少し前の話で恐縮ですが、12日の日経夕刊のコラム
「震災が加速する経済の構造変化」は、
非常によくまとまっていて、頭の整理になりました。
執筆者はJPモルガン証券の菅野雅明さんです。
長い文章を書くほうが大変と思われがちですが、
限られたスペースで簡潔に述べるほうが難しいのですね。
さて、菅野さんは、今後予想される経済の変化について
次の4点を挙げています。
1.日本企業の海外生産比率の上昇
・日本企業は企業活動の地理的リスク分散の観点から
海外シフトを一層加速させる。
2.財政悪化の加速
・地域復興のためには、赤字国債発行による財政出動は
必要だが、同時に一部増税による財源手当てについても
あらかじめ合意しておく必要がある。
3.デフレ脱出・インフレ傾向への転換
・今後供給網の回復の遅れからボトルネックが生じ、
局所的な需給逼迫を背景に価格の上昇を引き起こしやすい。
4.迎合主義の台頭の可能性
・大災害の後には人々のストレスが高まり、「口に苦い良薬」は
政策の選択肢から外される傾向が強まる。
考えてみれば、3を除けば震災による変化というよりは、
それ以前からの動きが震災で加速されるというものです。
つまり、ソフトランディングを実現するために残された時間は、
震災でより短くなったと理解すべきでしょう。
※写真は町田市の「尾根緑道」です(24日)。
かつてここは戦車のテストコースだったとか。