ロイズについて調べ物をしていたら、米山高生先生の
著書「物語で読み解く リスクと保険入門」のなかに、
ネス湖の怪獣ネッシーを捕獲した際の懸賞金の補償を
ロイズが引き受けたという話が載っていました
(ちなみにそれを調べていたわけではありません^^)。
米山先生はこの件について、
・保険集団による危険の分散ができないのに
ロイズはなぜリスクを引き受けることができたのか?
・このようなリスクの引き受けを保険契約と呼べるか?
という疑問を持ったそうです。
「1つめの疑問はロイズの資本力と再保険ネットワークで
解決できるとして、ネッシー保険のような保険集団を
構成しない保険を保険契約と考えるのは妥当なのか」
米山先生は2つめの疑問への暫定意見として、
「保険会社が保険契約の様式でリスク移転の契約を行えば、
そのリスクをどのように手当てしたとしても保険契約である
と考えるのが自然」
と述べられていますが、皆さんはいかがでしょうか。
リスクマネジメントという観点からすると、
私の関心はやはり1つめの疑問にあります。
ロイズは「スペシャリティ」と呼ばれる企業向けの
特殊な保険を引き受けることが強みの一つとなっています。
ある程度はモデル等で管理できる部分もあるとはいえ、
基本的にはハイリスク・ハイリターン型のビジネスです。
この本によると、ロイズはギャンブル性の高い契約をしていた
一部のアンダーライターと決別するなど、市場としての規律を
保つための継続的な努力が行われてきたとのこと。
それでも個人が無限責任を負う長年の仕組みは
さすがに困難となり(1990年代初めの「ロイズ危機」)、
現在はほとんどの出資者が有限責任となっています。
ロイズ市場の運営も各シンジケート任せというわけではなく、
コーポレーション・オブ・ロイズがシンジケートを管理し、
リスクを分析しているようです(公表資料を参照)。
ただ、このビジネスの特性を考えると、最後は各シンジケートの
アンダーライターによるところが大きいのだとは思います。