損害保険会社と代理店

ご承知のとおり、日本では損害保険の約9割を代理店が販売しています。8/8のブログ「損害保険代理店統計」でお示ししたように、代理店には保険販売を本業とする代理店と、自動車ディーラーや整備工場のように、他に本業があって副業として保険販売をしている代理店があります。また、多くの大企業は系列の代理店(企業代理店)を設立し、その代理店を通して保険を購入しています。
保険販売を本業とする代理店(プロ代理店)には、保険ショップのように複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店もありますが、損害保険では特定の損害保険会社に専属またはそれに準じた代理店が主力となっている模様です。

この週末にプロ代理店の勉強会に参加して、改めて保険会社の対応や取引慣行がチャネルによって大きく異なることを確認しました。勉強会の内容はオフレコなので、以下の記述はあくまで私のコメントです。

ビッグモーター事件では、保険会社が自動車関連の代理店に対し、保険金の不正請求を見逃したかどうかはともかく、顧客紹介をはじめ様々な支援を行っていることが明らかになりました。企業代理店に対しても、各保険会社がシェアを維持・拡大するために人材を派遣したり、その企業が取り扱う商品の販売をサポートしたりしています。

他方でプロ代理店のうち、専属またはそれに準じた代理店と保険会社の関係は、自動車関連の代理店や企業代理店とは全く違っているうえ、保険会社の方針が数年ごとに変わるので、代理店の経営者が振り回されている印象です。
そもそもプロ代理店は保険会社に所属する募集人ではなく、独立した保険販売会社です。少なくとも意識ある代理店のトップは自らの経営をどうしていくか真剣に考えています。しかし、保険会社は代理店をそのように扱っているのでしょうか。例えばプロ代理店が自らの経営判断として「自動車保険(特にノンフリート)には注力しない」「顧客層を絞るため若手従業員を主体に運営する」などを実行すると、代理店手数料ポイントが下がるそうです。保険会社は手数料ポイントをどのプロ代理店にも一律に当てはめてくるからです。

ビッグモーター事件やカルテル問題が今後どのような展開になるかわかりませんが、保険会社は専業・副業にかかわらず、チャネル戦略を全体としてどのようにしたいのかをきちんと考え、外部に示す必要があると思います。

※写真は岐阜・金華山です。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。