保険と助け合い

 

前々回ご紹介した「物語で読み解く リスクと保険入門」のなかに、
「『一人は万人のために、万人は一人のために』理念募集の限界」
という記述があります。

私も「仕組みとしての相互扶助」と「相互扶助の理念」は別の話
と思っていましたので、これを読んで思わずうなずいてしまいました。

本書では次のように整理しています。

「保険の仕組みが社会的に有用であるのは、相互救済の理念を
 実現するための手段を提供しているからではなく、
 保険という仕組みをとおして社会的に有用な機能を発揮しているため」

「保険が存在した場合には、社会全体のリスクを軽減できる。
 まさにこのことこそがビジネスのなかで保険が存在する根拠である」

いかがでしょうか。

万人が支払った保険料が一人のために使われるのは確かです。
でも、それはあくまで保険という仕組みの話であって、
保険に加入するのは自分のため、すなわち、
「将来の経済的な不確実性を減らすために加入する」
というのが原則でしょう。

相互扶助を目的とした組織を否定するものではありませんが、
保険事業は助け合いのために営まれているわけではないと思うのです。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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