主要生保の2011年3月期決算が出そろいました。
報道とは少し違う視点からコメントしてみましょう。
保険料等収入で明治安田生命が第一生命グループを
逆転したことが話題になっていますが、
一時払い商品の販売しだいで大きく変わるので、
あまり意味があるとは思えません。
私が注目したのは営業職員数の減少です。
ここ数年、主要生保は営業職員チャネルの改革に取り組み、
職員を数年かけてじっくり育てる姿勢を打ち出していました。
そのためか、主要生保の営業職員数は2008年3月期を底に
増加傾向にありました。
ところが2011年3月期の職員数は、前期に比べ大きく減っています
(8社合計で21.4万人 → 20.4万人)。
現場で何が起きているのか気になるところです。
震災の影響がそれほど大きくなかったため(?)、
報道ではソルベンシー・マージン比率の新基準も注目されました。
「基準の厳格化 → 株式売却」といった思い込みに近い
報道が目立つなかで、ロイターは一味違う記事を出しています。
記事によると、住友生命は「特別の行動を取ることは考えていない」、
日本生命も「従来のスタンスを大きく変えることなく、資産運用していきたい」
と述べたとのこと。
これを見ると、各社の目線はすでに新基準への対応ではなく、
その先にあることが伺えます。
他方、「規制強まり体力低下」という見出しをつけたのが朝日新聞。
最もしてほしくない誤解を全国紙がやってしまいました。
比率の算出基準が厳しくなった、つまり、モノサシが変わったのであって、
保険会社の体力が変わったわけではありませんよね。
「従来の基準より6割ほども下がった」、というのも変です。
1000%前後のものが600%前後に下がったのですから、
「4割ほども下がった」あるいは「従来の基準の6割ほどに下がった」
のはず。
あまり難しい話ではないと思うのですが。
※写真は募金活動をしていた宮城県登米市の中学生たちから
いただいたカードです。修学旅行のプログラムとして
自分たちで募金活動を企画したとか。いい話ですね。