有価証券評価損

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12月期決算発表を前に、富士火災、損保ジャパン、あいおい、日本興亜と、
上場損保各社の有価証券評価損の発表が続いています。
金額の大きさから、市況悪化の影響の大きさが伺えます。

ただ、気をつけなければいけないのは、評価損の大きさ、イコール
市況悪化が経営に与えた影響ではないということです。
それなりに連動しますが、かなり異なることもあります。

例えば、上場損保では、保有する有価証券の時価が
取得価額を3割以上下回った場合に評価損を計上しています。
このため、評価損が大きくなる一方、含み損として残る部分は限られます。

他方、多くの会社では原則適用、つまり5割以上で評価損を計上し、
3~5割の部分は会社の判断で決めるという方法です。
上場損保がこの方式だったとしたら、評価損がここまで膨らむことはなく、
損益計算書への影響はもっと軽かったはずです。
その一方で、有価証券含み損が膨らむことになります。

いずれの方式を採用したとしても、市況悪化が会社価値に与える影響は
原則同じです(税効果はやや微妙ですが)。

したがって、有価証券評価損の大きさだけではなく、
純資産や含み損益、ソルベンシー・マージンなどがどうなったのかを
合わせて判断する必要があるというわけです。

※写真は東京国際フォーラムです

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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