしている読者層ではなさそうですが、
日本の会社、日本的経営ガバナンスについて考えるなかで、
たまたまこの本と出合いました。
・決定権を持つものが一人で決める
・異質な社員に権限を委譲し、任せる
・課長の決定に、部長は口を出してはいけない
・労働時間から「労働生産性」に焦点を変える などなど
おそらく本書で出口さんが説く「あるべきマネジメント」の
裏返しが、日本の会社には多いのではないでしょうか。
もちろん、タイトルに「部下を持ったら必ず読む」とある通り、
本書には上司になったら何をすべきかを考えるヒントが満載です。
※写真は年末でにぎわう築地場外市場です。