ドイツ生保と低金利

 

少し前の話で恐縮ですが、IMFがドイツ銀行を
システミックリスクの影響が最も大きい銀行と
指摘したというニュースをご覧になったでしょうか。

遅まきながらIMFの報告書(6/29公表)を確認したら、
これはドイツに対する金融セクター評価プログラム
(FSAP)のストレステストに関するものでした。
IMFのサイトへ

FSAP GERMANYなので、G-SIBに指定されている
ドイツ銀行のシステミックリスクに関する分析結果が
載っていたのですね。

次回のFSAP JAPANでは、3メガバンクの分析結果が
出ることでしょう。

ところで、この報告書にはドイツ生保のストレステスト
の結果も示されています。

金利低下や株価下落、公社債のスプレッド拡大
といったショックに対し、ソルベンシーIIのSCR比率
(日本で言えばソルベンシーマージン比率でしょうか)
がどこまで影響を受けるかをテストしたものです。

ショック時の数値もさることながら、二種類のSCR比率、
すなわち、16年間の経過措置(※)の適用前後の比率で
ストレステストを行っているのが目を引きました。

 ※ソルベンシーIIでは低金利下での経過措置として
  16年かけて割引率または責任準備金を必要水準に
  段階的に収束させることが認められています。

これによると、2014年末のドイツ生保のSCR比率は、
ストレス前でも、経過措置の適応がなければ、
中央値は100%程度であり、100%を下回っている会社も
多いことがわかります
(100%が資本とリスク量がバランスした状態です)。

アリアンツやミュンヘン再保険など大手保険グループは
ソルベンシーII対応状況を投資家向けなどに公表し、
グループベースでみたSCR比率が良好な水準にあると
示しています。

しかし、ドイツの生保業界全体としては、やはり金利水準
低下の影響は深刻だということなのでしょう
(特に中堅会社の状況が厳しい模様)。

なお、ドイツの金融当局であるBaFinは6/30のリリースで、

・直近の2016年3月末の状況を分析したところ、
 金利水準が2014年末より大きく下がっているにも
 かかわらず、IMFのテスト結果よりも良好だった。

・BaFinでは8月に直近のソルベンシーII報告に関する
 何らかの公表を行うつもりである。

といったコメントをしていますので、8月の公表を
待ちたいと思います。

※月島もんじゃストリートに行きました。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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