最近の読書から

3日の保険毎日新聞に書評が載りました。せっかくですので、これに加えて最近読んだ本もいくつかご紹介しましょう。

「保険業界戦後70年史」

保険毎日新聞で書評を書いた本です。題名が示すとおり、日本の保険業界が戦後70年間にたどってきた歩みを、ベテラン業界人の目線でまとめたものです。著者の九條守氏(おそらくペンネームでしょうね)は大手損害保険会社を退職した後、保険代理店の指導・教育に携わったかただそうで、特に保険の販売現場に関わっている業界人には読みやすいと思います。
新聞でも取り上げましたが、「この頃の商品認可は、大蔵省の指導によって、開発会社に対して数か月の発売時期の先行メリットが与えられ、その他の会社は開発会社から認可内容が開示された内容で追随認可を得るようになっていました」といったことが1990年代の前半まで続いていたなんて、若い業界人はびっくりするかもしれませんね。

「脳が壊れた」

本書は、41歳で脳梗塞に襲われたルポライターが、自らの闘病体験を冷静に見つめ、記録したものです。
脳梗塞を発症すると、一命を取りとめても何らかの後遺症が残ることが多いようで、筆者の場合には「高次脳機能障害」でした。身体の障害とは違い、高次脳機能障害は外部から(最初は本人にも)わかりにくく、周囲の理解を得るのが大変なのですね。
それにしても筆者の鈴木大介さんは、よくぞここまで自分を冷静に「取材」したものだと感心しました。

「陰謀の日本中世史」

ベストセラーとなった「応仁の乱」の著者である呉座勇一さんの本です。歴史学者としての危機感が本書を執筆した動機の一つなのだそうで、陰謀論を無視するのではなく、客観的・実証的に分析している姿勢に好感を持ちました。
まえがきに書かれている「何が陰謀で何が陰謀でないかを見極める論理的思考能力を身につける必要がある」というのが本書最大のメッセージで、陰謀の法則性を導き出そうとしているのが特徴です。

「検察側の罪人(上・下)」

私の書評にフィクションが出てくるのは珍しいですよね。
木村拓哉と二宮和也というジャニーズの2人が初めて共演した同名の映画を家族で観に行って、いろいろと釈然としないところがあったので、原作をスイス旅行中に読みました。写真のようなアルプスの景色を眺めながら読むのに相応しかったかどうかはわかりません^^
ベテランのエリート検事(映画ではキムタク)と若手検事(ニノ)の対決は、映画よりも原作のほうがスリリングでしたし、ラストで若手検事が慟哭するのは同じでも、原作のほうが現実感がありました。もちろん、現実にこんなことが起きてしまっては困るのですが…

※写真はグリンデルワルトです。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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