生保決算から

上場生保の4-9月期決算発表がありました。
新契約が大きく減った会社のデータから、生保の「業績」について考えてみましょう。

かんぽ生命の業績上方修正

7月中旬から積極的な勧奨活動を停止した影響で、かんぽ生命の新契約は大きく落ち込みました。個人保険の新契約年換算保険料は前年同期と比べて▲28.7%、7-9月だけだと同▲57.6%でした。通常の営業活動を再開できる時期が見えていないため、通期でも相当な落ち込みが見込まれます。
ところが現行の会計では、新契約の不振は増益要因となります。新契約が減り、当期に計上する収入も減るのですが、それ以上に新契約を獲得するためのコスト(代理店手数料や広告宣伝費など)が減るためです。

日経の報道によると、決算発表翌日の株価が急騰し、その理由として「多くの市場関係者は減益を見込んでいたが一転増益となったことで、好感した買いが膨らんだ」とのこと。そんなバカなと思うのですが、株価が上がったのは確かなので、何か別の理由があるのでしょう。
新契約の減少は当期の会計利益を増やす要因とはいえ、会社価値への影響はどう考えてもマイナスです。すでに株価には織り込まれていたのかもしれませんが、さすがに新契約がこれだけ減れば新契約EVはかなり減ったでしょうし、加えて、将来にわたり新契約を獲得する力(=のれん)も影響を受けているでしょう。

経営者保険ブームの反動

4-9月期決算を発表した生保のなかで、中小企業市場に事業基盤を持つ大同生命と、昨年、経営者保険が大ヒットしたネオファースト生命の新契約年換算保険料は、いずれも大きく落ち込みました
(大同生命は前年同期比▲60.9%、ネオファースト生命は同▲93%)。

しかし、大同生命の会計損益は好調でした。「新契約高の減少に伴う標準責任準備金積増負担の減少を主因に」という説明があり、基礎利益も中間純利益も増益となっています。
他方で大同生命はEVを公表しており、4-9月期の新契約EVは前年度の3割強にとどまっているとのこと。金利水準の影響などもあるかとは思いますが、さすがに新契約の減少が影響しているのでしょう。

ネオファースト生命のほうは、もう少しややこしいことになっています。
新契約年換算保険料が大きく落ち込む一方、新契約件数は増加となり、中間純利益は減益で、新契約EVは半減という結果でした。
主力商品が経営者保険から第三分野にガラッと変わったため、会計損益は新契約獲得コストがかさんで減益となったようです。新契約EVは、前年同期の経営者保険のボリュームが非常に大きかったため、第三分野だけでは追いつかず、前年に比べると大きく減ったということなのでしょう。

生保で「業績」というと、会計損益のことを指す場合もあれば、契約獲得状況を指すこともあります。
いずれにしても、知りたいことは「業績」の数値そのものではなく、その結果として会社価値がどう変化したかであるはずなので、公表された手掛かりを上手に使っていきたいものです。

※親知らずを抜きました(涙)

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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