自動車保険の損害率

日経新聞の人気コラム「大機小機」。17日の「なんでも開示に落とし穴」は、情報開示側に立ったコメントのようで、

「膨大で詳細な開示を読みこなせる投資家がどれほどいるか」
「とくに一般投資家は古代宗教の経典かと見まがう分厚い開示資料などパスするのが普通」
「なんでも開示すればよいという思いが『寄らしむべし、知らしむべからず』の結果を招いていないか」

との記述がありました。情報過多が結果として情報を伝えていない結果になっているという主張と解釈しましたが、利用者としてはどうもピンときません。経営情報の利用者は何でも開示してほしいのではなく、必要な経営情報を知りたいだけです。私の実感からすると、むしろ記述の量を増やしているのは情報開示側の都合ではないかと思ってしまいます。

さて、19日に公表された大手損保の4-9月期決算のうち、自動車保険のE/I損害率(損害調査費を含む)を確認したところ、前年よりは上昇したとはいえ、コロナ前の水準に比べるとかなり低い水準となっていました。

東京海上日動 61.0 ⇒ 51.8 ⇒ 54.7%
MSI    58.3 ⇒ 52.4 ⇒ 54.8%
ADI    57.8 ⇒ 50.4 ⇒ 52.5%
SOMPO  60.8 ⇒ 52.8 ⇒ 54.2%

おそらくコロナ前に比べると事故件数が少ないのと、過去の料率引き上げ効果がまだ残っているということでしょうか。現状を踏まえ、各社とも当初の通期見込みから2ポイントほど下方修正したようです。
事故が起きないのは損保各社の短期的な収支にとってはいいことです。ただ、総じて回復が続く海外経済とは違い、日本経済の深刻な停滞を示しているのかもしれず、手放しでは喜べません。

※関門トンネル専用の機関車です。門司港にて。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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